大判例

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広島高等裁判所松江支部 昭和26年(う)110号 判決

本件起訴のあつた昭和二十六年一月十八日より被告人が本件犯行を自白するに至つた同年八月八日の第五回公判までの間被告人が身柄を拘禁されていたことは本件記録に徴し明かであるがたまたまその当時は各裁判所共所謂旧法事件の処理に忙殺され所謂新法事件の処理には手が廻りかねていたこと、原審の職権による公判期日の変更(昭和二十六年二月十日、同年三月十二日、同年五月十七日の三回)について当事者双方共何等の異議を申し出でなかつたこと、その他本件訴訟の経過に照すときは被告人が本件犯行を自白するに至るまでの右拘禁は弁護人所論のように不当に長い拘禁であるとは云えないのみならず、第五回公判における被告人の「宮本が自分達ばかりに罪をかぶせていたので意地になつて否認していたが油木弁護士さんから懇々とさとされ悪いことがわかつたので一切を自白する気になつた」旨の供述と同公判で被告人が裁判官から証人宮本保の尋問調書を読み聞けられた後に本件犯行を自白するに至つた経緯を彼此考量するときは被告人が本件犯行を自白するに至つたのは前示拘禁を原因とするものではなく被告人が右第五回公判において述べておる事情や証人宮本保の尋問調書を読み聞けられかような有力な証拠が出た以上到底本件犯行を否認し通せるものでないと観念した結果であると推知され得るから右拘禁と右自白との間には何等の因果関係はなく、されば被告人の本件犯行に対する所論自白を取つて本件断罪の資料としたことは毫も憲法第三十八条第二項に違反するものではない。

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