大判例

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徳島地方裁判所 昭和28年(行)10号 判決

原告 川内儀一郎

被告 徳島県知事

一、主  文

被告は原告に対し金三十四万五千六百円の支払をせよ。

原告の其の余の請求は之を棄却する。

訴訟費用は被告の負担とする。

二、事  実

原告は被告は原告に対し金百二十九万六千円の支払をなせ、訴訟費用は被告の負担とする、との判決を求め、其の請求の原因として徳島県収用委員会は昭和二十八年七月十五日附を以て原告の所有せる(一)徳島県名西郡石井町大字石井字原四百四十番地の一土地百十二坪の内三十二坪四合及び(二)同所四百四十番地の二土地五十四坪(いづれも宅地)を被告の行う県道徳島、池田線改築事業のため収用すべきこと収用の時期は昭和二十八年七月二十五日損失補償金額は二十五万九千二百円とする旨の土地収用裁決をなした。しかしながら前掲の土地はいづれも石井町における中枢通称十字路に接近せる土地であつて商業上石井町の優等地であり、原告は祖先より五十年来引続き所有して生活の根拠たる店舗兼居宅を建築してある老舗で有形無形の唯一の財産であるのみならず、近時地価昂騰し近傍類地の売買価格は一坪の単価一万五、六千円を称えている現状である。是等の諸般の事情を参酌するとき本件土地の収用時期における価格は一坪に付一万五千円、収用全面積につき合計百二十九万六千円を相当とするから右収用委員会が前述の如く補償金額を裁決したのは失当であり被告は原告に対し損失補償金として百二十九万六千円の支払義務がある。仍て原告は被告に対し該金員の支払を求めるため本訴に及んだと述べた。

被告指定代理人は原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、答弁として、徳島県収用委員会が原告主張の土地につきその主張の日時その主張の如き内容の裁決をなした事実は認めるが被告に原告主張の如き補償金額支払義務のあることは否認する旨陳述した(各証拠省略)。

三、理  由

昭和二十八年七月十五日徳島県収用委員会が原告所有に係る徳島県名西郡石井町大字石井字原四百四十番地の一土地百十二坪の内三十二坪四合、及び同所四百四十番地の二土地五十四坪(以上いずれも宅地)を被告の行う県道徳島、池田線改築事業のため収用時期同年七月二十五日、損失補償金額二十五万九千二百円として収用裁決をなした事実は当事者間に争がない。

仍て本件土地の補償価格につき審査するに鑑定人阿部重憲、同森岡五郎、同一宮暹、同植田嘉一、同立石正一、同島崎栄の各鑑定の結果を綜合して考えると本件各土地の収用時期である昭和二十八年七月二十五日における坪当り価格は金四千円を相当と認められるから収用土地の総面積八十六坪四合の補償金額は合計三十四万五千六百円を相当とする。成立に争なき乙各号証の各記載によるも右認定を覆すに足らず其の他右認定を左右すべき証拠はない。

されば前記収用委員会が本件収用土地の補償額は金二十五万九千二百円相当と裁決したことは過少であり被告は原告に対し前記認定価格金三十四万五千六百円を支払う義務がある。

仍て原告の本訴請求は右金員の支払を求める限度で正当として之を認容し、其の余の請求は失当であるから之を棄却すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九十二条但書を適用して主文の如く判決する。

(裁判官 今谷健一 小川豪 山本茂)

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