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広島高等裁判所 昭和43年(う)14号 判決 1974年1月31日

本店所在地

山口県下関市大字楠乃二〇五〇番地の一

法人の名称

新菱電機株式会社

右代表者代表取締役

植村剛

右会社に対する法人税法違反被告事件について、昭和四二年一一月四日山口地方裁判所が言い渡した判決に対し、被告会社から適法な控訴の申立があったので、当裁判所は検察官伊藤正利出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。

主文

原判決中、被告会社に対する判示第一の罪に関する部分を破棄する。

被告会社を判示第一の罪につき罰金一六〇万円に処する。

原判決中、被告会社に対する判示第二、第三の各罪に関する控訴を棄却する。

当審における訴訟費用は全部被告会社の負担とする。

理由

弁護人倉重達郎の控訴の趣意は記録繩綴の各控訴趣意書記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。

これに対する当裁判所の判断は次のとおりである。

昭和四三年四月一一日付控訴趣意書論旨第一点(理由不備、法令適用の誤りの主張)について

一、そもそも刑事訴訟法三三五条一項が、有罪判決の理由として「法令の適用」を示すべきことを定めたのは、「罪となるべき事実」に記載された被告人の所為が果たしていかなる犯罪を構成するか、そして、これにもとづいてどのようにして処断刑が形成されたかについて、法令上の根拠を明らかにする趣旨であると解される。したがって、法令の適用を摘示するにあたっては、その処断刑が正当に導出されうることが判明する程度まで記載すればそれで足りるのであって、それ以上に右の程度を超えて当該構成要件中の概念の定義規定や構成要件要素に関連する事項を定めた法条を遂一引用することを要しないものである。それゆえ、原判決が法令の適用において、法人税の税率を定めた法条や被告会社の下関税務署長に対する確定申告義務を定めた根拠条項を摘示しなかった点になんら所論のような理由の不備または法令適用の誤りがあるものとは考えられない。

二、原判決が原判示第一の事実ならびに第三の事実中、各事業年度の実際の所得額については、起訴状記載の所得額と異なる、之より少ない金額を認定し、しかも、それは原判決が、果たしてどの勘定科目につき、どれだけの金額について検察官の主張事実とその認定を異にしたことによるものであるか、その具体的な明細についてなんらの説示もしていないことは所論指摘のとおりである。しかしながら、罪となるべき事実の証拠説明としては、記録と照合した結果、果たして原判決がどの証拠にもとずいて、各事業年度における各勘定科目ごとにどのような金額を認定し、また起訴状記載の各事業年度における実際の所得額との認定の相異は、どの点の認定の差異に由来するものであるかの明細を容易に知ることができるかぎり、前記の点を捉えて直ちに理由不備の違法があるということはできない。これをいま本件についてみると、原判決が、原判示第一の事実記載の事業年度における被告会社の実際の所得額として認定した二一一一万二八八八円が、この点に関する検察官主張の金額二一七六万二八八八円に比して六五万円だけ少額になったのは、原判決が、右事業年度における売上脱漏と認定した被告会社が昭和三一年一月三一日小野田セメント株式会社小野田工場に対して販売した三相誘導電動機の販売代金収入九二万二〇〇〇円について、原審弁護人主張のとおり仕入原価六五万円を簿外の商品仕入代金として右事業年度の支出の部に計上すべきものと認定したことによるものであり、また、原判決が原判示第三事実記載の事業年度における被告会社の実際の所得額として認定した二四七八万二〇二七円が、この点に関する検察官主張の金額二六七八万一五五〇円に比して一九九万九五二三円だけ少額になったのは、原判決が、右事業年度中の有価証券売買益九〇万三五一四円と受取配当金一〇九万六〇〇九円は被告会社に帰属すべき所得である旨の検察官の主張を採らなかったことによるものであることは、原判決挙示の証拠と記録とを対照することによって容易に看取することができるから、原判決に所論のような理由不備の違法はない。

三、しかし、原判決の事実と証拠の摘示にもとづき記録と照合すれば、どの証拠によってどの事実が認定されたかはきわめて明瞭である。また、原判決は証拠摘示の方法として、一部の証拠を原判示各事実について共通の証拠として一括して掲げているけれども、これらの証拠は、いずれも実際に原判示各事実に共通するものであって、単に各判示事実毎に繰り返し摘示する煩雑を省略したにすぎず、しかも、かかる一括的列挙の方法をとったとしても、どの証拠によって、どの事実を認定したものであるから自ら分明である以上、かかる証拠摘示の方法が刑事訴訟法三三五条一項に違反するものとは認められない。

