広島高等裁判所松江支部 昭和27年(う)268号 判決
被告人 田村ハナ
辨護人の控訴趣意第三点について。
原判決の摘示事実及びその適条を見れば原判決は被告人は、肩書住居において、(イ)昭和二十五年一月下旬頃及び、(ロ)昭和二十四年七月頃から同年十二月下旬頃までの間当時十八才に満たない八○美○子(昭和八年三月十八日生)に淫行をさせたものであると認定し、児童福祉法第三十四条第一項第六号第六十条第一項刑法第四十五条第四十七条第十条と摘示しておるところより見れば、原判決は被告人の本件犯行を右(イ)及び(ロ)の二罪に分けてこれが刑法第四五条前段併合罪の関係にあるものとし、併合加重をした上処断しておることが認められる。然しながら、児童福祉法第六〇条第一項第三四条第一項第六号の法意はたとえば児童に売淫をさせた場合一回宛売淫をさせる度毎に一罪が成立すると解すべきではなく売淫をさせた行為全部を包括的に観察し一罪として擬律すべものであると解するを相当とするから原審がこの措置を採らず二罪に分ち併合罪の規定を適用処断したことは法令の適用を誤つたものであり、且その誤りが判決に影響を及ぼすことが明かであるから原判決はこの点において到底破棄を免れない。辨護人の論旨前段は理由がある。