広島高等裁判所松江支部 昭和31年(う)178号 判決
進んで、職権を以て原判示事実のうち、第四及び第五の点につき、原判決の法令適用の当否を審査するに、被告人としては、金品を強取する目的を以て長見ヨシ方に侵入したことは、原判決挙示の関係証拠によつて明らかである。かくの如く、犯人が強盗の目的を以て侵入し、同一家屋内において、先ず金品を窃取し、更に、引続き暴行又は脅迫を以て、家人から金品を強取せんとして未遂に終つた場合にも同一の被害者に対して加えられた財物に対する侵害とその直後になされた脅迫とはこれを包括的に観察し、単一の強盗罪の既遂を以て論ずるのが相当である。されば、原審において、原判示第四及び第五の点につき、窃盗と強盗未遂各別箇の犯罪が成立すると判断し各別罪に問擬したのは、法令の適用を誤つたものというべく、右誤謬が判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、原判決は、この点において破棄を免れない。
(裁判長裁判官 三宅芳郎 裁判官 組原政男 裁判官 竹島義郎)