広島高等裁判所岡山支部 平成16年(ネ)12号 判決 2005年1月20日
名古屋市<以下省略>
控訴人(附帯被控訴人。以下「控訴人」という。)
大起産業株式会社
同代表者代表取締役
A
同訴訟代理人弁護士
肥沼太郎
同
三﨑恒夫
岡山県<以下省略>
被控訴人(附帯控訴人。以下「被控訴人」という。)
Y
同訴訟代理人弁護士
加瀬野忠吉
主文
1 本件控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。
(1) 被控訴人は,控訴人に対し,475万5143円及びこれに対する平成13年6月17日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(2) 控訴人は,被控訴人に対し,2015万0922円及びこれに対する平成12年2月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3) 控訴人のその余の本訴請求及び被控訴人のその余の反訴請求をいずれも棄却する。
2 本件附帯控訴を棄却する。
3 訴訟費用は,1,2審を通じてこれを2分し,その1を控訴人の負担とし,その余を被控訴人の負担とする。
4 この判決は,1項(1)及び(2)に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1当事者双方の申立て
1 控訴人
(1) 原判決を次のとおり変更する。
(2) 被控訴人は,控訴人に対し,951万0287円及びこれに対する平成13年6月17日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(3) 被控訴人の反訴請求を棄却する。
(4) (2)につき,仮執行宣言
2 被控訴人
(1) 原判決を次のとおり変更する。
(2) 控訴人は,被控訴人に対し,4037万1845円及びこれに対する平成12年2月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3) 控訴人の本訴請求を棄却する。
第2事案の概要
1 以下のとおり訂正し,2で当審における当事者の主張を付加するほかは,原判決の「第2 事案の概要」に記載のとおりであるから,これを引用する。なお,原審裁判所は,控訴人の本訴請求及び被控訴人の反訴請求について,いずれも一部を認容し,一部を棄却する旨の判決をしたため,控訴人が控訴し,被控訴人も附帯控訴した。
(1) 原判決3頁1行目の「契約」の次に「(以下「本件契約」という。)」を加える。
(2) 同4頁21行目を以下のとおりに改める。
「 違法事由に関する被控訴人の主張については,否認ないし争う。ただし,商品先物取引の規制,旧規制の存在自体は認める。」
(3) 同5頁19行目の次に改行の上,以下のとおり加える。
「ア 平成10年8月24日,B支店長は,被控訴人と会ったが,同人は,商品先物取引の危険性を了知した上,同人の判断と責任により東京工業品取引所等の取引所の定める受託契約準則の規定に従って取引所の商品市場における取引を控訴人に委託して行う旨の本件契約を締結した。
B支店長は,本件契約締結に際し,商品先物取引に関するパンフレット,グラフなどの資料に基づき,同先物取引が清算取引であって,商品市場に上場されている商品の相場変動を予測して行う投機取引であること,取引の仕組み,売買の方法,売買による差損益の計算方法,委託手数料の額,取引の担保として必要な委託保証金の額及び種類等について,被控訴人に解説し,受託契約準則,危険開示告知書につき,その内容の説明を行っている。
イ 被控訴人は,平成10年8月28日から平成12年2月29日までの間,本件契約に基づき,控訴人に委託して先物取引を行い,各売買により発生した差損益及び委託手数料等の清算を控訴人との間で行ってきた。
