大判例

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広島高等裁判所 昭和28年(う)873号 判決

而して抵当権の設定及びその登記のある家屋を売買する場合においては、抵当権の行使により、買主はその所有権を失う虞があるから買主において抵当権の設定及び登記のあることを知つたならばこれを買受けないこともあるであろうし、又たといこれを買受けても代金支払に関し、自己の利益を保護するため、相当の措置をする必要があるわけであつて、買主が右抵当権の設定及び登記の事実を知らずに買受け、代金を交付せんとする場合には、信義誠実を旨とする取引の必要に鑑み、売主は右事実を買主に告知する法律上の義務があるものといわなければならない。抵当権の設定が登記簿上明白で買主がその閲覧等により、容易にこれが設定を知り得るということは右義務の存在を妨げるものでない。故に右家屋の所有者がその家屋を売却せんとするに当り、相手方において、抵当権の設定及びその登記のあることを知つたならば、これを買受け、代金の支払をしないであろうと認められる場合に相手方の不知に乗じことさらに、抵当権の設定及び登記の存在することを黙秘するのは、法律上の告知義務に違背するもので、これがため、相手方をして、抵当権の負担なき家屋なりと誤信せしめた結果、これを買受け代金を交付せしめたときは、詐欺罪が成立するものと認めなければならない。

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