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広島高等裁判所岡山支部 平成18年(ネ)46号 判決 2007年6月15日

主文

一  一審原告らの本件各控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。

(1)  一審被告らは、一審原告ら各自に対し、連帯して二九六一万九六四五円及び内二六九一万九六四五円に対する平成一三年八月一四日から、内二七〇万円に対する、一審被告県については平成一五年一一月一九日から、一審被告Yについては同月二〇日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

(2)  一審原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

二  一審被告らの本件各控訴をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は、第一、二審を通じてこれを五分し、その一を一審原告らの負担とし、その余を一審被告らの負担とする。

四  この判決は、上記一(1)及び三に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一控訴の趣旨

一  一審原告ら

(1)  原判決を次のとおり変更する。

(2)  一審被告らは、一審原告ら各自に対し、連帯して三九〇〇万円及び内三六〇〇万円に対する平成一三年八月一四日から、内三〇〇万円に対する、一審被告県については平成一五年一一月一九日から、一審被告Yについては同月二〇日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

(3)  訴訟費用は、第一、二審とも一審被告らの負担とする。

(4)  上記(2)及び(3)につき仮執行宣言

二  一審被告県

(1)  原判決中一審被告県敗訴部分を取り消す。

(2)  上記(1)の部分につき、一審原告らの請求をいずれも棄却する。

(3)  訴訟費用は、第一、二審とも一審原告らの負担とする。

三  一審被告Y

(1)  原判決中一審被告Y敗訴部分を取り消す。

(2)  上記(1)の部分につき、一審原告らの請求をいずれも棄却する。

(3)  訴訟費用は、第一、二審とも一審原告らの負担とする。

第二事案の概要

一  本件は、平成一三年八月一三日午後一一時四九分ころ、一審原告らの子亡A(以下「A」という。)が一審被告Y運転の自動二輪車(以下「本件バイク」という。)の後部座席に同乗していたところ、一審被告Yが制限速度を超過する時速七〇ないし八〇キロメートルの速度に加速し、かつ、前方進路の安全に注意することなく進行したため、本件バイクが、その前方の走行車線を塞ぐ状態で停車していた岡山県警勝山警察署所属のB警察官(以下「B警察官」という。)が運転する一審被告県所有の警ら用パトカー(普通乗用自動車。以下「本件パトカー」という。)に衝突し、Aが死亡するという事故(以下「本件交通事故」という。)が発生したことから、一審原告らが、一審被告ら各自に対し、一審被告Yに対しては、民法七〇九条に基づき、一審被告県に対しては、自動車損害賠償保障法三条に基づき、損害賠償各三九〇〇万円(Aに生じた死亡に伴う損害金六九二九万一九六八円の相続分各三四六四万五九八四円及び一審原告ら固有の慰謝料各一五〇万円の合計金の一部請求金額三六〇〇万円並びに弁護士費用相当損害金各三〇〇万円の合計金額)及び内三六〇〇万円(上記一部請求金額)に対する本件交通事故の後である平成一三年八月一四日から、内三〇〇万円(弁護士費用相当損害金)に対する各訴状送達の日の翌日である、一審被告県については平成一五年一一月一九日、一審被告Yについては同月二〇日から各支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の各支払を求めた事案である。

原審は、一審原告らの各請求を一部認容し、その余の請求を棄却したため、一審原告ら及び一審被告らのいずれもがこれを不服として控訴した。

二  前提事実、争点及び争点についての当事者の主張は、次の三のとおり原判決の付加、訂正をし、次の四のとおり当審における過失相殺に関する当事者の補充主張を付加するほかは、原判決「事実及び理由」中「第二 事案の概要」の一及び三並びに「第三 争点についての当事者の主張」の一ないし四(原判決三頁五行目から同五頁一九行目まで及び同六頁四行目から同一五頁一六行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。

