広島高等裁判所 平成4年(ネ)276号 判決 1992年11月26日
控訴人(原告)
菅野幸好
ほか一名
被控訴人(被告)
梅田鉉興
主文
本件各控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実
第一申立
一 控訴人ら
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は控訴人らに対し、それぞれ金二九九五万八九六七円及びこれに対する平成元年一〇月一三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
4 仮執行宣言
二 被控訴人及び同補助参加人
主文同旨
第二主張
当事者双方の主張は、原判決四枚目表三行目の次に行を改めて左のとおり付加するほかは、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
「5 同5の(一)の事実のうち、相続関係(身分関係と相続分)は認める。
同5の(二)、(三)の事実は不知。」
第三証拠
証拠関係は本件記録中の原審における書証目録、証人等目録に記載のとおりであるから、これを引用する。
理由
一 当裁判所も、控訴人らの本件請求はいずれも理由がないと判断するもので、その理由は、次に付加、訂正するほかは、原判決の理由説示と同一であるから、これを引用する。
1 原判決六枚目裏一行目の末尾に「幸二は、羽沢建設の右工事現場の監督であり、小林はこれを補助する立場にあつて、職務上はその部下であつた。なお、入社年次も幸二が小林の四年先輩に当たる。」と付加する。
2 同六枚目裏一三行目から同七枚目裏三行目までを次のとおり改める。
「 小林が被控訴人から本件加害車両を借り受けたこと、あるいは小林と幸二が共同で被控訴人から本件加害車両を借り受けたことを認めるに足りる証拠はなく、かえつて右認定事実からすれば、本件加害車両を借り受けていたのは幸二であつて、小林は、幸二の使用権限に基づき、その指示のもとに本件加害車両を運転していたものというべきであるから、少なくとも(第三者との関係はさて措き)、被控訴人と幸二の間では、本件加害車両の運行供用者は幸二であるというべきであつて、幸二は、自賠法三条に規定する「他人」には当たらないというべきである。(なお、幸二のほか被控訴人も運行供用者であると解されるとしても、被控訴人と幸二の運行支配の程度態様をみてみれば、右認定事実によると、幸二のそれがはるかに直接的、顕在的、具体的であることはいうまでもないところであるから、被控訴人に対し幸二が自賠法三条の「他人」であることを主張することは許されないというべきである(最高裁昭和五〇年一一月四日第三小法廷判決・民集二九巻一〇号一五〇一頁参照)。」
二 よつて、その余の点について判断するまでもなく、控訴人らの本訴各請求はいずれも理由がないから棄却すべきであり、これと同旨の原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担について民訴法九五条、八九条、九三条に従い、主文のとおり判決する。
(裁判官 新海順次 佐藤武彦 小西秀宣)