すなわち,B支店長その他の控訴人従業員が概ね電話により,その都度,被控訴人の注文内容及び取引に必要な委託証拠金額等を被控訴人との間で確認して受注し,成立した売買についてはB支店長らが電話で報告するとともに,控訴人から被控訴人に対し,売買報告書(売買計算書も含む)を送付して被控訴人に確認を求めながら取引を継続していた。さらに,控訴人は被控訴人に対し,残高照会書(残高照会通知書)を送付して未決済建玉の内訳,値洗差金額,委託証拠金必要額,預かり証拠金額及び返還可能額等につき照合(指示)を求めている。
ウ 以上のとおり,本件取引は,全て被控訴人の意思と判断に基づいて行われており,その結果生じた損失が被控訴人に帰属すべきことは当然である。」
(4) 原判決添付別紙「時系列表」につき
ア 48頁の「原告の主張」の「平成10年12月15日」欄の「追い証を抜かすためという理由で」を「追証対策として」に改める。
イ 49頁の「原告の主張」の「平成11年4月15日」欄の「認める」を「平成11年4月16日ではなく,同月15日に200万円の支払を受けたものである」に改める。
ウ 54頁の「原告の主張」の「平成12年2月29日」欄の「否認する」を「認める」に改める。
2 当事者の主張
(1) 控訴人の主張
原判決は,「被告(被控訴人)は,取引を終了した場合,既に入金した証拠金以外にお金がいるとは理解していなかった。」と認定している。しかし,被控訴人の商品先物取引に対する理解が十二分にあったことは,証人Cの証言や甲19からも明らかである。
(2) 被控訴人の主張
原判決は,被控訴人に損害発生について落ち度があるとして,4割の過失相殺を行っている。しかし,過失相殺は,損害の発生・拡大につき被害者側にこれを誘発ないし助長する不注意があった場合に,損害の全部を加害者に負担させることは公平でないという配慮に基づくものであるところ,先物取引被害について見ると,業者側は,先物取引の仕組みや危険性を十分に認識しており,法令,受託契約準則等により不当な勧誘方法を細かく規制されているにもかかわらず,顧客が知識や情報,特に先物取引の具体的な危険性に疎いことに乗じ,さらには断定的判断の提供や両建の勧誘など顧客の不注意を積極的に誘発する不当勧誘行為を重ねながら,取引の拡大継続を強引に勧めているものであるから,このような場合に安易に過失相殺を認めることは,結果的に業者のやり得を是認することになり不当である。また,意図的に被害者の過失を誘発させた者が訴訟で過失相殺の抗弁を持ち出すことは,禁反言ないしクリーン・ハンドの原則に抵触することになり許されない。そして,過失相殺は,誰と誰との間で損害を分担するのが公平かという相対的な問題であるから,仮に,被害者にも不注意があったとしても,被害者の不注意に付け入り,ないしはその不注意を拡大生産させつつ損害を発生させた加害者に対しては100%損害を賠償すべきとするのが,正義と公平の観念上,当然のことである。
本件の場合,控訴人の従業員であるB支店長らは,被控訴人に先物取引の経験及び知識が余りないこと及び被控訴人には多額の先物取引を行う意思がないことを知りながら,被控訴人の意思に反し,多数回,多量の取引を行わせ,その結果,被控訴人に4621万2132円もの多額の損失を生じさせ,反対に,控訴人に3666万7200円もの多額の手数料を取得させた事案であって,控訴人が,商品先物取引員としての善管注意義務・忠実義務に違反して顧客である被控訴人の利益を犠牲にして,不当な利益を追求したことは客観的に明らかである。
したがって,このような不当な利益を控訴人に保持させておくことは極めて不当な結果となるといわざるを得ず,過失相殺は認められるべきではないし,違法な行為を行った控訴人からの差損金請求は認められるべきではない。
第3当裁判所の判断
1 証拠(甲1ないし14,17,18,乙1ないし13,証人B〔原審〕,同C〔当審〕,同D〔原審〕,被控訴人本人〔原審〕)によれば,以下の事実を認めることができる。
(1) 被控訴人の経歴,本件取引までの先物取引経験等について
ア 被控訴人は,昭和39年4月に就職するとともに大学に進学し,大学卒業後数社での勤務を経て,昭和48年10月に自営で仕事を始め,平成7年10月にはa社(以下「訴外会社」という。)を設立し,その経営に当たってきた。訴外会社は,主にパイプの切断加工を行っている会社であり,平成10年ころは,従業員は被控訴人1人で,その年間売上額も約1200万円程度であった。
