広島高等裁判所松江支部 昭和26年(う)67号 判決
被告人が原判示山陰日日新聞紙上に掲載した「民事刑事事件調査相談その他一切云々」なる広告文の内容が法律事務の相談に応ずる趣旨をも包含することは同広告文の記載自体により明白であつて、この点に関する原判決の補足的説明はまことに相当で、原判決には所論の如く、広告文の字句の解釈を誤つた違法はない。
(中略)
弁護人の控訴趣意第三点について。
弁護士法第七十二条但書にいわる正当の業務とは直接法令により認許せられた業務は勿論行政官庁の許可若しくは認可による業務又は一般社会通念上正当と認められた業務を総称するものである。しかるに原判決は探偵業は世上一般にいわゆる正当業務であることを認めながら、その業務の遂行につき法律業務の取扱又はその周旋を業とすることを必要不可欠とするものとは社会通念上到底認め得ないとの理由で、前記法条但書にいわゆる正当の業務に該当しないものと判断したことは所論の如く正当の業務の解釈を誤つた違法があるというべきである。しかし前記法条但書に正当の業務に附随してする場合とは同条本文所定の行為が右正当の業務の遂行に必要な限度において附随としてなさるる場合をいうのであるから、右の行為が附随たるの域を脱して独立の業務としてなさるるときは前記法条本文の禁止規定に触れるものというべきである。ところで被告人は探偵業務に附随して法律事務の相談に応ずる旨を標示したものではなく、探偵業務を取り扱うと共に、これとは関係なく別個に法律事務の相談にも応ずる旨の標示をしたものであることは、証第一号山陰日日新聞に掲載された本件広告文の記載自体より推認し得るから、被告人の原判示所為は弁護士法第七十四条第二項の規定に違反するものというべきである。されば、前敍違法は未だ原判決を破棄するに足らないから、論旨は結局理由がない。