四、原判示法人税逋脱罪の構成要件は、詐偽その他不正の行為をもって法人税を逋脱した者を処罰の対象としているからその罪となるべき事実を判示するにあたっては、どのような詐偽又は不正行為により法人税を逋脱したかを判示しなくてはならないことは所論の指摘するとおりである。しかしながら、右事実の判示の程度については、原判示のように「斎藤福雄が被告会社の業務に関し、法人税を免れる意図の下に工事収入、商品売上収入等を公表帳簿に記載せず、あるいは同帳簿に架空仕入を計上するなどの不正な方法により該部分の所得を秘匿したうえ虚偽の申告をなした」旨を判示すれば、右構成要件が定める犯罪の手段方法の摘示として欠けるところはないものと解されるから、さらにそれ以上所論のように個々の勘定科目ごとにその不正行為の具体的方法を詳細に判示することを要しないものというべきである。それゆえ原判決の事実摘示に所論のような違法はない。

五、原判決が事業年度を標準として各事業年度ごとに一個、従って三事業年度に計三個の法人税逋脱罪が成立し、それが併合罪の関係に立つことを判示した趣旨であることは、原判示各事実とこれに対する法令の適用の判示内容に徴して明らかであり、この点になんら所論のような違法はない。

以上要するに、原判決には所論のような理由不備または法令適用の誤りはなく、論旨は理由がない。

同控訴趣意書論旨第二点(事実誤認の主張)について

一、(1)なるほど、所論の指摘するように被告会社が昭和三一年一〇月三一日下関税務署長に対して確定申告をした昭和三〇年九月一日より翌三一年八月三一日までの第三期事業年度(以下単に第三期という)における被告会社の工事収入二九九三万一九八九円のうちには、本来昭和二九年九月一日より翌三〇年八月三一日までの第二期事業年度(以下単に第二期という)に属すべき工事収入二七八万七九四九円が含まれていたことは、原判決挙示の証拠および当審において取調のなされた各法人税再更正決議文写ならびに当審証人広沢奨に対する受命裁判官の各尋問調書(以下単に前掲証拠という)に照らして明らかなところである。そして、被告会社がこのように本来第二期の確定申告に際し、同期に属すべき右工事収入二七八万七九四九円を当該事業年度の所得とせず、翌第三期の工事収入金として繰り越して公表申告した行為が、もし第二期に生じた利益を調節するためにかかる経理上の操作をして不正に同期の課税所得を減少せしめたものであるとするならば、それは昭和三二年法律第二八号による改正前の法人税法四八条一項所定の法人税逋脱行為に該たるというべきであるから、この種事犯における税務会計処理の原則に従って、右二七八万七九四九円を第二期の犯則益金として工事収入金に加算計上する一方、右金額を翌第三期の犯則損金として計上すべきものである。したがって、かかる場合においては、当然所論の指摘するとおり第三期における犯則税額の計算の基礎となる犯則所得金額(犯則益金から犯則損金を控除した金額)の算出に際して、右金額だけ控除されることになるわけである。ところが、前掲証拠ならびに広島国税局収税官吏作成の告発書抄本によれば、本件の査察にあたった広島国税局は、右の点が前記法人税法四八条一項所定の法人税逋脱行為に該当することの疑はあるものの、果たして被告会社においてかかる犯意をもって右工事収入二七八万七九四九円を第二期の工事収入金に算入せず、翌第三期に繰越計上して、不正に課税所得を減少せしめたものであるか否かの点については、これを肯定するに十分な証拠が得られなかったものとして、これを第二期の犯則益金として工事収入に加算計上しないで、単に第二期のいわゆる準犯則益金として工事収入に計上して課税処分する一方、右金額を翌第三期の準犯則損金として計上し、これを告発の対象たる犯則所得から除外し、検察官もこれを公訴提起の対象から除外したことが認められる。そもそも「犯則税額の計算は、犯則所得金額を計算の基礎とすべきものであって、右に述べた準犯則所得金額(準犯則益金から準犯則損金を控除した金額)は犯則税額の計算に直接影響を及ぼすべきものではない。唯、この場合、もし右準犯則損金およびその他損金の総額が当該事業年度の準犯則益金およびその他益金の総額を超えるときは、その超過額のみが犯則損金として取扱われ、犯則益金から控除されるにとどまるのである。」これは法人税法にもとづく課税処理において、当然適用されるべき税務会計の原則であり、それ自体正当であって、なんらの誤りもまた不当な点も存しない。したがって、原判決が第三期における犯則所得金額の認定において、右二七八万七九四九円を控除しなかった措置は正当であったというべきである。

