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徳島地方裁判所 平成13年(行ウ)12号 判決 2003年9月05日

原告

上記訴訟代理人弁護士

枝川哲

被告

(徳島県西祖谷山村長) 中岡幸敬

上記訴訟代理人弁護士

島内保彦

主文

1  被告は、西祖谷山村に対し、金6249万5251円及びこれに対する平成12年5月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2  原告のその余の請求を棄却する。

3  訴訟費用はこれを10分し、その4を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。

事実及び理由

第3 当裁判所の判断

1  本件の経過等について、前記前提事実に加え、〔証拠略〕によれば、次の事実が認められる。

(1)  県は、県内有数の観光施設であるかずら橋周辺の道路を整備する事業(名称「山城東祖谷山線改良事業」、以下「本件道路整備事業」という。)に着手し、昭和62年ころまでに、祖谷川の北岸付近までバイパスを完成させ(別紙図面の「昭和62年まで開設されたバイパス」と記載された部分)、さらに、上記バイパスを祖谷川の南岸にある本件土地を経由してかずら橋の南側まで延長する計画(別紙図面の「善徳バイパス(平成10年までの計画ルート)」と記載された部分。以下「本件計画ルート」という。)を立てていた。

(2)  他方、Aは、本件土地付近にバイパスが建設されることを見込んで、その用地買収に先行して、昭和55年ころから昭和58年ころにかけて、本件土地1ないし13(以下「A所有地」という。)及び本件建物を自己の経営する会社や妻のB名義で購入した(なお、本件1ないし6の所有者である祖谷渓観光株式会社もAの経営する会社である。)。本件建物は、昭和44年に建築されたものであり、Aが購入する前は、釣り堀やレストラン等の店舗として利用されていたこともあったが、Aが購入してからは、店舗や住居として使用されることはなく、長期間放置されていた。

(3)  県は、平成8年ころから、本件計画ルート上にあるA所有地をバイパス用地として買収するため、地権者であるAらとの間で買収交渉を開始した。

(4)  それまで、県は、本件道路整備事業の用地として、本件土地付近の山林を1平方メートル当たり120円から200円(以下土地の単価の基準面積はすべて1平方メートルとする。)で買収していた。また、宅地については、単価1万3700円で買収したこともあった。

(5)  ところが、県は、A所有地の買収交渉において、Aから、現況の大部分が山林、雑種地であったA所有地について単価3万円での買い取りを要求され、さらに本件建物について1億円の補償を要求されたことから、本件土地の買収を断念した。

(6)  その後、県の本件道路整備事業は手つかずの状態となっていたため、同事業の実現を望んでいた村は、県に代わってバイパス用地を先行して取得することとした。そこで、村は、平成11年ころ、買収予定地を本件計画ルートから、A所有地を避け、その南側を迂回するルート(別紙図面の「善徳バイパス(平成11年ルート変更)」と記載された部分)に変更するとともに、用地の大部分を占める山林の買収単価を県が提示していた200円から1000円に引き上げることにより、用地買収を実現させた。

(7)  また、村は、平成11年4月に被告が村長に就任して以降、上記バイパス用地の先行取得と並行して、本件駐車場(イベント広場を含む。)整備事業(名称「特定地域における若年者定住促進緊急プロジェクト・中山間地域総合整備事業合併事業」)に着手した。村は、本件駐車場用地として、上記バイパス建設予定地に隣接する本件土地を買収するため、Aら地権者との間で買収交渉を開始した。

(8)  上記買収交渉において、村は、Aから合計3億円での買い取りを要求されたため、交渉は難航したが、村長の被告自らが交渉に当たり、最終的にはAら地権者との間で、別紙用地取得一覧表記載のとおり、本件土地を代金合計7343万1000円(うちA所有地につき代金6543万1000円)で買い受けるとともに、本件建物の移転補償費としてA及びその妻Bに対して8500万円を支払う旨の合意に至り、本件契約が成立した。

