広島高等裁判所岡山支部 昭和27年(う)558号 判決
論旨は原判示第三の寄蔵の目的物と判示第四の運搬の目的物とは同一物であり且つ罪質を同じうするものであるから既に寄蔵罪の成立した後における運搬は罪とならないに拘らず両罪の成立を認め併合罪として処断した原判決は法律の解釈適用を誤つた違法ありを主張する。
よつて記録を調査し所論を検討するに、判示第四の目的物は判示第三の目的物の一部であることは所論の如くであるが、しかし関税法第七六条の犯罪に係る物(密輸入品)を寄蔵した後更に之を他に運搬した場合には寄蔵罪の外更に運搬罪が成立すると解するのが相当である。尤も窃盗犯人が窃取した賍品を運搬するとか或は故買した物件を他に運搬するが如きは何れも犯罪に因つて得た物の事後処分に属するから刑法はかかる事後処分行為までも処罰する法意でないことは明らかであるが寄蔵した物は他人のものであつて犯人に処分権限がないのであるから其後の運搬を事後処分ということはできない。関税法違反の罪についても其理を異にするものではない。それ故寄蔵と運搬につき各別個の犯罪と認定した原判決は正当であつて、論旨は理由がない。