大判例

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広島高等裁判所 昭和28年(う)370号 判決

本件は業務上横領被告事件として起訴せられて居るものであるから、刑事訴訟法第二八九条第一項に依り被告人の弁護人が出廷しなければ審理の為開廷することは出来ないものであるところ、原審第一回公判調書に記載してあるところによると、所論の様に本件被告事件の審理の為の第一回公判期日には蔵重久が被告人の本件被告事件の弁護人として出頭した旨記載してある。併し本件記録によると被告人が予め選任した弁護人は広沢道彦であつて右蔵重久を弁護人として選任した証左は存しないのみならず、右公判期日は被告人の選任した弁護人広沢道彦が出頭しない為、裁判所が職権で右蔵重久を被告人の弁護人として選出したものであると認め得る証左も何等存在しない。従つて原審は所論の様に刑事訴訟法第二八九条に違背して被告人の弁護人なくして開廷審理した違法があるものといふべく其の違法は判決に影響を及ぼすことが明らかで原判決は破棄を免れない。論旨は理由がある。

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