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広島高等裁判所 平成11年(ネ)24号 判決 1999年12月21日

控訴人 広島県

右代表者知事 藤田雄山

右訴訟代理人弁護士 福永宏

右指定代理人 中間格次

<他3名>

被控訴人 A野太郎

<他3名>

右四名訴訟代理人弁護士 原田香留夫

笹木和義

高盛政博

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求める裁判

一  原判決中、控訴人敗訴部分を取り消す。

二  被控訴人らの請求をいずれも棄却する。

第二事案の概要

次のとおり付加、訂正するほかは、原判決が「第二 事案の概要」と題する部分に記載するとおりであるから、これを引用する。

一  原判決二枚目裏一〇行目の「物損」の後に「等」を加える。

二  同三枚目表一行目の「竹原警察署」の後に「地域課」を加え、同行目の「大井警察官派出所」を「大井警察官駐在所」と、同末行の「右派出所」を「右駐在所」とそれぞれ改める。

三  同三枚目裏二行目の「大井派出所」を「大井警察官駐在所」と、同一〇行目の「呉簡易裁判所」を「竹原簡易裁判所」とそれぞれ改める。

四  同四枚目裏四行目の「広島地方検察庁」の後に「呉支部」を、同行目から同五行目にかけての「右各被疑事件」の後に「(被控訴人太郎については、右の道路交通法違反、公務執行妨害罪に加え、傷害罪が立件された。)」をそれぞれ加え、同八行目の「公訴提起された」を「公訴提起され」と改め、同行目の「という。)」の後に「、公務執行妨害罪及び傷害罪については起訴猶予とされた」を加える。

五  同五枚目表六行目の「顕著な事実」を「弁論の全趣旨」と改める。

六  同七枚目表九行目の「検察官」の前に「呉支部」を加える。

七  同七枚目裏三行目の「その後」を「その他」と改め、同五行目の後に行を改めて「その他の捜査官は、川相巡査から誤った報告を受け、何ら十分な捜査を行うことなく、逮捕、送検した違法がある。」を加える。

八  同一一枚目表一行目の「理由がある」から同二行目の「以上」までを「理由があり、かつ、逮捕・勾留の必要性が認められる限り」と改め、同三行目の「二四六条」の後に「により、司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、犯罪の嫌疑の有無にかかわらず、その事件が検察官指定の微罪事件に当たる場合を除き、速やかに当該事件を検察官に送致しなければならないのであるから、本件送検が違法となることはあり得ない。」を、同行目の「おいては、」の後に「単に裁判所の証拠評価と結論を異にするだけではなく、」をそれぞれ加える。

第三争点に対する判断

次のとおり訂正、付加、削除するほかは、原判決が「第三 争点に対する判断」と題する部分に記載するとおりであるから、これを引用する。

一  原判決一二枚目裏四行目の「同原告」を「被控訴人太郎」と、同六行目の「述べている」から同七行目の末尾までを「捜査状況報告書に記載し、司法警察員に供述し、刑事公判廷で証人として供述する。」とそれぞれ改める。

二  同一三枚目表二行目の「述べる」を「記載し、供述する」と、同八行目の「そのまま採用するには躊躇される」を「採用することはできない」とそれぞれ改める。

三  同一三枚目裏一行目の「疑問である。」の後に「しかも、後記(三)(2)、(3)のとおり、川相巡査が本件車両の走行を現認したとされるころに、被控訴人B山が本件車両を運転して本件現場を北進しているところ、被控訴人太郎の横顔と被控訴人B山の横顔とが酷似していることをも勘案すると、これを見誤った可能性も否定できない。」を、同三行目の「いた。」の後に「甲一一」を、同八行目の「ついては、」の後に「川相巡査は、本件車両を追尾して被控訴人春夫方空地に至り、運転席に座っていた被控訴人太郎に対し、「今さっき車に乗って運転しとったが免許は取ったのか。」と質問したところ、同被控訴人は、「免許は持っとらん。もう絶対に乗らんけえ。こらえてくれえ。」と無免許運転を認める趣旨の発言した旨を捜査状況報告書に記載し、司法警察員に供述し、刑事公判廷で証人として供述するが、被控訴人太郎は、そのような無免許運転を認めるような発言はしていない旨を司法警察員及び検察官に供述し、刑事公判廷でも被告人としてその旨供述しており、」をそれぞれ加える。

