徳島地方裁判所 昭和44年(ワ)67号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕しかし、一方、運転手たる被告溜島の不法行為法上の過失の存否についてみるに、本件事故に関し同被告のタクシー運転手としての何らかの注意義務違反を問責することもまた躊躇せざるをえないところである。けだし、タクシー運転手がその業務上客を乗せる場合必らずドアのキイロックを落とし、不測の開閉を防止する義務ありと一般的な立論をすることは現在の乗用車運転の実情、慣行その他社会通念に照らし未だ困難である(それは特定の場合例えば事理弁識能力不十分な幼児ばかりを乗客とするような場合に限り肯認せられるべきである。本件でも被告溜島は子供のいる側の右ドアのロックは落としている)し、発進時ドアの開閉を乗客にまかせた点も、結果において原告美智子が二段閉めをしたのは事実であるから、これを問責する余地はなく、さらに本件現場にさしかゝつたさいの運転上または乗客の取扱上何らかの作為または不作為による過失ありと認めなければならないほどの事情はこれを認めることはできないからである。
(畑郁夫)