徳島地方裁判所 平成8年(わ)201号 判決 1997年3月25日
主文
被告人を懲役一年に処する。
この裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、昭和三六年一二月に検事を退官し、翌三七年三月一二日付けで徳島弁護士会に弁護士登録し、昭和四二年には高知弁護士会に、平成五年七月には大阪弁護士会にそれぞれ登録換をして弁護士業務を行っていたものであるが、大和利太郎、坂本勝美及び〓川竹男らと共謀のうえ、徳島地方裁判所が、平成七年一〇月一六日に競売開始決定をし、かつ、平成八年三月一日、入札期間を同年四月一日から同月九日までとする期間入札により競売する旨の売却実施命令を発した株式会社大和(代表取締役大和利太郎)ほか一名所有の徳島市東船場町二丁目三〇番の宅地二筆、建物一棟及び大和利太郎ほか一名所有の同市新浜本町二丁目二二八番三の宅地等七筆の不動産につき、その公正な競売の実施を阻止しようと企て、同年三月三〇日ころ、同市徳島町一丁目五番地所在の同裁判所に対し、右東船場町の不動産につき、平成七年五月一日に、株式会社大和と右坂本勝美との間で、賃貸借期間を同日から、宅地について五年間、建物について三年間とする各賃貸借契約を締結している旨、並びに、右新浜本町の不動産のうち六筆の宅地等につき、平成七年四月一日に、右大和利太郎と右〓川竹男との間で、賃貸借期間を同日から五年間とする賃貸借契約を締結している旨のいずれも虚偽の賃貸借契約書の写しを、それぞれ、右契約書の内容が真正なもののように装って、前記競売物件は既に他に賃貸されているので取調べを要求する旨の上申書に添付したうえ、郵送により提出し、もって、偽計を用いて公の競売の公正を害すべき行為をしたものである。
(証拠の標目)省略
(補足説明)
一 被告人は、公判廷での罪状認否や最終陳述において、「共謀の事実、公正な競売の実施を阻止しようと企てたとの事実及び虚偽の賃貸借契約書を提出したとの事実は否認する。」、「弁護士としては、往々にして犯罪らしきことに関して相談を持ち掛けられ、それにつき、否定、肯定の意見等を述べることはよくあることで、それを肯定したとか、あるいは中止を求めなかったことをもって直ちに共犯となるべき共謀があったということにはならない。」、「競売手続を妨害する意図は全くなく、むしろ現実の状態を裁判所に知らせるくらいの意思であったものである。いわば彼らの意思を取り次いだくらいのもので、これが手続の妨害として犯罪になるとは毛頭考えていなかった。」、「かつては検察官の経験もあり、決して違法なことを承知のうえで行動はしないし、またしたこともない。」などと述べ、本件の競売入札妨害罪についての犯意、共謀の点を争っているので、当裁判所が、前判示のように認定した理由を補足して説明する。
二 まず、関係各証拠によれば、次の事実が認められる。
すなわち、被告人は、前判示のような職歴を経た後、本件当時は大阪市内に事務所を置いて弁護士業務を行っていた。
徳島県内でも有数の資産家として知られていた大和利太郎(以下「利太郎」という。)は、山林等の資産を担保に金融機関から多額の融資を受けて株式投資や絵画等の美術品の購入を続けていたが、平成三年ころから、借入金の返済に窮するようになり、債権者の株式会社徳銀オリックスでは、貸付金約六億二〇〇〇万円が未収となっていたため、平成七年一〇月一三日、抵当権を設定していた徳島市東船場の土地・建物(以下「東船場の物件」という。)及び同市新浜本町の土地・建物(以下「新浜本町の物件」という。)について担保権の実行として徳島地方裁判所に競売の申立てをし、同裁判所は、同月一六日、競売開始決定をし、右各物件を差し押さえた。
大和英子(以下「英子」という。)は、夫利太郎と不仲で、長年別居していたが、利太郎が経済的に破綻に瀕していることを知り、大和家の資産を保全しようと考え、かねて、自己の財産の保全を相談したことのある古物商の坂本勝美(以下「坂本」という。)を紹介すれば、競売にかかっている利太郎等所有の不動産についてその競売を阻止することができるのではないかと考え、同年一二月一八日、坂本を伴って京都市東山区清水四丁目一九〇番地の一にある利太郎宅を訪れ、同人に坂本を引き合わせた。そして、資産の現状等について話し合った結果、利太郎は坂本に対し、現に競売の対象となっている不動産等を保全してもらいたい、従前委任していた顧問弁護士を解任したいので他の適当な弁護士を紹介して欲しいなどと依頼した。
その後、坂本は、徳島に戻り、古物商の〓川竹男(以下「〓川」という。)に対し、利太郎からの依頼を伝えたところ、〓川は、早速、かねてからの知り合いであった高知市在住の弁護士である被告人を紹介することとし、同月二三日、〓川の営む刀剣屋において、被告人を坂本に紹介した。