イ 被控訴人は,昭和48年に妻であるD(以下「D」という。)と結婚した。Dは,大学卒業後平成14年6月末までb病院に勤務し,栄養管理業務に従事していたが,訴外会社の経理事務も全て行っていた。
ウ 被控訴人は,平成10年5月ころ,ダイワフューチャーズの従業員からの勧誘を受けて,白金等の商品先物取引を行った。その勧誘時点等において,被控訴人及びDは,ダイワフューチャーズの従業員から,書面等によって商品先物取引の概要やリスクの説明を受けたが,被控訴人及びDは,それまで商品先物取引を行ったことがなかったため,その内容を十分に理解しないままであった。ダイワフューチャーズにおける取引は,当初の見込みとは逆の値動きとなったため,被控訴人らは,追証拠金を求められたり,当初買い玉を建てていたものについて売り玉を建てる等し,同年8月11日時点のダイワフューチャーズへの委託証拠金は合計999万0920円に達した。このため,被控訴人らは,商品先物取引の怖さを実感するとともに,何とか上記委託証拠金が取り戻せないかと頭を悩ませていた。
(2) E社員,B支店長の被控訴人らに対する勧誘等について
ア 控訴人のE社員は,平成10年7月中旬ころ,被控訴人の会社を訪問し,被控訴人に対し,商品先物取引の勧誘を行った。その際,被控訴人は,E社員に対し,他社と商品先物取引を行っており,出資額が約1000万円にもなって,その対処に困っている旨話した。
イ E社員は,同日,B支店長を同行して被控訴人の会社を再度訪問し,B支店長は,被控訴人からの相談に応じた。
ウ その後,B支店長は,被控訴人の会社を何度か訪問し,その際,被控訴人に対し,「他社の建て玉を損なく取り戻すことができたら,うちで取引をやらせてくれますか。」と商品先物取引の勧誘をした。これに対し,被控訴人も,上記のとおりダイワフューチャーズでの取引の対処について困っていたため,B支店長の指示どおりにダイワフューチャーズでの取引を行い,その結果,約1か月で出資額全額を取り戻すことができた。
エ そこで,被控訴人は,控訴人での商品先物取引を行うことにした。
(3) 本件取引の経過について
ア 被控訴人は,平成10年8月24日,控訴人との間で,約諾書(甲1の(1))を取り交わし,その際,B支店長から,「商品先物取引委託のガイド」及び「同別冊」という各小冊子(甲6の(1),(2))並びに受託契約準則(甲5)の交付を受け,Dとともに商品先物取引についての説明を受けた。しかし,B支店長からの説明は概括的なものであったため,被控訴人及びDは,ダイワフューチャーズでの取引の経験はあり,商品先物取引におけるリスクについての一応の認識はあったものの,商品先物取引の仕組み等についてまで十分理解するまでには至らなかった。また,B支店長は,被控訴人及びDに対し,商品先物取引について,「リスクはないとはいえないが,うまくやれば大丈夫です。もうかります。」などとも申し向けた。
イ 被控訴人の控訴人での商品先物取引は,当初は利益を上げていたところ,同年9月終わりころ,被控訴人には3~4000万円の出資能力があると考えていたB支店長は,被控訴人に対し,「そのうち黄金の花が咲きます。蔵も建ちますよ。」とか,「1億円も夢ではありません。」とか言って取引を拡大するようにし向け,被控訴人は,Dとも相談してB支店長の勧誘に応じた。このため,当初200万円の委託保証金であったものが,同年12月には3000万円を上回るようになった。
ウ 被控訴人の控訴人での商品先物取引は,同年10月末には値洗差金で1000万円を超える損失が生じ,その後も,被控訴人は,B支店長らからの勧誘を受けて,中部商品取引所での取引の委託を追加し,また,投資する商品を増やす等といったこともしたが,その状況は改善せず,かえって平成12年2月29日の取引終了時点では,4693万3029円の差損金が生じるまでに至った。被控訴人の控訴人における売却回数は合計617回,売買数量は合計5349枚にも上るものであったため,上記の差損金のうち売買差損金は約768万円程度であったのに対し,手数料は3600万円を上回る額であった。一方,被控訴人及びDは,ダイワフューチャーズでの取引及び控訴人における本件取引を通じて,商品先物取引についての知識を深めていった。