三(1)  原判決三頁二〇行目の「本件バイクは、」の次に「一審被告Yの後輩Cが所有していたものであり、」を付加する。

(2)  原判決一四頁一〇行目から同一一行目の「といえる。」の次に改行して次のとおり付加する。

「また、本件パトカーの前照灯とガードレールの反射光により、本件交通事故現場付近を走行してくる車両は、本件パトカーの手前約九〇メートルの地点で、容易にこれを発見することができたのであって、本件バイクの運転者である一審被告Yが本件パトカーの存在に気付くのが遅れるといった事態はおよそ予見不可能であった。さらに、一審被告Yは、本件三叉路を通過するのとほぼ同時に、本件バイクを時速約四〇キロメートルから時速七〇ないし八〇キロメートルまで急加速させながら、左方を脇見していたところ、本件バイクが本件パトカーに衝突するまでの時間はわずか数秒程度であったから、仮にその間に本件パトカーが赤色灯を点灯していたとしても、一審被告Yが本件パトカーに気付き、本件事故を回避し得た可能性はなかった。したがって、B警察官が本件パトカーの運行に関し、注意を怠らなかったことは明らかである。」

四  当審における過失相殺に関する当事者の補充主張

(1)  一審原告ら

ア 本件において、いわゆる相対的過失相殺の手法が採用されると、加害者である一審被告Yの無資力から生じる負担を被害者である一審原告らに負わせてしまうことになり、被害者救済という見地からも大きな疑問が残る。よって、本件においては、いわゆる絶対的過失相殺の手法を採用すべきである。

イ 仮に、相対的過失相殺の手法を採用したとしても、共同不法行為者の行為が一体とみられる場合には、被害者救済の見地から、絶対的過失相殺を行った場合と同様の請求を各不法行為者に対し認めるべきである。そして、本件交通事故は、本件バイクと本件パトカーが、運転者相互に存在を認識しながらも衝突し、本件バイクの同乗者であるAに対し、同時的に不法行為がなされたという事案であって、一審被告Yと本件パトカーの運転者であるB警察官の行為は一体とみるのが社会通念に照らして相当であるから、一審原告らは、一審被告ら各自に対し、Aの過失割合を控除した限度で損害賠償請求できるというべきである。

(2)  一審被告県

ア 共同不法行為においては、過失相殺は、各不法行為の加害者と被害者との間の過失割合に応じてするのが原則であって、複数の加害者と被害者の過失が競合する一つの交通事故において、その交通事故の原因となったすべての過失割合を認定できるときに限り、絶対的過失割合に基づく被害者の過失による過失相殺をした損害賠償額について、加害者らは連帯して賠償責任を負うと解すべきである。そして、本件においては、Aは、一審被告Yの運転する本件バイクに同乗し、ときに自らこれを運転して、一審被告Yと行動を共にしていたものであり、一審被告Yと特別な関係にあり、過失の内容も一審被告Yのそれとほとんど共通し、一審被告Yの過失を除外してはAの絶対的過失割合を定めることができないから、相対的過失相殺の方法を採用すべきである。

イ 仮に、絶対的過失相殺の手法を採用したとしても、本件において、Aが、一審被告Yと共に本件バイクに乗車し、その運転を交替しながら、走行するなどしていたことや、自動二輪車にあっては、普通乗用自動車と異なり、運転者と同乗者の運転における一体性が極めて強いことなどを考慮すると、Aは、本件バイクにつき、共同運行供用者たる地位を取得していたことが明らかであり、一審被告Yの過失は、いわゆる被害者側の過失として斟酌されるべきである。

(3)  一審被告Y

ア 相対的過失相殺の手法は、被害者が共同不法行為者のいずれからも全額の損害賠償を受けられるとすることにより、被害者保護を図ろうとする民法七一九条の趣旨に反することになるから、絶対的過失割合を認定できるときには、絶対的過失相殺の手法を採用すべきである。本件においては、絶対的過失割合を認定することに何ら支障はないから、絶対的過失相殺の手法によるべきである。

