広島高等裁判所松江支部 昭和32年(う)84号 判決
確定判決を経ない数罪は併合罪であるが、ある罪について確定判決があるときは、その罪とその裁判確定前に犯した罪のみが併合罪となることは刑法第四五条の規定から明らかである。これを本件についてみるに、原判示第一の罪は前記確定判決の罪と刑法第四五条後段の併合罪の関係にあり、判示第二ないし第六の罪は同法条前段の併合罪であつて、両者は併合罪の関係にはならないのであるから、これを合して一個の刑を言渡すことができず、したがつて判示第一の罪と判示第二ないし第六の罪とは各別に刑を量定した上主文において各別に刑を言渡さざるをえないわけである。しかるに原判決は前者につき懲役八月、後者につき懲役一〇月を各量定しながらこれを合せて被告人を懲役一年六月に処すべきものとして、主文において一個の刑として言渡したのはその理由において各別の量刑がなされているとはいえ、懲役刑においては併科の規定すらないのであるから右法条の適用解釈を誤つたものといわなければならない。右の誤りは一部上訴(刑訴法第三五七条または刑の執行の順序同法第四七四条)等を考えるときは判決に影響をおよぼすことは明らかであるから、原判決は破棄を免れない。
(裁判長裁判官 三宅芳郎 裁判官 藤田哲夫 裁判官 竹島義郎)