坂本は、同月二五日、被告人や〓川と一緒に利太郎宅を訪れ、利太郎に被告人や〓川を紹介した。その場で坂本、〓川の両名は、利太郎に対し、競売の対象となっている不動産について競売開始決定以前から坂本に賃貸していた形を取って、買受希望者が出にくいようにして最低売却価額を低落させたうえで株式会社徳銀オリックスと交渉し、競売を取り下げさせて低価額で買い取るか、あるいは低価額で自らが競落し、これを他に転売して差額を利得する旨の計画をもちかけ、利太郎もこれに賛同した。その際、被告人も意見を求められて、賃貸借契約の締結日を遡らせることは違法である旨発言したところ、〓川は、競売を妨害しても最終的に右徳銀オリックス側と交渉して任意売買に持ち込めば、刑事事件にならず、被告人にも迷惑はかからないなどと言ったため、被告人もそれ以上口出しをしなかった。そして、その場で利太郎から各種の委任状を作成するために同人の印鑑を預かった。
被告人は、平成八年一月五日、利太郎に対し、ファクシミリで年始のあいさつ状を送り、「東船場の駐車場、チギリ山の件、……完全に保全できます……着手金については、坂本氏に申しつけてありますのでよろしく。」などと書き添えて送信した。一方、坂本は、同日、利太郎宅を訪れ、同人に対し、被告人の意向で着手金は二〇〇万円、当初の経費として一〇〇万円が必要である旨伝えた。
続いて、坂本、〓川及び被告人の三名(以下、単に「被告人ら」というときは、右三名を指す。)は、同月九日、利太郎宅を訪れ、同人に対し、競売を阻止するために賃貸借契約書を作成することなどを再度確認したうえ、東船場の物件の借主については、従前、坂本とすることで合意していたが、新浜本町の物件の借主については、その場で、坂本や〓川の申出により〓川とすることとし、その際、被告人も、賃借人を一人に集中させるのは不自然であるなどと述べた。被告人は、同月一二日に坂本と二人で利太郎宅を訪れ、同人から着手金二〇〇万円、経費として一〇〇万円の合計三〇〇万円を現金で受け取った。
坂本及び〓川は、同人らの意図を知悉している不動産業者の槙納尚とともに、同月下旬ころまでに、東船場の物件に関しては、株式会社大和と坂本との間で、賃貸借期間を宅地については平成七年五月一日から五年間、建物については同日から三年間とする賃貸借契約を締結している旨、また、新浜本町の物件のうち六筆の宅地等に関しては、利太郎と〓川との間で、賃貸借期間を平成七年四月一日から五年間とする賃貸借契約を締結している旨の虚偽の契約書を作成した。
被告人らは、平成八年一月一九日ころ、利太郎の資産の一部が国税局によって差し押さえられるのを防ぐために同人宅を訪れ、その銀行預金合計一億五〇〇万円を引き出し、坂本が利太郎からそれを借り入れ、さらに、そのうちの二五〇〇万円を諸経費の名目で被告人に預託した。
被告人らは、同年二月中旬ころ、新浜本町の物件については、利太郎以外に同人の内妻である大隅昭子名義の不動産も含まれていたことから、同女との間でも、その了解を得たうえで契約日を遡らせた賃貸借契約を締結しておこうと考え、利太郎宅において、右大隅にその旨の賃貸借契約を仮装することを持ちかけたが、同女がこれを拒否したため、結局、同物件についても、利太郎が賃貸人となり〓川との間で賃貸借契約を締結しているような形式をとることにした。なお、その際、被告人は、同女抜きで話を進めればよい旨助言したりした。
徳島地方裁判所は、同年三月一日、東船場の物件及び新浜本町の物件に関し、その入札期間を同年四月一日から同月九日とする旨の売却実施命令を発した。同年三月六日ころ、右命令の送達を受けた利太郎は、一件書類をファクシミリで〓川に送ったところ、〓川は早速被告人にその旨連絡し、同月七日、被告人らは徳島市内のホテルで会い、被告人は〓川から、売却実施命令の関係書類や作成済みの前記賃貸借契約書二通を示され、競売手続を阻止するため右契約書二通を裁判所に提出してもらいたい旨依頼を受けてこれを承諾し、右契約書二通の写しを持ち帰った。
被告人は、同月下旬ころ、〓川から電話で、再度、右賃貸借契約書類を裁判所に提出してもらいたい旨催促され、同月三〇日、徳島地方裁判所に対し、利太郎の代理人として自ら「本件競売事件の目的物件については、添付の契約書のとおり、既に他に賃貸しているのでこの点を調査されたい。」旨の上申書を作成して右契約書二通の写しとともに郵送提出した。
徳島地方裁判所は、右上申書が提出されたのに伴い、再度、現況調査を行わせるため、同年四月二日、先の売却実施命令を取り消した。
三 ところで、東船場及び新浜本町の各物件に関する前記各賃貸借契約書が、競売を妨害するために作成された実体の伴わない内容虚偽の契約書であることは、証人坂本勝美及び同〓川竹男の各証言等から明らかである。
