広島高等裁判所松江支部 昭和24年(控)173号 判決 1950年3月08日
被告人
金本三郞こと
馬龍達
外一名
主文
本件控訴はいずれもこれを棄却する。
理由
弁護人上原準三の控訴趣意について。
なお、弁護人は原判決後の情状を主張しこれに基いて原判決の量刑不当を論難するけれども、控訴裁判所は、原判決言渡の時の事実に基いて原判決の量刑の当否を判断すべきもので、その後に生じた事実までも斟酌して判断すべきものでないことは、新刑事訴訟法における控訴審が原判決の当否を審査する所謂事後審であること及び刑事訴訟法第三百八十一條が「刑の量定が不当であることを理由として控訴の申立をした場合には控訴趣意書に訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて刑の量定が不当であることを信ずるに足りるものを援用しなければならない」と規定している法意に徴し明らかである。されば所論二のような原判決後に生じた事情は適法な控訴理由とならない(後略)。