大判例

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広島高等裁判所岡山支部 昭和27年(う)253号 判決

被告人は原判示の頃、大森秀夫の依頼によつて、隣家の奥江久太郎方に赴き「あの自転車を千五百円で売るといつているから来てくれ」と申し向け、よつて両者の間において、売買値段の相違から一旦不調に終つていた判示自転車を、買手側の希望通りの値段で売渡したいという売主の意図を告げ、再交渉するよう勧誘し、以つて同日被告人方において両者の再交渉により右売買を成立するに至らせたことを認めるに充分である。して見ればたとい所論の如く被告人の右介入前、既に両者に直接売買の交渉があつて、値段の交渉までなされていたとしても、また被告人の右介入後両者の直接交渉によつて売買が成立したとしても、なお被告人は両者の間に介在してすくなくとも売買の再交渉の開始を斡旋し、ついに賍物の売買を遂げさせるに至つたものといわねばならない。弁護人は被告人の右所為を以て、賍物牙保罪を構成するに至らない軽微な所為で、単に大森の賍物処分行為を幇助したに過ぎないものとして原判決の法令の適用を論難するのであるが、元来賍物牙保の罪は当然に事後従犯の性質を有するものであつて、刑法はそのことを当然に予定しながら、それが結果において財産犯を誘発する弊害を有するために、敢えてこれを独立罪として規定したものである。従つてたとい賍物売買に関する斡旋行為が前記の如く売買契約そのものに取つて、軽微で間接的であるとしても、なお牙保罪を以つて論ずるを相当とし、所論のように刑法第六十二条第六十三条の従犯の規定を適用する余地は全く存しないものといわねばならない。

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