(9)  上記買収交渉において、本件土地の買収価格は、次の方法で算定された。

ア  まず、価格算定の基準となる面積については、県が以前本件土地の買収交渉を行った際に実施した測量の結果に基づき、実測面積によって算定することとされた(本件土地の実測面積は、別紙用地所得一覧表「実測」欄記載のとおりである。)。

イ  一方、本件土地のうち、A所有地は、地滑り防止区域に指定されている崖地にあり、その現況は、公簿上、宅地、田畑とされている土地(本件土地4、5、9ないし13)も含め、その大部分が山林又は雑種地(草むら、土捨て場)となっており、宅地として造成されていたのは、本件建物の敷地部分(本件土地4の一部)のみであり、しかも、上記敷地部分は、本件土地4の実測面積の2分の1にも満たなかった。しかし、被告は、買収価格算定に当たり、現況によることなく、公簿上の地目を基準として、本件土地4、5を全て宅地と評価し、本件土地9ないし13を田畑と評価した。

ウ  そして、村の担当職員は、宅地の単価につき、県による近隣土地の買収単価1万3700円の1.2倍(1万6000円)から村内有数の高額宅地の鑑定評価額3万9000円の2分の1(1万9500円)の範囲内とする、田畑の単価につき、県の標準買収価格の700円ないし1200円を参考として、その下限(700円)の3倍(2100円)から上限(1200円)の2倍(2400円)の範囲内とする、山林、雑種地等の単価につき、村の上記先行取得価格1000円と同額とする旨の伺書を作成した。被告は、上記伺書に基づき、最終的に、宅地につき単価1万6000円、田畑につき単価2100円、山林、雑種地等につき単価1000円で買収することを決定した。

(10)  一方、本件建物は、前記のとおり、長期間、使用、管理されずに放置されていたために、老朽化が著しく、本件契約当時、相当荒廃していたところ、上記買収交渉において、村職員は、平成10年に県が本件土地の買収交渉をした際に積算した移転補償費7624万4700円(建物移転料6564万8500円、工作物移転料1006万4300円、立竹木補償金22万9500円、動産移転料30万2400円)を参考とし、さらに、上記工作物移転料に進入路部分の移転料として964万5600円を加算した上で、これらの合計額8589万0300円を本件建物の移転補償費とする旨の伺書を作成した(なお、県の上記積算のうち、建物移転料6564万8500円(税抜き6277万円)の算定根拠は、別紙再築移転補償金算定表のとおりであり、移転工法としては再築工法が採用されていた。)。被告は、かかる伺書に基づき、上記のとおり、Aら本件建物所有者との間で、本件建物の移転補償費を8500万円とすることで合意に至った。

(11)  村は、本件契約につき村議会の承認を経て、平成12年5月11日、被告の支出命令により、Aら地権者に対し、本件買収代金合計1億5843万1000円を支払った。

(12)  その後、村は、自己の費用で本件建物を撤去し、本件駐車場の建設工事に着手した。

2  争点<1>(本件契約の違法性)について

(1)  一般的に、地方公共団体が事業を実施するに当たり、いかなる土地を取得するかについては、当該事業の内容とも密接に関わる問題であり、政策的な判断が要求される場面である。また、土地の取引価格は、社会的、経済的な要因に由来する複雑多岐な要素に基づき、かつ、当該取引の当事者の個別的、主観的な事情によって、大きく変動する性質を有するものである。したがって、地方公共団体が当該事業を実施するに当たり、その用地として、どの土地を取得すべきか、また、その対価をどのように評価すべきかについては、契約締結権を有する長の広範な裁量に委ねられていると解するのが相当である。

他方、地方公共団体が財産を取得する際の費用は基本的には納税者である住民の税金によって賄われるものであるから、公正性、経済性を確保することが要求されることは当然であり、このような趣旨から、地方財政法4条1項は、地方公共団体の経費は、目的を達成するため必要かつ最少の限度を超えて、これを支出してはならない旨規定している。また、地方自治法2条14項は、地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければらない旨規定している。