四  同一四枚目表四行目の「もっとも、」を「また、被控訴人太郎が、「勤務中に釣りをしとってもええんか」などと反駁したとの点については、」と改める。

五  同一四枚目裏四行目の「乙五ないし七」を「乙六、七」と、同一〇行目の「原告」を「被控訴人太郎」とそれぞれ改める。

六  同一五枚目裏二行目の「七、乙六四ないし六七」を「九、一〇、一九、二〇、乙四五、六三、六四、六七」と、同行目の「そこで」から同一六枚目裏二行目の末尾までを改行の上、次のとおり改める。

「そこで、被控訴人B山の被控訴人夏夫方への到着時間について検討するに、《証拠省略》によれば、以下の事実が認められる。

ア  被控訴人太郎は、平成四年一〇月一八日午後零時三分、被控訴人夏夫方の電話機で、被控訴人B山のポケットベルに電話をした。

被控訴人B山は、当時、広島県豊田郡《番地省略》の自宅に両親と居住しており、右自宅にいたところ、ポケットベルが鳴ったので、折り返し、被控訴人太郎に電話をし、三〇分程して、本件車両を運転し、被控訴人夏夫方へ向け出発した。

被控訴人太郎は、被控訴人B山がなかなか到着しないので、同日午後零時五六分、同被控訴人方に電話をしたところ、同被控訴人の母が電話に出て、同被控訴人は一〇分くらい前に出たと述べた。同被控訴人は、普通に走行して三十数分ないし四〇分程度の道のりを、途中安芸津町でたばこを買ったほかは普通に走行して、本件現場を南から北に向かって通過し、被控訴人夏夫方に到着した。

イ  一方、C川松子は、同日午前九時ころから被控訴人夏夫方に来ており、同日午後零時五〇分、被控訴人夏夫方の電話機で、友人のD原竹子(以下「竹子」という。)の自宅に電話をし(通話時間は四分余である。)、同女と、同女の自宅の近くにある朝日橋の東端で待ち合わせることとし、すぐに、被控訴人夏夫方から、自己の軽四輪自動車(三菱ミニカ)を運転して同女を迎えに行った。

竹子は、右電話の後、すぐに自宅を出て、朝日橋まで歩いて五分程度で到着したところ、C川松子の車が来たので、これに同乗して、被控訴人夏夫方へ行った。被控訴人夏夫方から朝日橋までは、自動車で普通に走行して片道四分余の道のりであり、C川松子は、右往復に一〇分程度かかった。

ウ  被控訴人B山は、竹子が被控訴人夏夫方に到着した数分後に、同被控訴人方に到着した。被控訴人B山が右到着した際、被控訴人夏夫方のテレビでは、日本シリーズ、西武対ヤクルト戦を放映していた(広島ホームテレビによる放映時間は、同日午後零時三〇分から午後三時二五分である。)。

エ  被控訴人B山が被控訴人夏夫方に到着した数分後に、川相巡査が私服で同被控訴人方を訪れた。

右の認定事実によれば、竹子が被控訴人夏夫方に到着したのは、同日午後一時五分ころであり、被控訴人B山が到着したのは、それから数分後のことであるから、同被控訴人は、右到着時の直近の時刻に、川相巡査が本件車両が北進しているところを現認した賀茂川西側土手の本件現場を、本件車両を運転して北進して被控訴人夏夫方に進入したものと認められる。なお、被控訴人B山の司法警察員に対する供述調書中には、被控訴人夏夫方に着いたのは昼ころ(午後零時ころ)であったとするものがあるが、他の客観的な証拠と対比して、到着時刻は不正確なものと認められ、右認定を左右するに足りない。

