大判例

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広島高等裁判所 昭和30年(う)648号 判決

一、被告人田原保の論旨及び被告人都通哲雄の論旨中事実誤認の点について

所論は何れも被告人等が野本シヅエに依頼して作成した「姫井伊介」の印はその一週間前同人が小野田市長の職を退いていたものであるから、刑法第百六十五条所定の公務員の印章に該当しないというのである。しかし右法条にいう公務員の印章は一見して公務員の印章と誤信せしめるような形式外観を備えていれば足るものと解すべきところ、原判決の認定した事実によれば、被告人等は小野田市長姫井伊介名義の転出証明書を偽造せんと企て、之に押捺すべく「小野田市長印」「姫井伊介」なる各印章を野本シヅエに依頼して作成偽造したというのであるから、右両者は本件の場合不可分の関係に立つものと解すべく、而して之等の印章は一見して公務員である小野田市長姫井伊介の印章と誤信せしめるに足ることが明瞭であるから、偶々被告人等の犯行より一週間位前右姫井伊介が市長選挙に落選してその職を退いていたとしても又「姫井伊介」なる印章には公の名義が特に表示されていなくてもこの「姫井伊介」なる印章を公務員の印章と認めるについて何等支障はない。論旨は理由がない。

(裁判長判事 伏見正保 判事 村木友市 判事 小竹正)

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