広島高等裁判所 昭和26年(う)560号 判決
公訴事実は裁判所に対する審判の対象と被告人に対する防禦の範囲を示すものであつて必ずしも裁判所の認定事実と同様の表示を必要としない。
刑事訴訟法第二百五十六条第三項後段に「訴因を明示するにはできる限り日時場所及方法をもつて罪となるべき事実を特定してこれをしなければならない」と規定してあり、本件起訴状には被告人は判示日時場所において「家族をして配給係員浅井和子を欺罔し」云々と記載し罪となるべき事実は特定されてあり、右家族の氏名を明示しなくとも犯罪事実の特定に欠くるところはない、又その共犯関係において特に「共謀し」と明示しなくともその関係事実を示せば足りるので、それが法律上共犯となるか否かは裁判所において審理の結果定るところで原裁判所が審理の結果被告人が「その内妻小川アキノと共謀の上」云々と認定したのは右訴因事実の範囲内において認定したので何等訴因を逸脱したものとはいえない。
論旨は理由がない。