(2) また、所論が、被告会社の第三期に属すべき工事収入の一部であるにもかかわらず、これを看過した原判決には、第三期の犯則所得金額の認定に誤りがある指摘する四二万三〇〇〇円は、原判決の挙示する証拠に照らすと、被告会社が小野田セメント株式会社八幡工場から受註した自動車撒積設備動力配線工事の請負工事代金四二万三〇〇〇円について、同会社から、昭和三一年二月九日三〇万円、同年五月八日一二万三〇〇〇円の二回に亘って支払を受けながら、これを公表帳簿に記載しなかった点を指すものと解せられるところ、右四二万三〇〇〇円の売上脱漏については、検察官が本件公訴提起の対象から除外していることが、原判決挙示の証拠によって窺われるから、原判決がこれを第三期の工事収入の脱漏分として犯則所得に加算しなかった措置は正当というべきである。

二、所論が、本来、被告会社の昭和三一年九月一日より翌三二年八月三一までの第四期事業年度(以下単に第四期という)に属すべき工事収入であるにもかかわらず、昭和三二年九月一日より翌三三年八月三一日までの第五期事業年度(以下単に第五期という)の工事収入として確定申告がなされたため、これを看過した原判決の第四期、第五期の犯則所得金額の認定には夫々誤りがあると指摘する工事収入金二七九五万七〇三〇円については、原判決挙示の証拠に徴すると、それは、被告会社が小野田セメント株式会社から支払を受けた工事収入金中、八幡工場分九三八万四〇〇〇円と、恒見工場分一八五七万三〇三〇円がいずれも第四期に属すべきものであるにもかかわらず、これを同期の所得として申告せず、翌第五期の工事収入金として申告せず、翌第五期の工事収入金として確定申告した点を指すものと解せられるところ、前掲証拠ならびに広島国税局収税官吏作成の告発書抄本によれば、本件の査察にあたった広島国税局は、右二七九五万七〇三〇円についても、前記、(1)記載の二七八万七九四九円の場合と同様、これが前記法人税法四八条一項所定の法人税逋脱行為に該当することの疑はあるものの、果たして被告会社においてかかる犯意をもって右工事収入二七九五万七〇三〇円を第四期の工事収入金に算入せず、翌第五期に繰越計上して、不正に課税所得を減少せしめたものであるか否かの点については、これを肯定するに十分な証拠が得られなかったものとして、これを第四期の犯則益金には加算計上することなく、第四期の準犯則益金に計上して課税処理する一方、右金額を翌第五期の準犯則損金に計上し、これを告発の対象たる犯則所得から除外し、検察官もまた本件公訴提起の対象から除外したことが認められるから、原判決がこれを第四期の工事収入の脱漏分として犯則所得に加算しなかった措置は正当というべきである。また、前掲証拠によれば、被告会社は、その経理上、右二七九五万七〇三〇円の工事収入に対応する工事費用については、既に第四期の公表帳簿に正当に計上しながら、他方、右工事収入のみを第四期に計上しないで翌第五期に繰越計上したものであることが認められる。すなわち、第四期の公表帳簿には、右工事費用のみを計上して、これに照応する右工事収入を計上しない点に損益計算上の不合理が存したわけである。したがって、第五期の工事収入として確定申告がなされた右工事収入金二七九五万七〇三〇円を、単に前記のように第四期の工事収入にひき戻しさえすれば、それでこの点に関する収支の不合理は修正されて、損益計算上、本来あるべき姿に是正される筋合であり、所論のようにこれに伴なって、材料費、外注費など工事費用についてまで修正を加える余地はなく、またかかる修正を加えることは正当ではないものというべきである。それゆえ、原判決の第四期、第五期の各犯則所得金額の認定に所論のような誤りは存しない。

