広島高等裁判所 昭和28年(う)546号 判決
原判決が罪となるべき事実の第四として「被告人は原審相被告人杉之原春高と共謀の上昭和二十八年二月二十六日頃広島市西九軒町赤木染物工場出張所附近道路上で渡壁行一郎管理に係る下水入孔蓋一枚を窃取し」第五として「右杉之原と共謀の上同日頃同所で前同人管理に係る下水入孔蓋一枚を窃取し」と夫々認定し、これに併合罪の規定を適用していることは所論の通りである。そこで記録を検討してみると右第五の犯罪は第四のそれに引続いて同一機会に行われ、その場所は何れも道路上で両者の距離は僅々二十米内外であり時間的にも場所的にも文字通り接着していたものであることが明瞭である。そして各盗品が同種物件でありその管理者が同一人であることは原判決の認定しているところである。以上の事実関係の下では前記第四第五の事実は単一の犯意にいでた一連の所為として法律上包括一罪と解するのを相当とする。従つてこれに併合罪の規定を適用した原判決は法令の解釈適用に誤があるものと謂わなければならないが、本件のように右の外にも数個の窃盗事実のある事案にあつては、この違法は結局判決に影響がないから論旨は採用できない。