イ 一審被告県の主張に対する反論

一審被告YとAとの間には、単なる友人関係が存在するだけであり、身分上・生活関係上の一体性や経済的一体性はないから、到底共同運行供用者とはいえず、一審被告Yの過失を被害者側の過失として斟酌すべきではない。

第三当裁判所の判断

一  当裁判所の判断は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決「第四 当裁判所の判断」一ないし五(原判決一五頁一八行目から同三四頁一八行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。

二  原判決一九頁一四行目から同一五行目の「前照灯は」を「前照灯を下向きに」と改める。

三  原判決二四頁一〇行目の「この制度趣旨からすると、」を「このような制度趣旨は、責任を負担する者がいかなる者であっても妥当するものであるから、」と改める。

四  原判決二六頁三行目から同一五行目までを次のとおり改める。

「もっとも、警察官が、警察官職務執行法二条一項に基づき、実力をもって、交通違反を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者を停止させるにあたっては、職務質問の必要性、緊急性等に照らし、具体的状況の下で相当と認められる限度に止まることが要求されるというべきである。」

五  原判決二六頁一六行目を「(二) 停止措置の必要性、緊急性及び相当性」と改める。

六  原判決二六頁二〇行目の「前照灯が」を「前照灯が下向きに」と改める。

七  原判決二七頁一行目を「(2) 停止措置の必要性及び緊急性」と改める。

八  原判決二七頁二行目から同一一行目までを次のとおり改める。

「一審被告Yらは、前記のとおり、整備不良車両の使用禁止等や共同危険行為の犯行を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由を有していたものと認められるところ、一審被告Y及びAが乗車していた本件バイクは、B警察官らが追従するとすぐに加速し、本件交通事故発生までに二度にわたり逃走していたというのであるから、B警察官らにおいて、本件バイクを停車させ、一審被告Yらに対する職務質問を実施する必要性及び緊急性は高かったものと認められる。」

九  原判決二七頁一二行目を「(3) 停止措置の相当性」と改める。

一〇  原判決二七頁一五行目の「緊急車両」を「緊急自動車(道路交通法三九条一項、同法施行令一四条)」と改める。

一一  原判決二九頁九行目の「本件停止措置には、」から同一五行目までを次のとおり改める。

「本件においては、B警察官らが、職務質問を実施するために実力を行使し、本件バイクを停車させる必要性及び緊急性は大きかったものと認められるけれども、前記のとおり本件停止措置は、交通事故を発生させる高度の危険性を有するものであった反面、B警察官らは、本件バイクが本件三叉路を通過した後、直ちに赤色回転灯を点灯させるなど、本件バイクを停車させるため、より事故発生の危険性の低い方法を容易に採り得たことに徴すると、上記のような必要性及び緊急性を考慮しても、本件停止措置は、余りにも危険であって、本件の具体的状況の下において、相当と認められる限度に止まっていたとは到底認め難いから、正当業務行為として違法性が阻却されるものとは未だ認め難い。」

一二  原判決三〇頁一四行目の「交通法規に違反したことを斟酌しても」を「B警察官らが一審被告Yらに対し、交通法規違反の嫌疑を抱いていたことを考慮しても」と改める。

一三  原判決三〇頁二五行目から同三四頁一八行目までを次のとおり改める。

「四 以上によれば、一審被告らは、A及び一審原告らの被った損害の全額について連帯して責任を負うべきことになる。

この点につき、一審被告Yは、本件交通事故は、一審被告Yの過失とB警察官の過失が競合して生じたものであるから、賠償額につき、その寄与度に応じた減責がなされるべきである旨主張するが、一審被告Yの過失とAの死亡との間には相当因果関係が認められるのであるから、一審被告Yは、被害者であるA及び一審原告らの被った損害の全額につき、一審被告県と連帯して責任を負うと解すべきであって、上記主張は採用できない。