三、前掲証拠によれば、被告会社は第三期から第五期までの間、課税所得の減少を図る目的をもって、公表帳簿に架空仕入、架空外注費を計上したうえ、かかる事実を隠蔽するために、その支払を証明する証拠として架空の仕入先ならびに外注先名義の請求書並びに領収書を偽造したこと、本件の査察にあたった広島国税局は、その査察において、被告会社の公表帳簿に記載された仕入材料費ならびに外注費が果たして現実に支出を伴なう真実の仕入ならびに外注費であるか、あるいは単なる架空のものにすぎないかを判別するために、公表帳簿に記載された個々の支出ごとに遂一、その取引先の帳簿と照合するなどの方法によってその真否を確認したものであることが認められる。したがって、原判決が認定した原判示の各事業年度における被告会社の支出した工事費用は、公表の帳簿に記載された工事費用中から、架空仕入ならびに架空外注費など不当の方法によって計上された経費を控除することによって正当に算出された金額であるといわなければならない。それゆえ、たとえ原判決が認定した各事業年度における犯則所得金額を前提として、各事業年度別に工事収入と工事原価を算出し両者を対比させてみると、その比率、すなわちいわゆる荒利益率が所論のような高率に達するからといって、原判決の認定した各事業年度における犯則所得金額の認定が不合理であるということはできない。所論はこの点について、被告会社と同種の事業内容を有する会社の荒利益率は一般に三三パーセント前後にすぎないにもかかわらず、原判決の認定した犯則所得金額を前提にして算出した荒利益率が、これを遙かに超える高率に達するのは、原判決が原審弁護人の主張する簿外の材料費ならびに外注費の存在を無視し、これを計算に入れなかった結果にほかならないという。しかしながら、原判決の挙示する証拠によれば、被告会社における工事材料の仕入については、被告会社が受注したすべての工事に関し、その工事現場の責任者である久永三郎が工事に必要な工事材料をすべて自ら仕入先に対して直接発注し、これに応じて工事材料が仕入先から工事現場に直接納品されるという方法がとられ、しかも工事材料が納品されるつど、右久永によって果たして納品書記載どおりの工事材料が納品されたか否かを検収する手続がとられたうえ、同人の検収印の押捺された納品書が同会社の経理の一切を担当していた江口忠彦のもとに届けられ、これにもとづいて右江口が当該材料費の支払をするという手続が定められ、これにもとづいて、運用されていたこと、また、被告会社は工事の外注をするにあたっては、あらかじめ下請業者から人夫工賃の見積書を出させたうえ、これにもとづいて右久永がその記載内容の当否を検討したうえで下請業者に発注し、右見積書を経理担当の右江口のもとに送り、同人のもとで外注費の支払がなされるという手続がとられていたことが認められる、したがって、もし所論のように被告会社の社長である斎藤福雄によって、簿外の工事材料費や外注費が支出された事実があるとするならば、前記のような工事材料仕入ならびに外注の方法、手続に関する被告会社の組織からみて、当然に被告会社の工事施行の責任者であった右久永三郎が、発注についてあらかじめ関知しない工事材料の納入や外注の行なわれた事実が存在した筈である。しかるに、かかる事実が存在しなかったことは、久永三郎の検察官に対する各供述調書に徴して明らかである。右認定に反する原審証人久永三郎の第六回公判調書中の供述部分は措信しがたく、当審第二回公判調書中の証人福島守の供述部分はいまだ右認定を左右するに足りず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。それゆえ、これらの事実をあわせ考えると、所論のような簿外の材料仕入や外注は存在しなかったものといわなければならない。加えるに、被告会社は現に前記斎藤福雄が右江口忠彦と相談の上、第三期から第五期までの間、課税所得の減少を図るためにあえて公表帳簿に架空仕入、架空外注費さえ計上していたのであるから、もし真実、工事材料費や外注費の支出があったとするならば、これをあえて簿外にするまでもなく、公表帳簿にその支出を記載した筈である。所論のように被告会社が一方では架空仕入、架空外注費を公表帳簿に計上して課税所得の減少を図りながら、他方では真実為した筈の材料費や外注費の支出をあえて簿外にするというが如きことは到底理解しがたいところである。

四、なるほど、原判決が被告会社の簿外交際費の支出について所論のとおり第三期に三〇〇万円、第四期、第五期に各一二五万円を支出した事実を認定したものであることは、原判示各事実と原判決挙示の証拠を対照すれば明らかなところである。しかしながら、前記斎藤福雄は本件査察の段階における広島国税局収税官吏の質問、および検察官の取調に対し、被告会社の簿外交際費はすべて同人自らがこれを支出したものである旨を供述し、またその金額の点についても前記認定に沿う供述をしていることが同人の収税官吏に対する各質問顛末書、ならびに検察官に対する供述調書の各記載に徴して明らかであって、これにその他の原判決の挙示する関係各証拠をあわせ考量すれば、簿外交際費の支出は、右供述にあらわれた金額の範囲を出ないものというべきである。所論は第六期以降における交際費の支出金額に微すると簿外交際費の支出金額が前記認定の金額を超えることは明らかであるという。しかしながら、これまた簿外材料費ならびに外注費の支出に関する主張について述べたところと同様、もし真実所論のような多額の交際費の支出があったとするならば右斎藤福雄は、これをあえて簿外にするまでもなく、当然これを公表帳簿に記載した筈である。一方では前記のように架空仕入、架空外注費を公表帳簿に計上して課税所得の減少を図りながら、他方においては真実為した筈の交際費の支出をあえて簿外にするというような不合理な経理がなされたことは到底肯認しがたいところである。それゆえ、所論指摘の事情は右認定を左右するに足りず、他にこれを覆すに足りる証拠はない。

してみれば、原判決に事実の誤認がある旨の論旨はいずれも理由がない。

なお、職権をもって調査するに、原判決が検査官主張事実中、第五期における有価証券売買益と受取配当利息の合計一九九万九五二三円が被告会社に帰属すべき所得(準犯則益金)である旨の主張を採らず、従って、もともと準犯則損金およびその他損金の総額が準犯則益金およびその他益金の総額を超える第五期の犯則所得金額から更に右一九九万九五二三円だけ控除する金額が増加し、第五期における被告会社の実際所得額、正規法人税額および逋脱法人税額がこれにそれぞれ照応して検察官主張の金額より低く認定されていることは、さきに論旨第一、二に対する判断において説示したとおりである。