かかる規定の趣旨に照らせば、地方公共団体が事業のため用地を取得する場合においては、長に全く自由な裁量権が認められるものではなく、長は、地方公共団体にとってより有利な条件で用地を買収するよう努める一般的な義務があるというべきである。したがって、長において、適正価格よりも著しく高額な代金で事業用地を取得した場合には、当該事業の公益性、当該土地の取得の必要性、取得に至る経緯、代金算定方法、その他諸般の事情を考慮し、上記代金で取得したことに合理的な理由があると認められる場合でない限り、当該取引は、長において、その裁量権の範囲を逸脱又は濫用したものとして違法になると解するのが相当である。

(2)  そこで、上記基準に従い、本件契約について、村長である被告に裁量権の逸脱又は濫用があったか否かについて判断する。

ア  本件駐車場整備事業及び本件土地取得の必要性

〔証拠略〕によれば、かずら橋は、県内有数の観光地であり、年間50万人の観光客が訪れ、山間部に位置する村にとって重要な収入源となっているところ、既存の観光客用駐車場は、収容台数が不足しており、周辺道路が狭いこともあって、観光シーズンには、駐車場のための交通渋滞が発生することがあること、このような状況を解決するためには現状に加えて300台程度収容できる駐車場が必要であると試算されていることが認められる。かかる事実によれば、村は、県の本件道路整備事業に伴い、本件駐車場整備事業を実施する必要性があったことは否定できないものといえる。

しかし、次のような事情からすると、本件土地以外に本件駐車場建設用地となりうる土地がないために、村において高額な代金を支払ってまで本件土地を買収しなければならない状況にあったとはいえない。すなわち、証人西岡正義は、「被告は、当初、本件駐車場整備事業の用地として、本件土地の東側に隣接する、C及びDの所有地(以下「東側隣地」という。)を買収することを検討しており、買収費用も5000万円以内で抑えられると明言していたが、その後、何らの説明もなく買収の対象を本件土地に変更した。」旨証言しているところ、上記西岡は、当時、村議会議員であり、与党として本件買収に賛成したため、被告と同様に住民から批判を受ける立場にあった(証人西岡正義)のであるから、あえて被告を陥れるために虚偽の証言をするとは考えがたく、上記証言は十分信用しうるというべきであり、上記証言に係る事実を一応認めることができる。また、〔証拠略〕によれば、東側隣地は、Aらの本件土地よりもかずら橋に近い上、大型駐車場を建設できる程度の面積を有していることが認められ、東側隣地を本件駐車場用地としても何ら差し支えなかったといえる。

これに対し、被告は、東側隣地は本件土地よりも急峻な崖地にあるため工事が困難で費用がかかり、また、かずら橋に近いため景観を害するおそれがある旨主張し、村の担当職員であるEもこれに沿う供述をしている。しかし、一方で、上記Eは、東側隣地と本件土地のどちらが駐車場用地として適するか具体的に比較検討したことはない旨供述していることからすれば、被告の主張する上記事情は、客観的な根拠を欠くものといわざるを得ない。

また、本件駐車場は、かずら橋の観光客を対象としたものであるから、かずら橋付近道路沿いであれば立地条件を満たすというべきである。したがって、被告としては、本件土地の買収交渉においてAから著しく高額な代金での買い取りを要求された際に、村にとって他により適切な条件で買収しうる土地があるか否か検討すべきであった。しかるに、被告は、この点について具体的に比較検討することなく、後記のとおり、高額な価額で本件土地、建物を買収したものであり、そのことに合理的な理由はなかったというべきである。

