徳島地方裁判所 昭和26年(ワ)359号 判決
原告 北川貞一
被告 島田周太郎 外一名
一、主 文
昭和二十六年八月十四日附徳島地方裁判所同年(モ)第二一〇号動産換価命令及同年(モ)第二一一号動産換価命令に基き、徳島地方裁判所執行吏井上謙介が同年八月二十二日別紙目録<省略>記載物件に対して為した各競売の無効なることを確認する。
訴訟費用は被告等の負担とする。
二、事 実
原告訴訟代理人は主文同旨の判決を求め、請求原因として、原告は同人と被告島田周太郎間の当庁昭和二十六年(ヨ)第九四号処分禁止仮処分事件決定に基き別紙目録甲物件に対し執行を為し、同被告は同人と右原告間の当庁昭和二十六年(ヨ)第一一〇号処分禁止仮処分事件決定に基き別紙目録乙物件に対し執行を夫々為し居るものであるが、同被告は当庁に右両物件に対する換価命令の申請を為し、同年八月十四日甲物件に対しては同庁昭和二十六年(モ)第二一〇号事件乙物件に対しては同年(モ)第二一一号事件の各換価命令を受け、これが執行を徳島地方裁判所執行吏井上謙介に委任し同執行吏は同年八月二十二日現地に赴き右命令に基き競売を為し同日被告島田稔が甲物件を七千五百円乙物件を二千五百円で何れも競落したが、該競売は右各換価命令を当事者たる原告に送達する前に為された無効のものであるから、原告は右競売の無効確認を求める為め本訴請求に及ぶと述べた。<立証省略>
被告等訴訟代理人は原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、答弁として、原告主張事実中競売が無効なりとの点を除き爾余の事実は認める、本件競売は執行吏が為したものであるから無効に非ずと述べた。<立証省略>
三、理 由
原告主張事実は本件競売が無効なりとの点を除き総て被告の認める処である。よつて右争点である換価命令を送達前になした競売の効力の有無につき按ずるに、換価命令は執行裁判所に於て口頭弁論を経ずして為すことを得る裁判で斯る場合該命令を当事者双方に送達しなければ効力を生ぜず、従つてその送達前に為した競売は債務名義なくして為された競売として効力を生じないこと明かで、これを本件についてみるに、本件換価命令が口頭弁論に基かずしてなした裁判なること一件記録により明かで且本件競売が該命令の原告に送達前なされたことも当事者間に争無きを以て本件競売は無効のものと謂うべく、これが確認を求める仮処分当事者たる原告の本訴請求はその確認の利益があるのでこれを正当として認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用して主文の通り判決する。
(裁判官 小川豪)