そこで、仮に、被控訴人太郎が川相巡査の現認したとする時刻に本件車両を運転して本件現場を北進したとすれば、同日午後一時五分の数分後に、被控訴人夏夫方を出発して、数分間で何らかの用を済ませて戻ってきたことになる。そうであれば、同日午後一時五分の数分後の直近の時刻から同日午後一時一五分までのわずかな間に、本件車両は、少なくとも被控訴人B山が運転して本件現場を北進した後に、被控訴人太郎がこれを運転して本件現場を北進したことになる(仮に被控訴人太郎が同一の経路で往復したとすれば、この間に合計三回通過したことになる。)が、川相巡査は、同日午後一時ころから本件現場にいたにもかかわらず、同日午後一時五分の数分後から同日午後一時一五分までのわずかの間に、本件車両が二回以上北進しているところを現認したとは認めるに足りない(川相巡査は、前記各供述等によれば、本件車両の独特のエンジン音で振り向いて本件車両の進行を目撃したというのであるから、これが短時間に二回以上、本件現場を北進すれば、当然、これに気付くはずであるが、そのような事実は供述等しておらず、また、川相巡査とともに本件現場にいた藤原雅志も、そのような供述をしていない。)。しかも、被控訴人太郎と被控訴人B山の両横顔が酷似していることからすると、川相巡査が現認した本件車両の運転者は、被控訴人B山であった可能性が高いものというべきであり、被控訴人太郎が本件車両を運転して本件現場を北進したものとは認めるに足りない。

ところで、E田梅子は、同日午後一時ころに、セブンイレブン竹原中央店に、被控訴人太郎が二〇歳前後のやせ形の女性と一緒に車で来店して、同日午後一時四分に、ガム等を買った旨を刑事公判廷で証人として又は捜査官に対する参考人として供述するが、被控訴人夏夫方と右店舗との間は、自動車で片道四、五分程度かかることからすると、そのような時間に、被控訴人太郎が本件車両を運転して右店舗に到着していたとするのは不自然である(被控訴人太郎は、遅くとも同日午後一時前に被控訴人夏夫方を出発したことになってしまう。)。また、被控訴人太郎と面識のある同店の店長山田泰弘は、当日、午後零時から午後一時三〇分まで店にいたが、同被控訴人は見かけなかった旨を刑事公判廷で証人として供述している。その上、E田梅子の右供述自体、当初、同月二二日に司法警察員森川一成に供述した際には、同月一七日(土曜日)か翌一八日(日曜日)の昼前後、被疑者写真を示された男性(被控訴人太郎)によく似た男性が右店舗に女性とともに来店したのを見かけたことがあり、これが日曜日(同月一八日)であれば、午後零時三〇分から午後一時三〇分までが休憩時間であるので、休憩時間あるいはその前後ころに見かけたものと思うというあいまいなものであったものが、その後、同年一一月一六日の検察官に対する供述調書では、被控訴人太郎が来店したのは、同年一〇月一八日の午後一時であり、当日の休憩時間は午後一時から二時であったと断言し、さらに、刑事公判廷での供述では、これに加え、同店のレジペーパー中の同日午後一時四分のガム等の売却にかかる分が、自分が被控訴人太郎に売却したものであり、レジのE田梅子の責任番号「〇五三」が午後零時二六分以降打刻されておらず、右売却分も他のアルバイト従業員の責任番号である「〇六九」で打刻されている点については、これは、他人の責任番号で自分がレジを操作したか、他人がレジを操作し、自分が袋詰めをしたかのいずれかであると供述するに至ったが、このように供述があいまいなものから断定的なものに変遷すること自体不自然であるだけでなく、被控訴人太郎が来店したとする日が同月一八日であり、休憩時間が午後一時から二時までであり、午後一時四分に被控訴人太郎にガムを売却したとする根拠として述べる事実も、一般的にそのような特定をする根拠とはならないような不自然なものである(例えば、同月一八日の根拠として述べるところは、同日は、パートの従業員が休んでいたからであるというのであるが、同店では、その当時、店長一名、正規の従業員一名(E田梅子)、パート従業員四、五名、アルバイト一〇名程度が勤務していたというのであるから、パートの従業員が休んでいたことが、特別に勤務体制に影響するともみられず、ましてや、これをもって、被控訴人太郎が同日に来店した根拠とするのは理解できない。また、同日午後一時四分に被控訴人太郎にガムを売却した根拠として述べる事実も、同日午後一時ころから休憩に入り、テレビを見ており、同日午後一時五分ころに放映された番組を見たというのであるが、E田梅子は、休憩時間には、まず、休憩室で制服を脱ぎ、店内に戻って食品を購入した後、休憩室に戻り、テレビを見たとのことであるから、そうすると、E田梅子は、同日午後一時五分の数分前から休憩に入っていたことになり、それは、同日午後一時四分に被控訴人太郎にガムを売却したことと矛盾することになる。むしろ、同店のレジペーパー上、同日午後零時二六分以降、同女がしたと認められる打刻がないことからすれば、当初、同女が司法警察員に述べていた午後零時三〇分から午後一時三〇分までが休憩であったという方が筋が通っている。)ことからすると、E田梅子の右供述はおよそ採用できない。そうすると、被控訴人太郎が、同日午後一時ころ、同店に立ち寄ったとは認めるに足りず、また、同時間帯に、別の立ち寄り先があったことを窺わせる証拠もない。」