イ  本件土地の買収価格について

前記のとおり、村は、本件契約において、山林、雑種地等(本件土地1ないし3、6ないし8、14ないし16)を、単価1000円で取得しているが、本件土地付近の山林の標準単価は10円程度であり〔証拠略〕、また、県が本件道路整備事業においてバイパス用地を買収した際の山林の単価は200円であったことからすると、本件契約における山林の単価は、著しく高額であったといわざるを得ない。もっとも、前記のとおり、村が本件契約に先立ちバイパス用地の先行取得をした際に本件土地周辺の地権者から山林につき単価1000円で買収したという経緯に照らせば、村が本件駐車場用地として、本件土地を避けて、それ以外の土地を買収しようとしたとしても、当該地権者から同程度の金額を要求された可能性は高いといえる。また、本件土地のような山間部の傾斜地は、取引事例も少なく、その都度の需給によって価格を決定せざるを得ないところ、本件契約に至る経緯に照らせば、村としては、地権者に対し、付近にバイパスが開通することを前提としてある程度高額な代金を提示せざるを得ない状況にあったものと認められる。かかる事情に加え、観光収入が重要な収入源となっている村にとって本件駐車場整備事業は、県の本件道路整備事業と同程度の重要性を有する事業であったことなどを考慮すれば、被告が、本件土地の買収にあたり、山林について単価1000円と評価したとしてもあながち不合理であったとはいえない。

しかし、被告が本件土地の買収価格を算定するに当たり、現況によらず公簿上の地目を基準に評価した点について合理的な理由があったとはいえない。すなわち、前記認定事実によれば、本件土地のうちもA所有地の現況は、公簿上、宅地、田畑とされている土地(本件土地4、5、9ないし13)も含め、その大部分が山林又は雑種地(草むら、土捨て場)であり、そのうち、宅地として造成されていたのは本件建物の敷地部分(本件土地4の一部)のみであり、しかも、上記敷地部分は、本件土地4の実測面積の2分の1にも満たなかったことが認められる。この点、土地価格算定にあたって、本件土地のように、現況と公簿の地目及びそれに対応する単価が大幅に異なる場合には、現況に従って価額が算定されるのが通常である上、村においても本件土地付近でバイパス用地を取得した際の単価も現況の地目に従って評価されていたこと(〔証拠略〕)からすれば、本件土地の買収においても、現況の地目に従って買収単価を決定するのが相当であったというべきである。しかるに、被告は、本件土地の買収において、大部分が山林・雑種地となっているA所有地の現況を考慮することなく、公簿上の地目に従い、本件土地4、5については宅地評価として単価1万6000円で取得し、本件土地9ないし13については田畑評価として単価2100円で取得したものであり、その結果、本件買収代金が、後記のとおり、現況に従って評価した額と比べ著しく高額になったことが認められる。

ウ  本件建物の移転補償費について

前記認定事実によれば、被告は、かつて県が本件建物を買収しようとした際に積算した移転補償費に建物進入路部分の移転料を加えた額を基にして、最終的に8500万円で本件建物を買収したことが認められる。

ところで、前記のとおり、本件建物は、老朽化が著しく、本件契約当時、相当荒廃していたが、被告としては、本件建物を所有者から任意で取得しなければならない立場にあったことからすれば、対価として建物移転料相当額を支払うこと自体はやむを得なかったというべきである。

しかし、本件建物移転補償費のうち、建物進入路の移転費用は、土地と一体のものとして、土地価格に包含されるものであり、実際に県による積算でも進入路の移転費は、移転補償費に含まれていなかったことからすると、本件建物の買収において、進入路移転料として964万5600円もの高額な金額を移転補償費に加えたことにつき相当な理由があったとはいえない。

また、県の積算した本件建物移転補償費には、別紙再築移転補償金算定表のとおり、建物取り壊し工事費646万4248円(消費税含む。)が含まれていたが、本件契約においては、村が自己の負担で本件建物を解体することになっていたのであるから、Aら建物所有者に対し、取り壊し工事費を補償する根拠はなく、本件建物移転補償費から上記解体費用を控除すべきであったのであり、これを控除しなかったことにつき相当な理由があったとはいえない。

