大判例

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広島家庭裁判所呉支部 事件番号不詳 判決

本籍 山口県熊毛郡平生町大字佐木五百六十番地

住居 呉市朝日町五十六番地

特殊下宿業 井村ハルヨ

明治三十五年一月二十六日生

本籍 鹿児島県肝属郡佐多町馬籠六千五拾壱番地

住居 呉市朝日町五十九番地

特殊下宿業 山野イツヱ

昭和五年三月五日生

主文

被告人井村を懲役六月に、被告人山野を罰金五千円に処する。

但し被告人井村に対しては、本判決確定の日より三年間刑の執行を猶予し、この期間中広島保護観察所の保護観察に附する。

被告人山野が罰金を完納することができないときは、金二百円を一日に換算した期間労役場に留置する。

訴訟費用は、これを二分しその一づつを各被告人の負担とする。

理由

第一、被告人井村ハルヨは、昭和二十九年二月二十三日、同月二十四日の二日間呉市朝日町五十六番地の自宅において、児童である○田○江(昭和十二年一月二十二日生)に駐留兵等を客として淫行をさせ

第二、被告人山野イツ子は、昭和二十九年二月二十五日から同年三月八日までの間連続して呉市朝日町五十四番地の自宅において児童である右○田○江に多数人を客として淫行をさせたものである。

第一の事実は

一、司法巡査大橋三二作成○田○江の供述調書

一、検察官椎名啓一作成○田○江の第一、二回供述調書

一、司法警察員田辺幹雄作成柳井市役所の身分事項回答書謄本

一、検察官椎名啓一作成岩本タヨの供述調書

一、司法警察員田辺幹雄作成被告人井村ハルヨの供述調書

一、検察事務官中西由幸作成被告人井村ハルヨの供述調書

一、検察官椎名啓一作成被告人井村ハルヨの第二回供述調書

の各記載及び当法廷における被告人井村ハルヨの供述を綜合してこれを認め

第二の事実は

岩本タヨの供述調書を除く前記各書証及び

一、司法警察員田辺幹雄作成被告人井村イツ子(山野イツヱ)供述調書

一、検察官椎名啓一作成被告人井村イツ子(山野イツヱ)供述調書

の各記載と当法廷における被告人山野イツヱの供述を綜合してこれを認める。

被告人等の各所為は、いづれも児童福祉法第三十四条第一項第六号に違反し、同法第六十条第一項第三項に該当するところ被告人井村は、昭和二十七年十一月十七日本件と同種犯罪により当庁において懲役六月執行猶予三年の言渡を受け、現にその執行猶予期間中にあるにかかわらず、昭和二十八年十一月十六日再び同種犯罪により同庁において罰金三万円に処せられ三度本件犯罪を犯すに至つたもので、累行の点においてその情軽からざるものがある。又児童を山野イツヱ方で淫行させるについても被告人井村が重要な役割を果していることを認めることができる。飜つて惟うに本件児童は、本件家出前既に岩国市において約二ヶ月間駐留軍相手の接客婦として淫行をした経験を有し、昭和二十八年十一月五日頃村末某女の勧誘により再び接客婦たらんことを決意して広島市方面に家出して以来、同被告人方に抱えられるまでの間既に数戸の特殊下宿業者方を接客婦として転々しその都度年令を偽るなど積極性を示し淫行の危険性は、児童自身に極めて濃厚であつたことが認められるのと、被告人井村は、四男一女の母として又家庭の主婦として一家生活の主柱であること、重なる過失に対する深い悔恨の誠も認められることなどを考慮し、いま一度法の涙を漉ぎもつて将来過誤なきを期せしむるを相当と認め執行猶予につき刑法第二十五条第二項を保護観察につき同法第二十五条ノ二をそれぞれ適用し、被告人山野は、夫の母である被告人井村の指図に従つて本件違犯に陥つたものであると認めるし、前科のない点など考慮し軽い罰金刑に処するを相当と認め、労役場留置につき刑法第十八条第一項を適用し、訴訟費用については刑事訴訟法第百八十一条により各主文の通り判決する。検察官椎名啓一立会

(裁判官 太田英雄)

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