七  同一六枚目裏三行目の「一時数分過ぎ」を「午後一時五分の数分後」と、同九行目の「様子は窺えない」を「様子が窺えないことは前示のとおりである。」とそれぞれ改め、同一〇行目の「D原」を削る。

八  同一七枚目表三行目の冒頭から同四行目の末尾までを削り、同末行の「三八、」の後に「八一、」を加える。

九  同一七枚目裏九行目の「同B山とも、」の後に「川相巡査が被控訴人夏夫方を訪れた際、」を加える。

一〇  同一八枚目表二行目の「状況証拠」を「間接事実」と改め、同五行目の「あり得ず、」の後に「川相巡査の供述等を前提とすれば、」を加え、同六行目の「春夫方」を「被控訴人夏夫方」と、同九行目の「乙四六」を「乙四五、四六」と、同一〇行目の「前記」から同末行の「供述内容は」までを「被控訴人B山が被控訴人夏夫方に到着したのが同日昼ころであったとするなど」とそれぞれ改め、同末行から同裏一行目にかけての「右内訳表を示されての」を削る。

一一  同一八枚目裏一行目の「また、」の後に「被控訴人太郎、同B山らは、川相巡査が一回目に来た後も、それまでと同様に飲食を続けていたことからすると、」を、同三行目の末尾に「さらに、右川相巡査の来訪に居合わせた被控訴人夏夫、竹子、C川松子は、いずれも、捜査の当初から、被控訴人B山が到着して間もなくあるいは数分内に川相巡査が来訪した旨を司法警察員に供述していることからすると、被控訴人B山、同太郎の右各供述部分をもって、右認定を左右するに足りない。」をそれぞれ加える。

一二  同一九枚目表四行目の「照らして」の後に「、当該被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当の理由があり、」を加え、同七行目の後に行を改めて次のとおり加える。

「(一) 川相巡査は、同日午後一時一五分ころ、賀茂川西側土手の本件現場で本件車両が走行しているのを現認した後、同日午後一時一七分ころ、被控訴人春夫方空地で被控訴人太郎に無免許運転の容疑で職務質問をしたが、被控訴人太郎が右容疑事実を否認し、任意での大井警察官駐在所への同行を断ったことから、川相巡査は、いったん、交通切符処理手続のため右駐在所に戻り、制服、手錠等を装着して、同日午後一時四〇分ころ、再び、被控訴人春夫方に至り、被控訴人太郎を呼びだして、交通切符処理をしようとしたが、被控訴人太郎が無免許運転の容疑事実を否認したことから、無免許運転の現行犯の逮捕に着手したが、抵抗され、逮捕に至らなかったことは前記第二の一1、2のとおりである。」

一三  同一九枚目表八行目の冒頭に項目の「(二)」を、同行目の「川相巡査が」の前に「そして、」を、同九行目の「右」の後に「第三の」をそれぞれ加え、同末行の「原告春夫方前」から同裏一行目の「及び」までを「同車両には女性の同乗者がおり、川相巡査が被控訴人春夫方に至った際に、」と改める。

一四  同一九枚目裏六行目の冒頭に項目の「(三)」を加え、同九行目の「同原告を」から同一〇行目の末尾までを「同被控訴人が無免許運転の犯人であることが明白であったとは到底認められない状況の下で、川相巡査があえて被控訴人太郎の現行犯逮捕に着手したことには、合理的な根拠は見当たらず、また、右現行犯逮捕につき、準現行犯の要件(刑事訴訟法二一二条二項)を充たしていなかったことも明らかである。」と改める。