さらに、前記認定事実に加え、〔証拠略〕によれば、本件建物の主たる建物(鉄骨コンクリートブロック造陸屋根3階建・店舗)の標準的な再建築費は、その規模・構造等に照らすと、2068万円程度であるが、県の積算では、別紙再築移転補償金算定表のとおり、その再建築費は4527万3965円となっており、上記標準的金額に比べ、著しく高額であったと認められる。しかるに、被告は、本件建物の移転補償費を算定するに当たり、独自に鑑定手続を実施することなく、県の上記積算をそのまま採用した結果、その買収価格(移転補償費)が適正価格に比べ著しく高額になったと認められる。そして、本件契約当時、本件建物が著しく老朽化して相当荒廃していたという事情も考え合わせれば、このような建物を取得するために、上記のとおり、著しく高額な対価(移転補償費)を支払ったことについて合理的な理由があったとはいえない。

(3)  以上によれば、村長の被告は、適正価額に比べ著しく高い金額で本件土地・建物を買収したものであり、そのことにつき、合理的な理由も認められない。したがって、被告は、その裁量権の範囲を逸脱、濫用して違法に本件土地・建物を買収したというべきであり、不法行為に基づき、本件契約によって村が被った損害を賠償する責任を負う。

3  争点<2>(損害額)について

(1)  本件土地の買収による損害額

前記認定事実によれば、本件土地のうち、A所有地の現況は、公簿上、宅地、田畑とされている土地(本件土地4、5、9ないし13)も含め、その大部分が山林又は雑種地(草むら、土捨て場)であり、そのうち宅地として造成されていたのは本件建物の敷地部分(本件土地4の一部)のみであり、しかも、上記敷地部分は、本件土地4の実測面積の2分の1にも満たなかったことが認められる。しかるに、被告は、上記のような現況を考慮することなく、公簿上の地目に従い、本件土地4、5については、すべて宅地(単価1万6000円)と評価し、本件土地9ないし13については、すべて田畑(単価2100円)と評価した結果、買収価格が著しく高額になったと認められる。そうすると、上記買収価格から現況によって算定した適正な価格を控除した額が、本件土地の買収により村の被った損害額に相当すると認められ、その額は、次のとおり合計3114万9623円となる。

ア  公簿上田畑とされている土地(本件土地9ないし13)に係る損害額

{2100円(買収単価)-1000円(適正単価)}×4502.68(実測面積)=495万2948円

イ  公簿上宅地とされている土地(本件土地4、5)に係る損害額

{1万6000円(買収単価)-1000円(適正単価)}×{2,737.55×0.5(本件土地4のうち建物敷地を除いた部分の面積)+377.67(本件土地5の実測面積)}=2619万6675円

(2)  本件建物の買収による損害額

前記認定事実によれば、本件建物の移転補償費は、補償の根拠のない進入路移転料及び建物取り壊し工事費が加算されていたほか、主たる建物の再建築費が標準的な再建築費と比べ高額であるため、その総額も著しく高額になったものと認められる。この点、主たる建物の再建築費につき、その標準的な価額は前記のとおり2068万円程度であるところ、被告の裁量権を最大限考慮して高く見積もったとしても3000万円を越える部分については不相当な支出であったというべきである。

そうすると、<1>主たる建物の再建築費4527万3965円から上記適正額の上限3000万円を控除した額に再築補償率0.95(0.36×0.964+0.64×0.942≒0.95(別紙再築移転補償金算定表備考欄参照))を乗じた額と<2>進入路移転料964万5600円(税込み)及び<3>取り壊し工事費646万4248円(税込み)の合計額が、本件建物の買収により村の被った損害額に相当すると認められ、その額は、次のとおり、3134万5628円となる。

(4527万3965円-3000万円)×0.95(再築補償率)×1.05(消費税加算)=1523万5780円(<1>)

1523万5780円(<1>)+964万5600円(<2>)+646万4248円(<3>)=3134万5628円

4  結論

よって、原告の本訴請求のうち、村に代位して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、損害金6249万5251円(本件土地に係る損害額3114万9623円と本件建物に係る損害額3134万5628円の合計額)及びこれに対する本件買収代金支出日である平成12年5月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから、これを認容し、その余は理由がないから棄却することとし、仮執行宣言は事案の性質上相当ではないから、これを付さないこととする。

(裁判長裁判官 村岡泰行 裁判官 古田孝夫 井出弘隆)

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