そこで第三期における有価証券売買益五八七万七〇九七円および受取配当利息一一二万九七二六円の合計七〇〇万六八二三円についてみるに、検察官主張事実によれば、右合計額が被告会社に帰属すべき所得(準犯則益金)として計上されていることは、広島国税局収税官吏作成の告発書抄本に添付された被告会社の第三期修正損益計算書の記載に徴して明らかであり、原判決は右主張をその儘採用し、単に三相誘導電動機の仕入原価六五万円を簿外の商品仕入代金として第三期の支出の部に計上すべきものと認定した結果、第三期における被告会社の実際所得額、正規法人税額および逋脱法人税額をこれにそれぞれ照応させて検察官主張の金額より低く認定しているに止まったことは、これまたさきに論旨第一、二に対する判断において説示したとおりである。

しかし、原判決が第五期において有価証券売買益および受取配当利息の合計一九九万九五二三円を被告会社に帰属すべき所得(準犯則益金)としなかったのは、これを原審相被告人斎藤福雄の個人所得と認定したことによるものと思料され、右認定は第三期における有価証券売買益および受取配当利息の合計七〇〇万六八二三円についても妥当すると思料されるから、右七〇〇万六八二三円を第三期に被告会社に帰属すべき準犯則益金およびその他益金の総額から除算して、同期に同会社に帰属すべき準犯則およびその他損金の総額と比較すると、被告会社の第三期における準犯則益金ならびにその他益金の合計金額が二二六万二五六円であるのに対し、同期の準犯則損金並びにその他損金の合計金額は二八九万六七三九円に達し、後者が前者を六三万六四八三円超過することが明らかである。このように準犯則損金およびその他損金の合計額が、準犯則益金およびその他益金の合計額を超える場合、犯則税額の算出にあたっては、税務会計処理の原則上、その超過額を犯則損金として計算すべきものであるから、第三期における犯則所得の計算にあたっては、犯則益金の総額から右超過額六三万六四八三円を控除しなければならなかったわけである。それゆえ、原判決挙示の関係各証拠にもとづいて、第三期の被告会社の犯則所得金額を計算すると、二〇四七万六四〇五円となり、これに対する法人税額は八一六万五五六〇円であるから、その逋脱金額は、申告所得に対する法人税額四〇万二〇四〇円との差額七七六万三五二〇円となる。ところが原判決は第三期の犯則所得の計算に際し、犯則益金の総額から、前記六三万六四八三円を控除しなかったため、同期の犯則所得金額を二一一一万二八八八円、これに対する法人税額八四二万一二〇円、その逋脱金額は前記申告所得に対する法人税額との差額の八〇一万八〇八〇円と認定したものであって、これは事実を誤認したものであり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかである。したがって、原判決中、被告会社に対する原判示第一の事実に関する部分はこの点において破棄を免れない。

同控訴趣意書論旨第三点(審理不尽、理由不備の主張)について

しかし、原判決挙示の証拠を総合すれば、原判示第一の事実中、犯則所得金額、これに対する法人税額、その逋脱額の点を除いて、原判示各事実はいずれも十分にこれを認定することができ、右の諸点も、既に前記のとおり明らかである。それゆえ、原判決には所論のような違法は存しない。論旨は理由がない。

よって原判決中、被告会社に対する原判示第一の罪に関する部分については、刑事訴訟法三九七条一項、三八二条に則り、これを破棄し、右事実に関する量刑不当の論旨に対する判断を省略し、同法四〇〇条但書により更に判決することとする。

その余の原判示第二、第三の各罪に関し、昭和四三年四月一三日付控訴趣意書記載の量刑不当の論旨について判断するに、記録ならびに当審における事実取調の結果に徴しても、被告会社に対する原判決の刑の量定が不当であると認めるべき事由は見出し得ない。論旨は理由がない。

よって原判決中被告会社に対する原判示第一の罪に関する部分を除くその余の部分に関する控訴は理由がないので刑事訴訟法三九六条によりこれを棄却することとする。

(罪となるべき事実)

原判示第一の事実中、「右会社の実際の所得額は二一一一万二八八八円であった」とあるのを、「右会社の実際の所得金額は一〇四七万六四〇五円であった」と、「正規の法人税額八四二万一二〇円」とあるのを、「正規の法人税額八一六万五五六〇円」と、「八〇一万八〇八〇円を逋脱し」とあるのを、「七七六万三五二〇円を逋脱し」と訂正するほかは、原判示第一の事実のとおりであるから、ここにこれを引用する(なお原判示第一の事実中、所得申告額が「一〇六万二六一二円」とあるのは、「一〇六万七六一二円」の誤記と認める)。