五 損害額

1  Aの損害

(1) Aの慰謝料

Aは、本件交通事故により、一九歳の若さで死亡したものであり、本件審理に顕れた諸事惰に鑑みると、この精神的苦痛を慰謝するには、二〇〇〇万円をもって相当とする。

(2) 逸失利益

Aは、死亡当時、健康な一九歳の男子であったことのほか、その死亡時の平成一三年賃金センサス第一巻第一表の産業計・企業規模計・学歴計・男性労働者の全年齢平均賃金を参酌すると、少なくとも一審原告らの主張する平成一五年自賠責保険支払基準別表Ⅲにおける男子全年齢平均給与月額四一万五四〇〇円を基礎収入とし、生活費控除率を五〇パーセントとするのが相当である。そして、Aの就労可能年数は四八年であるから、ライプニッツ係数一八・〇七七一を用いてAの死亡時における逸失利益の現価を計算すると、四五〇五万五三六四円となる。

(3) 葬儀費用

葬儀費用は、九五万円が相当である。

(4) 以上を合計すると、Aに生じた損害額は六六〇〇万五三六四円となる。

2  一審原告らの固有の損害

証拠(乙イ第一四号証、第五六号証)及び弁論の全趣旨によれば、一審原告らは、長男であるAを将来の後継者として期待していたところ、同人が突如死亡し、跡継ぎを失ったことにより、多大の精神的苦痛を被ったことが認められる。このような一審原告らの精神的苦痛の慰謝料は、各一〇〇万円と評価すべきである。

3  過失相殺

(1) 複数加害者と被害者の過失が競合する一つの交通事故における過失相殺の方法には、①各加害者と被害者との関係ごとにその間の過失の割合に応じて相対的に過失相殺するという方法(いわゆる相対的過失相殺の方法)と、②損害発生の原因となったすべての過失の割合(絶対的過失割合)に基づき被害者の過失をも考慮して過失相殺を行う方法、すなわち、共同不法行為の加害者の行為を一体的にとらえ、絶対的過失割合を加算したものと被害者の過失割合を対比して過失相殺をした損害賠償額全額について、加害者らに連帯責任を負わせる方法(いわゆる絶対的過失相殺の方法)が考えられる。

そして、被害者が共同不法行為者のいずれからも全額の損害賠償を受けられるとすることにより、被害者保護を図ろうとしている民法七一九条の趣旨に照らすと、本件のように、複数の加害者の過失及び被害者の過失が競合する一つの交通事故においては、その交通事故の原因となったすべての過失の割合(絶対的過失割合)を認定することができるときには、絶対的過失相殺の方法を採用し、絶対的過失割合に基づく被害者の過失による過失相殺をした損害賠償額について、加害者らは連帯して損害賠償責任を負うものと解すべきであって、このように解することは、各人の過失が競合して損害の発生に寄与していると考える点において、過失の構造にも合致するものというべきである。

以上に対し、一審被告県は、本件において、Aは、一審被告Yの運転する本件バイクの後部座席に同乗し、ときに自らこれを運転して、一審被告Yと行動を共にするなど、一審被告Yと特別な関係にあり、過失の内容も一審被告Yのそれとほとんど共通し、一審被告Yの過失を抜きにしてはAの絶対的過失割合を定めることができないから、相対的過失相殺の方法を採用すべきである旨主張する。

しかしながら、本件は、バイク運転者の過失を後部同乗者の過失として考慮するのが適切といえる場合に該当するとは考えられないうえ、Aには、ヘルメットを装着せず、自らの死の危険性を高めたことなどの点において、本件交通事故につき、一審被告らとの関係において、独自の過失が観念でき、しかも、その過失割合は、一審被告県との関係でも、一審被告Yとの関係でも同一の割合になるものと解され、絶対的過失割合を認定できるというべきであるから、上記主張は採用できない。