しかして、前記事実関係によると、被告人は、平成七年一二月二五日、坂本らと一緒に京都の利太郎宅を訪れ、坂本らが、利太郎に対し、競売の対象となっている不動産を競売開始決定以前から坂本に賃貸していた形を取って競売を阻止するなどの計画を話した際、被告人も同席しその話を聞いていたのであるから法律家としてこのような違法行為を中止するように忠告すべきであるのに(利太郎の顧問弁護士に就任後は、なおさら強力に違法行為を阻止する義務があったというべきである。)、坂本らに対し、単に、賃貸借契約の締結日を遡らせることは違法である旨述べたに止まり、その場で委任状の作成に必要な利太郎の印鑑を預かり、顧問弁護士となることを引き受けたこと(なお、被告人は、公判廷において、同日の時点では、利太郎との間で、顧問弁護士としての委任契約は未だ締結されていなかった旨供述し、その理由として、利太郎の財産関係の把握がまだできていなかったこと、弁護士倫理三六条(報酬の明示)、同四八条(他の事件への介入)を念頭に置き、着手金等報酬を実際に取得しなければ事件を受任したことにはならないとの趣旨の主張をするが、委任契約は本来諾成、不要式の契約であり、報酬等の受領と契約の成立とは別個の問題であり、また、右三六条の内容からみて、弁護士が事件を受任する前提として報酬額を明示することが必ずしも必要条件とされているわけではなく、被告人が、同日の時点で、利太郎に対し、報酬額を明示しなかったからといって、その時にはまだ受任していなかったものと断ずることはできず、また、利太郎の財産関係の把握は簡単にできるものではなく、受任後においても継続して調査整理すべきものであること、また、依頼者の利太郎が他に顧問弁護士を希望する場合には既に受任中の弁護士は正当な理由なくこれに反対することはできず、他の弁護士が受任してもこれをもって他の事件への介入ということもできないから(同四七条参照)、この点もその主張の前提を欠くものである。さらに、いずれにしても、被告人は、公判廷において、利太郎との間で委任契約が締結された時期に関し、平成八年一月一二日に着手金を受領した際には受任事務の内容として競売事件の処理を含めた契約が締結された旨を自認している。)、また、坂本らが、平成八年一月九日、利太郎宅を訪ね、同人に対し、競売を阻止するために賃貸借契約書を作成することなどを再度確認した際や、同年二月二〇日ころ、同人方において、利太郎の内妻である大隅昭子に対し、新浜本町の物件のうち同女名義の不動産についても契約日を遡らせた賃貸借をつけることを承諾するよう説得を試みた際にもそれぞれ同席して助言したりしたこと、さらに、同月一二日、利太郎から着手金として二〇〇万円、当分の経費として一〇〇万円が被告人に支払われたこと、しかも、被告人自身、捜査段階において、本件の賃貸借が実体のない内容虚偽のものであることは十分知っていた旨を繰り返し述べている(警察官調書・五八、検察官調書・六〇等)ほか、平成七年一二月二五日ころ及び平成八年三月七日ころにそれぞれ坂本らと会った際の心境等について、「〓川や坂本だけでなく依頼者の大和自身も契山や東船場の物件について〓川たちの言うような架空の賃貸借契約をつけることでできる限り競売から保全して欲しいと願っている様子であり、先生よろしく頼みますなどと競売から財産を保全することについても私に頼んできたことから、私もそれ以上〓川や坂本らに二人が考えている競売妨害の計画を止めさせ異議を述べることはせず、「うーん」とあいまいな返事をして大和から依頼を引き受けるに際して、委任状を作ったりいろいろな手続や書面作成に必要な印鑑を預けてもらう話をしたのです。大和の全財産と負債や国税の正確な把握はできていませんでしたが、大和の財産の保全や清算をすればかなりのもうけになることは間違いないと考えており、弁護士業務を行うに当たってもそれはやはり大きな魅力だったため、大和の依頼を受けて競売に対する処置や国税対策を含めて大和の顧問弁護士を引き受ける気持ちになりました。」(検察官調書・六二)、「〓川たちの考えはそのうその賃貸借契約書を裁判所に提出することで競売手続をストップさせることにあることは十分分かっていましたが、その時の私の感覚からすればあまり大した書類であるという思いがなく軽い気持ちで〓川の頼みを引き受けて裁判所に上申書とともにそのうその賃貸借契約書を提出しようと思いました。……現実問題として民事訴訟では当事者がお互いにうそばかりつき合い、陳述書を出す代理人も依頼者がうそをついていることが分かってもそのうその内容の陳述書を裁判所に提出することはよくやっており、うそが通れば、もうけものでうそが通らなくてももともとだという考えでおります。そのような感覚で今回もうその賃貸借契約書をその内容のとおり賃貸借契約が結ばれているものとして〓川や大和の望みどおり提出していたわけです。」(検察官調書・六四)などと具体的かつ詳細に供述している(なお、被告人は、右各調書の信用性を争っているが、被告人はかつては検察官として自ら犯罪捜査にたずさわり、また、現職の弁護士であることに照らせば、ことさらにその意に反する供述を余儀なくされたような事情があれば格別、そのような事情を認めるに足りる資料はないから、その信用性に疑いはないと認められる。)ところである。