一五  同二〇枚目表一行目の「免れない」を「免れず、また、川相巡査の右行為は、あまりにも軽率であり、過失があるものといわざるを得ない」と、同五行目の「甲六ないし一一」を「甲六、八ないし一一」と、同行目の「右原告らは」から同八行目の「入るなどした」までを「川相巡査が、同日午後一時四五分ころ、被控訴人太郎を逮捕しようとして、同被控訴人の手を握り、手錠をかけようとしたところ、被控訴人太郎は「令状がなかったら逮捕できまあがあ。」などと叫びながら、川相巡査に握られた右手を振りほどこうとし、同巡査の襟首のあたりを押したりして抵抗し、また、その場に居合わせた被控訴人夏夫は、同巡査の手を払い上げたり、引っ張ったりして妨害し、被控訴人B山は、同巡査の身体には触れなかったものの、同巡査と被控訴人太郎との間に割って入って同巡査を被控訴人太郎から離そうとしたりした」と、同末行の「原告ら」を「右被控訴人ら」とそれぞれ改める。

一六  同二〇枚目裏六行目の「供述」を「供述調書」と改める。

一七  同二一枚目表二行目の「右不実」から同三行目の「すれば、」までを「川相巡査の本件車両の目撃の状況のみによっては、」と改め、同六行目の「そうであれば」から同八行目の末尾まで及び同九行目から同一〇行目にかけての「、送検」をいずれも削る。

一八  同二一枚目裏二行目の「ある」の後に「(なお、被控訴人らの送検については、司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、犯罪の嫌疑の有無にかかわらず、原則として全ての事件を検察官に送致すべきであるので、右因果関係は認められない。)」を加え、同末行の「七〇ないし七四」を「七〇、七一、七三、七四、八〇、証人角島正弘、被控訴人A野春夫本人」と改める。

一九  同二二枚目表九行目の「掴み」から同一〇行目の末尾までを「つかむなどした。」と改める。

二〇  同二二枚目裏三行目の「屋内で」を削り、同四行目の「第一四回」の前に「原審」を加える。

二一  同二四枚目表八行目の「甲一七」を「甲一六、一七」と、同一〇行目から同末行にかけての「右注文は私的なものであり、」を「証拠(甲一六、二七、乙八一、証人森川一成)によれば、森川一成が、勤務時間外に、以前から利用しているセブンイレブン竹原中央店で、E田梅子の勧めでクリスマスケーキを注文したことをきっかけとして、署長以下、多くの竹原警察署員が同様に注文したものであり、結果的にE田梅子に数千円の経済的な利益をもたらすことになったが、右注文自体は、本件の捜査のためにされたものではないことが認められる。そうすると、右注文行為は、」とそれぞれ改める。

二二  同二四枚目裏一行目の「(」から同二行目の「)」までを削り、同六行目の「証人」から同二五枚目表一行目の末尾までを「本件全証拠によるも、川相巡査の右の証言が、公務の執行としてされたと認めるに足りる証拠はない。したがって、被控訴人太郎の右主張は採用できない。」と改める。

二三  同二六枚目表九行目の「川相巡査に」の後に「、被控訴人太郎を逮捕するという違法な職務の執行のために、」を加える。

二四  同二六枚目裏九行目の「川相巡査に」の後に「、被控訴人太郎を逮捕するという違法な職務の執行のために、」を加える。

二五  同二七枚目表三行目の「四三」を「四四」と、同行目から同四行目にかけて「七七」とあるのを「七八」とそれぞれ改める。

第四結語

以上の次第で、被控訴人らの控訴人に対する国家賠償法一条一項に基づく請求は、被控訴人太郎につき八八万一六六二円、被控訴人春夫につき四万〇七五〇円、被控訴人夏夫につき四万五〇〇〇円、被控訴人B山につき四万円の限度で相当であるからこれを認容し、その余は失当であるからこれを棄却すべきであるところ、これと同旨の原判決は相当である。

よって、本件控訴を棄却し、控訴費用の負担につき民訴法六七条一項本文、六一条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 川波利明 裁判官 布村重成 金子順一)

<以下省略>

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