大判例

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広島高等裁判所 昭和29年(う)91号 判決

原判決挙示の関係証拠を綜合すると、被告人は昭和二十八年八月三十一日夜横川発可部行電車に乗車したところ、車中で酩酊している中村克美が金銭の計算をしていたのを目撃したので、乗合せていた通称「ちび」と称する男と共謀の上中村が酩酊しているのに乗じ同人より所持金を窃取しようと企て、可部駅で下車した同人の後を追い途中同人と共に飲食店に立寄り飲酒した上、中村を可部農事試験場寄宿舎に連れ込んだが窃取の機会なく、間もなく同人が同所を立ちいでたので立腹した被告人は中村を殴打し、それを機会に「ちび」と金銭強取を通謀し「ちび」が原判示の日時場所で中村のズボンポケツトに手を差入れたところ、同人が之を拒んで逃げだしたので、「ちび」と共に追跡し、中村が道路東側の小川に転落するや、酒の酔も手伝つて身体の自由を失つている同人のポケツトから現金一万円位を強取し、その際同人に対し右転落により治療約一週間を要する背部右下腿擦傷を負わしめたものであることが認められ、この認定を左右するに足る証左はない。而して以上認定の事実関係によると、被告人等の行為が強盜罪に該ることはいうまでもないところであり、又前記創傷は、中村が被告人等によつて金銭を強奪されることを免れる為被告人等の追跡を受けながら逃走している中小川に転落受傷したものであるから、被告人等の暴行と右負傷との間には法律上の因果関係があるものというべく、従つて被告人はこの点についても罪責を免れるわけにはいかない、結局原判決には所論のような事実誤認乃至擬律錯誤はない。論旨は何れも理由がない。

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