広島高等裁判所 昭和28(ラ)4 高裁判例
主 文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理 由
抗告人は「原決定を取消す。原決定末尾目録記載の不動産に対し、競売手続を開
始する」との裁判を求め、右申立の理由の要旨は、抗告人は、相手方所有の右不動
産に対し、根抵当権に基き競売の申立をなしたところ、原審は、右不動産について
は、既に松江市のため、昭和二七年九月四日、市税滞納処分による差押の登記あり
との理由を以て、抗告人の本件競売の申立を却下したけれども、公共団体の徴税事
務担当者の職務執行は、動もすれば怠慢に陥り勝ちであつて、貸借関係で利害関係
を有する民間人としては、右職務執行の成果につき多大の関心を有せざるを得な
い。法の解釈、運用は須らく変転極まりない社会事情に即してなさるべく、滞納市
税の整理を促進するためにも、抗告人の本件競売の申立は、当然これを許容すべき
ものであるのに拘らず、これを却下せる原決定は不当である、というに帰着する。
<要旨>併しながら、本件不動産に対し、既に、松江市において、市税滞納処分と
して、差押をなした事実がある以</要旨>上、抗告人が主張するような理由を以てし
ても、更に、競売手続を開始することができないことは論を俟たない。されば、こ
れと同趣旨に出で、抗告人の本件競売の申立を却下せる原決定はまことに相当であ
るから、本件抗告はその棄却を免れない。
よつて、民事訴訟法第四一四条、第三八四条第一項、第八九条により、主文のと
おり決定をする。
(裁判長判事 平井林 判事 藤間忠顕 判事 組原政男)