以上を総合すると、被告人は、本件の賃貸借契約書が実体のない内容虚偽のものであることを十分認識しつつ、平成七年一二月二五日ころ、または遅くとも平成八年三月下旬ころまでの間に、坂本らとの間で、徳島地方裁判所に対し、東船場及び新浜本町の各物件につき前記虚偽の賃貸借契約書を提出し、その競売につき公正を害すべき行為をなす旨の共謀を遂げたことは明らかというべきである。
(法令の適用)
被告人の判示所為は刑法六〇条、九六条の三第一項に該当するが、所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予し、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文により全部これを被告人に負担させることとする。
(量刑の理由)
本件は、かつては検察官として検察の職務にたずさわり、現に弁護士として活動している被告人が、共犯者大和利太郎らと共謀のうえ、競売開始決定及び売却実施命令が発せられている右大和等所有の不動産についてその公正な競売の実施を阻止しようと企て、徳島地方裁判所に対し、契約日付を競売開始決定以前に遡らせた内容虚偽の賃貸借契約書の写しを、真正なもののように装って上申書に添付し、これらを郵送提出したという偽計による競売入札妨害の事案であるところ、右のとおり、被告人は、競売物件の所有者等の代理人たる弁護士として、前記虚偽の賃貸借契約書の写しを競売裁判所に送付することによって公の競売の公正を害すべき行為をなしたものであるが、弁護士たる資格に対する裁判所の信用を利用しようとする共犯者坂本らの思惑に安易に乗って違法行為に加担したものであること、また、公の競売の実施を阻止し競売物件を任意処分に持ち込むなどして現実に利益を上げるに当たっては、被告人が利太郎の代理人として銀行等と折衝することが予定されていたものであって、被告人の協力なくして本件犯行さらにはその目的を完遂することは困難な状況にあったことなど、被告人の担った役割は大きいというべきである。そして、基本的人権を擁護し社会正義の実現を使命とする法律家として違法行為を止めさせるべきであるにもかかわらず、その立場を何らわきまえず、競売物件に架空の賃貸借を設定することにより競売の実施を阻止するなどして債権者の利益を侵害し、これに伴う利益を得ようとするもくろみに加担し、結果的に自らの依頼者の信頼をも裏切りその利益を侵害したうえ、多額の報酬等を得ようとしたものであって、その動機において酌むべき事情は全くないこと、さらに、不動産競売手続が適正、迅速に行われることは、私法上の請求権又は担保権の迅速な実現のため不可欠の要請であり、これを実現するために裁判所をはじめ関係者が多大の努力を重ねているところであるが、本件犯行は、その一翼を担うべき弁護士による執行妨害事件であり、公の競売に対する一般の信頼についてはもちろん、弁護士をはじめ法曹に対する市民の信頼をも著しく失墜させたものであること、加えて、被告人は、保釈請求の段階では自己の責任を認めて保釈を許可されたのに、公判に至り一転してその犯意等を全面的に否認し、自己の行為に対する責任を逃れようとして終始不合理な弁解を繰り返し、真摯な反省の態度が認められないことなど、これらの事情を考え合わせると、被告人の刑事責任は非常に重いというほかはない。
しかしながら、被告人は、前記のとおり、その担った役割は重要であったとはいえ、本件犯行ないしはその目的実現に向けて主導的、積極的に関与したとまでは認められないこと、被告人は本件によって逮捕され、事件の経過、内容等が報道機関を通じて広く社会に報道され、既に相当の社会的制裁を受けていること、これまでに検察事務及び弁護士業務を通じてそれ相応の社会的貢献を果たしてきたこと、被告人には前科前歴はないことなど、被告人にとって有利あるいは酌むべき事情も認められる。
そこで、これらの諸事情を総合考慮し、被告人に対しては、主文掲記の刑に処したうえ、今回に限り刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。
よって、主文のとおり判決する。
(検察官栗坂滿公判出席)
(求刑 懲役一年)