また、一審被告県は、一審被告Yの過失を被害者側の過失として斟酌すべきである旨主張するが、A及び一審被告Yに身分上・生活関係上の一体性がないことは明らかであり、損害の公平な分担の見地からも、一審被告Yの過失を被害者側の過失として斟酌することは相当でないから、上記主張は採用できない。

(2) そして、前記の認定事実(原判決一五頁二三行目から同二一頁二〇行目まで)によれば、本件交通事故は、一審被告Yが制限速度を超過する時速七〇ないし八〇キロメートルに加速し、かつ本件駐車場の方を脇見して運転するという著しい過失により発生したものであるが、すでにみたとおり、道路交通法に違反して、類型的に交通事故が発生する可能性の極めて高い方法で本件パトカーを停止させながら、交通事故を防止するために十分な措置をとらなかったB警察官の過失にも起因するものである。また、本件交通事故は、一審被告Yがパトカーの追跡を免れようとし、これを停止させようとする本件パトカーに衝突して発生したものであるところ、Aも、本件交通事故直前に、自らマフラーの芯を抜いた本件バイクを大きな騒音を鳴らしながら運転するなどして、近隣住民の通報を受けたB警察官らの追跡等を受ける事態を招き、一審被告Yが上記のような危険な態様で本件バイクを運転する一因を作出したものと認められる。さらに、Aは、頭蓋骨骨折、外傷性気脳症等の傷害を負い、これらの傷害に基づく空気塞栓により死亡しているところ、ヘルメットを着用していれば、これらの傷害の程度がより軽度のものに止まり、死の結果発生を抑止できた可能性があるから、ヘルメットの不着用も損害の拡大に寄与しているとみることができるのであって、これらの事情に鑑みると、本件バイクの同乗者であるAにも落ち度があるものと認められる。そして、これらの諸事情を総合すると、一審被告Y、一審被告県及びAの絶対的過失割合は、それぞれ六割、二割、二割と解するのが相当である。

そうすると、A及び一審原告らは、それぞれ、一審被告ら各自に、その損害額の一〇分の八を請求できることになるものと解される。

六 以上によれば、一審被告らは、連帯して、Aに対し、上記五の一の合計金額である六六〇〇万五三六四円の一〇分の八である五二八〇万四二九一円(円未満切り捨て。以下同じ。)の損害賠償義務を負うほか、一審原告ら各自に対し、上記四の二の金額である一〇〇万円の一〇分の八である八〇万円の損害賠償義務を負うことになる。

そして、一審原告らは、上記のAの損害賠償債権を各二分の一の割合で相続したこと、前提事実四のとおり損害の填補としてB警察官ら四名から合計二三万五〇〇〇円、一審被告Y及びその両親から合計三三万円の各支払を受けたこと、本件事案の性質、内容、本件の認容額等に照らすと、一審原告らそれぞれの弁護士費用相当の損害は各二七〇万円と認められることを考慮すると、結局、一審原告らは、それぞれ、一審被告ら各自に対し、二九六一万九六四五円〔5280万4291円×1/2+80万円-(23万5000円+33万円)×1/2+270万円〕の損害賠償請求権を有することになる。」

第四結論

以上のとおり、一審原告らの請求は、一審被告ら各自に対し、それぞれ二九六一万九六四五円及び内二六九一万九六四五円(Aに生じた死亡に伴う損害金の相続分及び一審原告ら固有の慰謝料の合計金額から一部填補された部分を控除した金額)に対する本件交通事故後である平成一三年八月一四日から、内二七〇万円(弁護士費用相当損害金)に対する、一審被告県については平成一五年一一月一九日(本件交通事故後である訴状送達の日の翌日)、一審被告Yについては同月二〇日(前同)から各支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余は理由がないからいずれも棄却すべきものである。

よって、これと結論を異にする原判決は相当でないから、一審原告らの本件各控訴に基づき、上記のとおり変更し、一審被告らの本件各控訴は理由がないからいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 安原浩 河田充規 西川篤志)

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