広島高等裁判所 昭和25年(う)157号 判決 1950年6月08日
被告人
田中石敦
主文
本件控訴を棄却する。
理由
弁護人勝部良吉の控訴趣意第一点について。
昭和二十三年十二月二十日法律第二五六号をもつて日本国有鉄道法が制定され、同法の規定に依れば日本国有鉄道は公法上の法人として設立され、鉄道事業及びその附帯事業の経営等の業務を行い運輸大臣はこれを監督するものであることは所論のとおりである。したがつて原審が列車積載の荷物を運輸省保管に係ると判示したのは措辞妥当ならざる憾はあるが、原判決挙示の証拠によれば被害物件は被告人以外の者の所有に属し、日本国有鉄道の保管に係ることは明らかであるから、右違法は判決に影響を及ぼさない。論旨は採用の限りでない。