2 一般投資家が商品先物取引を行う場合には,専門家である商品取引員ないし商品取引外務員に委託する必要があるところ,この両者間には商品先物取引に関する知識,情報及び経験に多大の格差が存在し,委託者である顧客は,受託者である商品取引員らの知識等を信頼してその助言を参考にするのが通常である。このような状況に鑑みると,商品取引員らは,商品先物取引の投資勧誘に関する各種法規の趣旨に照らし,また,信義則上,顧客が不測の損害を被ることのないよう十分に配慮すべき義務があるというべきである。
具体的には,商品取引員らは,一般投資家が商品先物取引に精通している場合を除き,商品先物取引の新規勧誘に際し,その仕組み,特徴及び危険性の程度について分かりやすく説明し,顧客の十分な理解を得なければならず,また,商品先物取引の継続勧誘に際しても,顧客が当該取引に伴う危険性について的確な認識形成を行うのを妨げるような断定的判断等を提供してはならず,受託契約の本旨に従い,当該顧客の経歴,能力,資力の多寡・性格,商品先物取引に至った経緯・事情等を十分に調査把握した上で,顧客の取引目的,財産状態及び取引経験等に照らして明らかに過当な負担を伴う取引を勧誘することを回避すべき注意義務があるというべきである。
3 1で認定した事実によれば,本件取引の場合,被控訴人はそれ以前にダイワフューチャーズでの取引の経験があったとはいえ,商品先物取引に関する知識が十分ではなかったにもかかわらず,本件取引の勧誘の際に,B支店長は,商品先物取引の仕組み等について,概括的説明をしたのみで,被控訴人が十分な理解が得られるような説明を怠ったこと,B支店長は,被控訴人らに対し,商品先物取引について,「リスクはないとはいえないが,うまくやれば大丈夫です。もうかります。」などとも申し向け,また,被控訴人に「そのうち黄金の花が咲きます。蔵も建ちますよ。」とか,「1億円も夢ではありません。」とか言って取引を拡大するようにし向け,これらの言動も相まって,被控訴人の損害も拡大していったこと,本件取引における売買回数及び売買数量は,被控訴人の経歴,能力,資力等からして,明らかな過当な取引であり,差損金の大半は控訴人の手数料であることが認められるのであって,これらの諸点に照らすと,B支店長らによる本件取引の勧誘行為には,過当取引を回避すべき義務違反及び説明義務違反があると認められるから,控訴人は,被控訴人に対し,民法715条に基づく損害賠償責任を負うというべきである。
被控訴人は,B支店長らが被控訴人には商品先物取引を行うだけの能力がなく,また,商品先物取引のように極めて投機的な取引に堪え得るだけの十分な資金もないことを知りながら勧誘した(不適格者に対する勧誘)と主張する。しかし,1で認定した事実によれば,資金が十分にあったとはいえないものの,被控訴人及びDには,その学歴,ダイワフューチャーズでの取引等からして商品先物取引を行う能力がなかったものとは認め難い。被控訴人の上記主張は採用できない。
また,被控訴人は,B支店長らが被控訴人が商品先物取引を継続拡大していく積極的な意思も能力もないのに,委託証拠金名目で金員を交付させ,被控訴人からの指示に基づかないで,思い通りに被控訴人名義で取引を行った(無断売買・一任売買),B支店長らが被控訴人からの建て玉の処分の指示に何度も従わなかった(仕切拒否)と主張する。しかし,本件取引はB支店長らからの勧誘を受けた上での被控訴人からの委託によるものであったこと,被控訴人が建て玉の処分をしようと考え,その旨B支店長に告げたことはあったものの,B支店長からの説得があって,これを取り止めたことは,被控訴人自身も原審における供述中において認めているところである。被控訴人の上記主張も採用できない。