(右認定事実についての証拠)

原判決が、原判示第一の事実について摘示する証拠に原審証人碓井秋夫の第八回公判調書中の供述部分、原審証人加藤嘉久の第九回乃至第一一回公判調書中の各供述部分、当審において取調のなされた第三期法人税再更正決議書写ならびに広島国税局収税官吏作成の告発書抄本を付加する。

(法令の適用)

被告会社の代表者であった原判示斎藤福雄の原判示第一の事実に関する犯行は、被告会社の業務に関してなされたものであるから、昭和三二年法律第二八号法人税法附則一六項により同法による改正前の法人税法五一条に従い、被告会社に対し、同法四八条一項、五二条を適用し、所定の罰金額の範囲内で主文第二項掲記の刑に処し、当審における訴訟費用は全部被告会社に負担させることとして主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 栗田正 裁判官 片岡聰 裁判官久安弘一は転任のため署名押印することができない。裁判長裁判官 栗田正)

控訴趣意書

被告人 新菱電機株式会社

外一名

右のものに対する法人税法違反事件について左のとおり控訴趣意書を提出する。

一、原判決は理由を附せず又は法令の適用に誤りがあってその誤りが判決に影響することが明らかである。

1 原判決は罪となるべき事実中に於て第一事実について八〇一万八〇八〇円第二事実について三八七万六六八〇円第三事実について九一三万三五三〇円を各逋脱した事実を認定したが適条の部分においては法人税法の何条に基いて税率を計算したものかまた何条による確定申告をしなかったものかその適条を遺脱していることが明白である。いうまでもなく祖税法律主義の下にあっては課税標準に対する税率及び確定申告の期限納付の日時等は法定されているのであるから単に法人税法四八条、五一条、五二条を標示するのみでは刑事訴訟法第三三五条第一項に定める法令の適用を示したものとはいえないし、また理由不備があり条理上判決に影響することが明らかである。

2 原判決は第一事実について昭和三〇年九月一日から昭和三一年八月三一日までの被告人会社の第三期の事業年度における所得額は二一一一万二八八八円であり第三事実について右会社の昭和三二年九月一日から昭和三三年八月三一日までの第五期の事業年度の所得額は二四七八万二〇二七円であると認定し起訴状において検察官が主張する第一期の所得額は二三一七万五五九八円第五期のそれは二六八〇万一八九〇円であるとの主張を一部しりぞけている。これは被告人等に利益ではあるけれども何が故にこのような結論に達したものか判文上は明らかでないし証拠の標目に挙示する証拠と対照してみても明白でないから理由に不備がある。

3 昭和二九年五月二八日最高第二小法廷判決(最高裁刑集八巻五号七七五P)によれば有罪の云渡をするにはどの証拠でどの事実を認めたかを明らかにする必要があるけれども必ずしも各犯罪事実ごとに個別的にこれを認めた証拠の標目を示さなければならないわけではない。

数個の犯罪事実について数多の証拠の標目を一括して掲げて説明しても判文と記録とを照し合せて見てどの証拠でどの事実を認めたかが明白であるかぎり違法ではないと判示しているこれを本件に当てはめてみると原判決が証拠の標目中に於て一括列記する証拠を精査しても判示事実をどの証拠で認めたか形式的関連すらない。このような証拠説明は刑事訴訟法第三三五条第一項同法三一七条等の規定に反し違法で理由が不備である。

4 原判決は法人税を免れる意図の下に工事収入商品売上収入等を公表帳簿に記載せずあるいは同帳簿に架空仕入を計上するなどの不正な方法により該部分の所得を秘匿し……虚偽の所得申告をなし……と判示し右は法人税法第四八条、五一条、五二条に当ると認定しているようである。しかしこの程度の判示ではどのような不正の方法で法人税を逋脱したか明らかでない、工事収入、商品売上収入、架空仕入の明細その他の不正行為の具体的内容を判示してこれを明らかにしない以上罪となる事実の判示としては不適法である。物品税逋脱犯(物品税法一八条)に関する昭和二七年一一月二〇日札幌高裁判決(高裁刑集五巻一一号二〇〇八P)は原判決は単に偽ってと判示しているのみでどのような詐欺又は不正行為により物品税を逋脱したかを判示せず漫然偽ってとのみ判断しているから理由にくいちがいがあるものといわなくてはならないとのべ原判決は破棄を免れないと判示しているがこの判決は本件にも該当する検察官は冒頭陳述書において第三乃至第五期の修正損益計算を添付して具体的に不正な方法を述べている。これに対し被告人等もまた右検察官の修正損益計算に対し更に独自の修正損益計算書を提出してこれを争いかつ立証している従ってこれら争いのある具体的勘定科目についてどこに不正な方法があるかを判示しなければならないものと思料する。しかるにこれを欠ぐ原判決は違法であるけだし各具体的不正行為の犯意の有無の認定にも影響するからである。以上は判決に影響することが明らかである。

