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広島高等裁判所 平成4年(行コ)8号 判決 1995年12月12日

広島市西区南観音一丁目三番四四号

控訴人

田中務

右訴訟代理人弁護士

相良勝美

広島市西区南観音新町一丁目一七番三号

被控訴人

広島東税務署長事務承継者 広島西税務署長 遠藤正昭

右指定代理人

村瀬正明

大北貴

西尾清

木村宏

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決中、控訴人に関する部分を次のとおり変更する。

2  広島東税務署長が昭和四七年五月一〇日付けでした控訴人の昭和四四年分の所得税の更正処分のうち総所得金額一三九万二四八〇円を超える部分を取り消す。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文と同旨。

第二当事者の主張

当事者双方の主張は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決四枚目表一行目から二六枚目裏二行目までと同一であるから、これを引用する。

一  右引用部分中の各「被告東税務署長」及び「同被告」を「広島東税務署長」と改める(ただし、原判決五枚目裏八行目、六枚目表三行目、一七枚目表六、七行目、二四枚目裏六行目、二五枚目裏一行目の各「被告東税務署長」及び「同被告」は「被控訴人」と改める。)。

二  原判決五枚目裏七行目の次に改行して「3 控訴人は、本訴提起後である平成四年五月一一日に肩書地に転居したので、被控訴人が、本件につき、広島東税務署長の事務承継者である。」を加え、八行目の「3」を「4」と改める。

三  同六枚目表二行目の次に改行して「3 同3は認める。」を加える。

四  同一一枚目表八行目の「範囲内にある」の次に「(仮にそうでないとしても、控訴人の係争事業期間中の事業所得は一四八二万五八四四円を下ることはない。)」を加える。

五  同二四枚目裏五行目の次に「一審相原告扶桑商事株式会社の四四事業年度の利息割合及び経費率を類似同業者比率として適用することは相当ではない。すなわち、同会社の四四事業年度の決算報告書は、同会社の設立初年度のものであり、絶対に貸倒損失による赤字を認めない旨の課税庁の厳しい指導に従って税理士が作成したもので、同年度の貸倒債権は大幅に除外されている。また、広島国税局査察部査察官・青木頼夫らが作成した調査事績書(乙第一三四号証)は、信用性に乏しく、控訴人の事業所得額推計の資料とすることはできない。」を加える。

第三証拠

本件記録中の原審及び当審証拠関係目録記載のとおりである。

理由

一  当審も、控訴人の本訴請求は、原判決が認容した限度で理由があり、その余は失当と判断するが、その理由は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決三八枚目表一行目から六一枚目裏末行までと同一であるから、これを引用する。当審における新たな証拠調の結果によっても引用にかかる原審の認定判断を左右することはできない。

1  右引用部分中の各「被告東税務署長」、「被告」及び「同被告」を「広島東税務署長」と改める(ただし、原判決四三枚目表六、七行目、四七枚目表七行目、裏八行目、五一枚目表八、九行目、末行、五七枚目表一〇行目の各「被告東税務署長」及び「同被告」は「被控訴人」と改める。)。

2  原判決三八枚目表一行目の「請求原因1」の次に「及び3」を加える。

3  同四一枚目裏末行の「相当である」の次に「(最高裁昭和六三年三月三一日第一小法定判決・訴務月報三四巻一〇号二〇七四頁参照)」を加える。

4  同四四枚目表六行目の次に「控訴人は、身柄拘束が解かれた後は、所得税法二三四条一項の質問検査に応じる意思があった旨主張するけれども、前記認定事実に照らし、信用し難い。」を加える。

5  同四八枚目裏二、三行目の「第一〇〇号証、」及び七行目の「乙第一〇〇号証」を各削除し、八行目の「一二月」を「一〇月」と改める。

6  同五〇枚目表二行目の「二ないし八」を「二ないし七」と改める。

7  同五七枚目裏五行目の「成立に争いがない甲第五七号証、」を削除する。

8  同五八枚目表九行目の「認められる。」の次に「前記調査事績書が資産負債増減法の資料とすることができないとしても、昭和四四年一月一日から同年一二月二三日までの入金欄の記載は、証拠(原審承認青木頼夫、弁論の前趣旨)に照らし、信用できる。控訴人は、右記載中の井口忠義分の三二五七万五〇五〇円は、貸付金の回収分ではなく、同人と融通手形を交換していたことに基づくものである旨弁解し、同人も原審においてその旨証言しているけれども、金融業を営んでいた控訴人が、何らの利益も得ないで融通手形を交換していたものとは考えられないから、右弁解は採用できない。控訴人は、また、大山茶園生産農協の詐欺事件により五〇〇万円の損害を受けた旨主張するけれども、右事実を認めるに足りる的確な証拠はなく、かえって、右記載中には同農協からの同額の入金の事実が認められる。」を加える。

9  同六一枚目表末行の次に改行して次のとおり加える。

「控訴人は、一審相原告扶桑商事株式会社の四四事業年度の決算報告書は、同会社の設立初年度のものであり、絶対に貸倒損失による赤字を認めない旨の課税庁の厳しい指導に従って税理士が作成したものであるから、類似同業者比率の資料として不相当である旨主張し、当審証人重岡貴志男は右主張に副う証言をするけれども、同証言自体曖昧であって信用し難いところ、証拠(甲一〇五、一〇六の各1、2)によれば、右会社は、設立初年度(昭和四四年一二月二四日から昭和四五年一〇月三一日まで)の貸倒損失を一九三万二〇〇〇円と、二年度(昭和四五年一一月一日から昭和四六年一〇月三一日まで)のそれを五八五万〇二五二円と計上しているが、右主張を肯認するに足りる資料ということはできない。その他、右主張を認めるに足りる的確な証拠はない。控訴人はまた、係争事業期間中、一九四五万三五〇〇円もの貸倒損失があり、右期間中の事業所得は赤字であったとまで主張するけれども、甲一〇三(確定申告書)の記載に照らし、到底採用できない。」

二  よって、行訴法七条、民訴法三八四条、九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 渡邉了造 裁判官 亀田廣美 裁判長裁判官西川賢二は、転補のため、署名押印することができない。裁判官 渡邉了造)

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