そして,被控訴人は,B支店長らが,「絶対にもうかります。何倍にも増やして差し上げましょう。」「どんどん攻めなきゃだめです。そのうち黄金の花が咲きますよ。蔵が建ちますよ。」「今証拠金を積み上げています。1億円も夢ではありませんよ。」などと言い,取引による利益が生じることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供したと主張し,1で認定したとおり,B支店長が上記主張のような言動をしたことは認められる。しかし,B支店長は,不十分ながらも商品先物取引におけるリスクを含めた概括的な説明もしていること,被控訴人らには,本件取引前にダイワフューチャーズでの取引の経験があったことに照らすと,上記のとおりB支店長らにおいて説明義務違反があったことは認められるものの,断定的判断を提供したとまでは認められない。被控訴人の上記主張も採用できない。
さらに,被控訴人は,B支店長らが被控訴人の無知に乗じて有害無益な両建をさせて被控訴人の損害を拡大させたと主張する。しかし,いわゆる両建を違法なものであるとする見解もあるが,本件の場合,B支店長らからの勧誘があったとはいうものの,被控訴人も両建となることを認識して本件取引を行っていたものであることに照らすと,不法行為法上の違法性があるとまではいえないというべきである。なお,過当取引の一態様としての両建が違法であることは前記のとおりである。
4 他方,1で認定した事実及び3で述べたところによれば,本件の場合,被控訴人及びDには商品先物取引をする能力はあったこと,被控訴人及びDには,本件取引開始に際し,不十分であったとはいうものの,ダイワフューチャーズでの取引の経験から商品先物取引に関する知識はあり,商品先物取引に関する抽象的なリスクの認識もあったこと,被控訴人は,B支店長らの勧誘を受け,Dとも相談の上,本件取引を継続していたものであり,B支店長らによる無断売買や一任取引並びに仕切拒否の事実はいずれも認められないこと,B支店長らが被控訴人及びDに対して断定的判断を提供したとまでは認められないこと,被控訴人は,B支店長らの勧誘を受け,極めて短期間に3000万円を超える投資を安易に行ったこと,被控訴人は,本件取引を通じて次第に商品先物取引に関する知識及び経験を積みながら,本件取引を継続して行い,これによって被控訴人の損害も拡大していったことが認められる。これらの事実に鑑みると,本件の場合,被控訴人にもその損害を拡大していったことについて落ち度があるというべきであって,被控訴人の反訴請求について5割の過失相殺をするのが相当であり,控訴人の本訴請求についても公平の観点からしてその5割を減額するのが相当である。これに対し,被控訴人は,本件の場合には過失相殺すべきでないと主張するが,この被控訴人の主張はその前提となる事実を異にするものであるといわざるを得ないから,これを採用することはできない。
5 以上によれば,控訴人の本訴請求については,被控訴人に対して,951万0287円から5割を控除した475万5143円及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成13年6月17日から支払済みまで商事法定利率6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で,被控訴人の反訴請求については,控訴人に対して,不法行為に基づく損害賠償として,3670万1845円から5割を控除した1835万0922円に弁護士費用180万円を加えた2015万0922円及びこれに対する本件取引終了時である平成12年2月29日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度でそれぞれ理由があるから認容し,その余はいずれも失当であるから棄却すべきである。
第4結論
よって,本件控訴に基づき結論を異にする原判決を変更し,本件附帯控訴は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 前坂光雄 裁判官 岩坪朗彦 裁判官 横溝邦彦)