(原判決判文)

5 原判決は併合罪の規定(刑法四五条前段)を適条に掲げているがその意味は(イ)第三、第四、第五期の各事業年度の逋脱行為が併合罪となる趣旨なのか(ロ)又は右各年度の各勘定科目の逋脱行為もそれぞれ併合罪となる趣旨なのか(ハ)それともまた各事業年度の各逋脱行為は包括一罪とみた趣旨なのか判文上明らかでない、かかる判示方法は違法で理由が不備である。

二、原判決は事実の誤認があって判決に影響することが明らかである。

1 原判決はその判文及び証拠に照らし第三期の工事収入は四四八二万九八一七円であると認定していることは明らかである。(検察官の冒頭陳述添付の修正損益計算書工事収入の部)そうしてこの金額の中には二七八万七九四四円の第二期の工事収入に属すべき収入が含まれていることは右計算書の収入の部申告額二九九三万一九八九円の記載及び検察官の論告要旨四の(一)で「二七八万七九四九円は第二期分収入として第二期で否認した金額である従って被告会社が公表帳簿第三期分に計上したため控除してやるべきである。しかし起訴外の工事収入額で控除したため起訴額上算入しなかった」旨の記載によって明らかである。また、弁護人提出の修正損益計算書中右第三期の修正損益計算書中の工事収入の内四二万三〇〇〇円は第三期の工事収入の脱漏であるからこれは同期の工事収入に加算さるべきで結局四二四六万四八六八円が同期の工事収入であると被告人は主張している。このように前記二七八万七九四九円が第二期の収入であることは争いのない事実であるのに証拠によらずして漫然第三期の収入としたのは証拠によらずして事実を誤認した違法があるその詳細は昭和四二年四月四日付弁論要旨(三)に於て述べたとおりである。

2 弁護人提出の第四期の修正損益計算書中工事収入の部に記載されている二七九五万七〇三〇円は第四期の工事収入であるから検察官主張の同期工事収入五四三九万七四六〇円に加算されるべきである、従って同期の工事収入は八二三五万四四九〇円となることは計数上明らかである。しかるに論告要旨四において検察官は右は第四期の工事収入であるが課税済みで訴起外であるとして被告人の主張を否認しているところで被告会社は誤ってこれを第五期の収入として現実に申告しているので、収入脱漏の犯意はないと認定さるべき筋合である。しかも右が第四期の収入に加算さるとすれば当然これに対応する材料費、外注費等の工事原価が弁護人提出の修正損益計算書のように修正さるべきはこれまた当然である。その詳細は前記弁論要旨三の(2)の(ト)において主張しているとおりでこの点に事実の誤認がある。

3 原判決は簿外材料費及び外注費について起訴状記載の数字をそのまま認定しているが事実がそのとおりとすれば、その荒利益率は実に四八、六パーセントの高率に達する。本件発生の時点に於ける広島国税局保管の所得標準率表によれば、被告会社と同種の商人の荒利益率は三三パーセント前後である。およそ課税標準の認定に当り法律上推計課税が許される場合にその基準、たとえば所得標準率を命令又は通達で示すことがあるこれらの標準率又は効率表を適用することは許される。例えば昭和三六年七月一八日大阪高裁判決(行裁集一二巻七号一四四八P)大地昭和三八年六月二二日判決(行裁集一四巻六号一一五五P)が判示する。本件においてははるかにこれを上廻った推定をしている。どのようにしてかかる推定をしたのかその根拠が原判決では明らかでない殊に本件当時は物価の変動のはげしい時代であった公知の事実を併せ考えるとかかる推定は合理的根拠を欠いでいて理由が不備である。その詳細は弁論要旨(一)の四及び要旨(二)の一でのべているのでこれを援用する。

4 交際費については、弁論要旨(一)の五で弁護人が主張しているように事実は申告額及び認容額以上に、その記載のように支出している申告額が過少であるのは益金を過少にしたことに対応するもので要するに合計規模を縮少したためである。しかし事実支出したものは法人税法第四八条、五一条、五二条の逋脱犯の成否に関しては、支出と認むべきで法人税法又は祖税特別法等により、交際費として認られないものでも損金として認められるべきである。その詳細は同所で論じたとおりである以上は、一件記録及原判文で明らかで判決に影響する。

