大判例

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広島高等裁判所岡山支部 昭和24年(う)455号 判決

所論は(中略) (ロ)また原審証人川上計の証言の内容をなす被告人の裁判外の自供は、同証人が専売局監視員なる身分を秘し私立探偵であると詐称し被告人を欺いて供述させた不当なもので特に信用すべき情況の下になされたものと認められないから、これを証拠とすることもできないし、証明力もないと主張する。

(中略)

(ロ) つぎに所論川上計の原審公判廷における証言が、被告人の裁判外における自白を内容とするものであつて、同自白の相手方である右証人が、弁護人主張のような偽計を用いていることは洵に所論の通りである。しかし偽計の下になされた自白だからといつて、一概にその証拠能力や証明力を否定すべきものではなく、その偽計の具体的内容、供述者の年令知脳、供述当時の供述者の精神状態等諸般の事情を検討し、その偽計が虚偽の自白を誘発する程度のものであつたか否か、また相手方がその偽計によつて虚偽の自白をした疑があるか否かによつて決定せらるべきものである。しかるに証人川上計の用いた偽計は好ましい方法ではないが、自己の身分を詐わることによつて、供述者の警戒心を解き、より真実な供述を得ようとしたものであつて、性質上虚偽の自白を誘発する危険を伴わないものであり、また被告人が右自白に先ち、既に小原亮市石井初子の両名に右自白と同旨の打明話をしている事実に徴すれば、右偽計のために特に被告人が虚偽の自白をしたという疑もないのである。さすれば被告人の川上計に対する右自白は、任意性の点においても信用性の点においても欠くところなく、その証拠能力は勿論証明力をも具備しているものといわねばならない。従つてこれを採つて事実を認定した原審の措置は正当であつて何等採証法則に違反したものではない。(後略)

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