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広島高等裁判所 昭和42年(ネ)425号・昭41年(ネ)264号・昭41年(ネ)270号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕<証拠>によれば、被控訴人牧村昭次は、被害者牧村邦満(昭和三三年六月三日生)の父であり、被控訴人牧村安子は、邦満の母であること、控訴会社は、昭和三九年一月頃、訴外ブルドーザー工事株式会社が広島県から請け負つた広島市仁保町大字丹那の埋立工事の下請をしたこと、控訴人中村清は、右と同じ頃、控訴会社から、更に、右工事の下請をしたこと、白銀正義は、控訴人中村に雇備されて自動車運転の業務に従事していたこと、白銀正義が、昭和三九年二月一日午後五時頃、大型貨物自動車(山・一・せ・一一―三三号)を運転して、広島市楠木町二丁目四四五番地橋本京染店前道路(幅員約9.8メートル)上を時速約二四キロで北進中、前方進路上を東から西に向けて横断歩行中の邦満を右自動車の右前部に接触転倒させた結果、同人に腹腔内出血、骨盤環骨折、左下腿骨折、下肢部圧挫傷、右前額部打撲傷等の負傷をさせ、翌二日午前八時、同市内原田病院において右負傷により死亡するに至らしめことが認められる。<証拠判断略>

被控訴人等は、控訴人等に対し、自動車損害賠償保障法第三条本文に基づき、本件事故による損害賠償を求めるのに対し、控訴人等は、本件自動車の運行供用者責任を争うので、この点について判断する。

<証拠>を綜合すれば、本件自動車は、控訴人中村清が山口いすゞ株式会社から買い入れ、同控訴人の業務のために使用していたものであること、控訴会社は、訴外ブルドーザー工事株式会社から前記工事の下請をした後、昭和三九年一月二六日頃、控訴人中村との間で、右工事の施行に関し、土砂の運搬整地につき下請工事契約を締結し、控訴人中村は右工事用の土砂の運搬に本件自動車を使用することにしたこと、そして、控訴人中村は広島県五日市町沖の埋立工事以来専属的に控訴会社の下請工事に従事していたので、控訴会社は、埋立土砂の混乱、盗難等を避ける趣旨もあつて、控訴人中村の使用する貨物自動車の車体に「富島組」という控訴会社の名称を表示させて、控訴会社がその事業のために控訴人中村の使用する本件自動車その他の自動車を支配し得る関係にあることを外観上明らかにしたこと、控訴会社は、埋立工事を確実に施行するため、土砂積取り場及び丹那の埋立現場に係員を派遣していたこと、控訴人中村は、本件事故当日工事現場に行つていなかつたので、白銀正義は、本件事故当時、専ら控訴会社の係員の指示のもとに、広島市内の新庄の土砂積取地点と丹那の埋立地点との間を往復して右工事用の土砂を本件自動車で運搬し、右土砂の積込み及び荷下しをしていたことが認められ、以上の認定を動かすに足りる証拠は存在しない。

以上の事実によれば、本件自動車の運転者である白銀正義は、控訴人中村の被用者であり、控訴人中村は、控訴会社の下請負人であつて、本件自動車の日常の管理は同控訴人において行なつていたのであるけれども、その下請工事を行うについては、控訴人中村は、控訴会社と一体となつて前記埋立工事に従事し、特に、土砂の積取及び埋立工事現場における本件自動車の運行については、控訴会社の指揮に委ねており、白銀正義も、控訴会社の被用者と同視しうる立場におかれていたのであるから、本件自動車の運行は、控訴会社の支配外の行為とはいえないし、本件自動車の運行によつて得られる営業利益は、控訴人中村とともに控訴会社にも帰属したものといえるから、本件自動車の運行は、客観的には、控訴会社および控訴人中村のためにする運行と認めるのが相当であつて、控訴会社および控訴人中村は、共同運行供用者として、被控訴人等に対し、自動車損害賠償保障法第三条本文により、本件自動車の運行によつて生じた本件事故の損害を賠償すべき義務があるといわねばならない。

なお、<証拠>によれば、控訴会社と控訴人中村との間の下請契約において、材料運搬の際発生した事故についてはすべて控訴人中村の責任において処理することと約定せられていたことが認められるが、それは右両者の内部関係についての定めであつて、右の如き約定があるからといつて、本件の場合控訴会社は本件自動車の運行供用者としての責任をまぬがれることはできない。控訴人中村清は、自己および運転者白銀正義が本件自動車の運行に関して注意を怠らなかつた旨主張するけれども、自動車損害賠償保障法第三条但書所定の免責事由を認めるに足る証拠は存在しない。(松本冬樹 浜田治 村岡二郎)

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