三、原判決は審理不尽理由不備の違法がある。

脱税額の認定判示を欠ぐ判決は違法であることは最高裁昭和三八年一二月一二日判決(刑集一七巻一二号二四六〇P)の示すとおりである。この額は逋脱犯の実行行為である不正行為と因果関係を有し且つ犯意のある部分に限られることは、勿論である。本件において、検察官の主張は脱漏所得額五六六三万八三〇五円被告人等の主張は一三六八万三九八一円となり、差引き四二九五万四三二四円の相違があったが原判決はその一部を脱税額から控除したが、その余の部分についてはこれを認定した。しかし法人所得の計算は単なる推測のみで決すべきではなく、推測が許されるとすればそれは合理的なものでなければならない、ところが原判決の挙示する証拠の標目からしては原判決判示の逋脱額は出てこないし、また逋脱額と不正行為逋脱額の内容(各勘定科目)と犯意との関係が明らかでない右は冒頭掲記の違法がある(一件記録)。

右控訴趣意書を提出する。

昭和四三年四月一一日

弁護人

倉重達郎

広島高等裁判所第一部 御中

控訴趣意書 (二)

被告人 新菱電機株式会社

外一名

右のものに対する法人税法違反事件について左のとおり控訴趣意書を提出する。

一、原判決は刑の量定が不当である。

原判決は被告人会社を罰金計五〇〇万円被告人斎藤福雄を懲役六月執行猶予一年の刑に処したが量刑が不当である。その理由は昭和四三年四月一一日付で弁護人が提出した控訴趣意書記載の点が理由がないとしても右の書面でのべた理由によって原判決の量刑は不当である。そのほか弁護人が原審でのべた昭和四二年五月一三日付の弁論要旨(第二回)殊にその二以下記載の情状を援用する。その証拠は右書面で援用している証拠のほか一件記録によって明らかで凡てこれを援用する。

二、以上控訴趣意書(一)及び(二)の理由によって原判決を破棄の上、更に相当の御判決を求めるため本控訴に及んだ。

昭和四三年四月一三日

弁護人

倉重達郎

広島高等裁判所第一部 御中

補充書

昭和四三年(う)第一四号

被告人 新菱電機株式会社

右代表取締役 斎藤周三

右の者に対する法人税法違反事件について弁護人は左のとおり控訴趣意書の補充書を提出する。

一、昭和四三年四月一一日付控訴趣意書(二)の(1)の趣旨について

(1) 同項に記載している二七八万七九四四円は被告人会社の第二期の工事収入であることは争いのない事実であるから第三期の工事収入に計上すべきものではない、ところが被告人は誤ってこれを第三期の工事収入とした。そこで検察官は右の収入額は既に二期で課税計算ずみであるから三期の収入としてはこれを除外すべきであり、また三期分のほ脱額の起訴は、全体の内の一部のみを起訴したものであるから何ら違法の点はないかの如く主張する。しかし以下の理由で失当である。

(2) 法人税は法人の各事業年度の総益金から総損金を控除したものをその年度の所得としてこれを基礎として課せられるものであるから、本件にあっても第二期の益金である前記二七八万七九四四円を三期の益金として計算すること自体違法である。したがって、右工事収入に対応する工事原価もまた二期の損金として差引き所得金額を計算すべきである。

(3) このような計算によって三期の税額が算出され、したがって被告人のほ脱額も確定される故に三期のほ脱額の一部を起訴したのみであるからといって違法でないとはいえない。何となれば全体が確定されない限り一部はあくまで全体の一部であるからである。

(4) 仮にそれが被告人にとって不利益になったからといってそれのみで右の違法が治ゆされるものではない。しかるところ原判決はこの道理を誤った違法がありこの誤りが本件においてはほ脱額に影響することが明らかである。

二、同控訴趣意書(二)の(2)の二七九五万七〇三〇円について

(1) 右金員は原審における弁護人提出の弁論要旨(第一回)(三)の(2)の(ト)でのべているように第四期の収入である。したがってこれに対応する原価も第四期の損金として差引き所得金額を算出すべきは当然である、しかるところ検察官は原審の論告要旨(四)の(二)において、右金員は小野田セメントに対する(小野田セメントからの意味と思われる)工事収入金であるが(四期で)課税ずみで起訴外としたものであるからとの理由で被告人の主張を排斥した。しかしこれも本書面(一)と同様の理由で第四期分の収入として計算さるべき道理であるから右の所論は違法であり原判決もこの点に違法がある。よって当審において弁護人の右原審の所論を援用する。

三、同控訴趣意書(二)の(3)における荒利益率三三パーセント前後との主張の根拠は各税務署にある所得税率表に明らかに記載されていることは聞知しているところである。

四、法人税決議書とは例えば別紙のように税務官庁内での法人税額決定の決議書のことである。

五、なお本書面で足らないところは御釈明をまってのべることにする。

右提出する。

昭和四八年一月一六日

弁護人

倉重達郎

広島高等裁判所第四部 御中

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