広島高等裁判所 昭和26年(う)798号 判決
日本国有鉄道職員で指名をうけた者は司法警察職員等指定応急措置法により日本国有鉄道の列車又は停車場における現行犯に対して司法警察職員としての職務の執行ができるのであるから列車又は停車場における現行犯人が列車又は停車場外に逃走した如き場合にはこれを追跡して逮捕できるのは当然であつて逮捕の場所が列車又は停車場内であることを必要とするものでない。
本件につき見るに被告人高恒同柿原は何等係員の許可をうけることなく福山駅運転掛室等に判示ビラを配付したため鉄道公安官司法巡査中山正士同坂本正志において鉄道営業法違反の現行犯人と認めこれを追うて判示場所において右被告人等を逮捕せんとしたものであるから右鉄道公安官の行為は正当なる職務執行行為であること論を俟たない。従つて右鉄道公安官の職務執行に対し判示の如く暴行或いは傷害を与えてその職務執行を妨害した右被告人等の所為は刑法第九十五条第一項の公務執行妨害罪を構成するものといわねばならない。原判決には事実誤認の違法はなく論旨は理由がない。