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徳島地方裁判所 昭和46年(ワ)51号 判決 1976年5月21日

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一、当事者の求めた裁判

一、原告

被告会社の

(1)  昭和四四年八月二一日の社員総会における(イ)取締役玉置武夫の取締役解任、(ロ)玉置昌代、柿本智代、玉置良江、玉置夫規子を取締役に各選任する旨の各決議

(2)  同年九月二二日の社員総会における被告会社の定款第一八条、第二二条、第二三条、第二四条の各規定を改正する旨(改正した条文は別紙目録記載のとおり)の決議

がいずれも存在しないことを確認する。

訴訟費用は被告の負担とする。

二、被告

主文と同旨。

第二、主張

一、原告の請求原因

1. 被告会社は昭和二五年一月一九日山林及び立木の売買、製材加工、木材の売買、造林等を目的として資本金三〇〇万円(一口一、〇〇〇円都合三、〇〇〇口)をもつて設立された有限会社であり、原告は設立以来現在まで被告会社の四八万円(四八〇口)の出資持分を有する社員である。

2. 被告会社は昭和四四年八月二一日及び同年九月二二日の各社員総会(本件各社員総会)において、前記第一の一のとおりの各決議(本件各決議)があつたとして、議事録を作成している。

3. しかし、本件各決議は、次のような事由があるので存在しないものと解すべきである。

(1)  被告会社の社員総会について定款に次のような趣旨の規定がある。

(イ) 社員総会の決議は法律に別段の定めある場合のほか、社員の半数以上出席し、その出席したる社員の議決権の過半数でこれを決する(第一六条)。

(ロ) 社員は他の社員もしくは同居の親族を代理人として、議決権を行使することができるが、その場合会社に委任状を提出しなければならない(第一七条)。

(ハ) 社員総会の議長は取締役社長がこれに当たるが、社長に事故がある場合は常務取締役がこれを代行する(第一八条)。

(2)  被告会社の二四〇万円(二、四〇〇口)の出資持分を有する社員である玉置増一が、昭和四一年五月二五日死亡し、その子玉置昌代ら五名が、相続により右出資持分を承継取得し、右五名は、同年九月二二日、被告会社の社員権を行使する代表者を昌代と定めるが、代表者は相続人五名の総意を得たうえでなければ、代表権を行使しない旨決議し、同日、昌代が被告会社に対し、社員権の行使につき右の届出をしたが、昭和四二年八月及び九月に右五名中二名から昌代及び被告会社に対し、遺産共有持分にかかる社員権行使の代表者を昌代と定めた契約を解除する旨通知した。

(3)  昭和四四年八月二一日の社員総会においては、定款第一八条に違反して、玉置要が議長をし、同第一七条に違反して、玉置武夫の議決権を玉置要が、玉置夫規子の議決権を桝井吉太郎が、それぞれ代理行使し、前記玉置増一の相続人玉置昌代ら五名の相続にかかる二、四〇〇口の社員権の行使は、前記(2)の事情のもとでは全員による同時同一行使による以外にないと解すべきところ、右五名は各自四八〇口について議決権を行使している。

(4)  昭和四四年九月二二日の社員総会においては、定款一八条に違反して、玉置昌代が議長となり、かつ同人が、相続人五名の総意によらないで二、四〇〇口の議決権の代表行使をしている。

(5)  右(3)、(4)によると、本件各社員総会には定款第一六条に規定する社員の半数以上の者が出席していないし、本件各決議も社員の議決権の過半数でなされたものではない(定款変更については有限会社法第四八条に違反している。)。

二、被告の答弁

1. 請求原因1、2の各事実は認める。

2. 同3の社員総会決議不存在の主張は争う。なお、同項(1)、(2)の各事実は認め、(3)、(4)については各定款違反及び相続にかかる社員権行使についての法的主張の部分は争うが、その余の事実は認め、(5)の主張は争う。

第三、証拠(省略)

(別紙)

目録

定款

「第一八条、社員総会の議長は取締役社長がこれに当る社長事故あるときは常務取締役がこれを代行する」とあるを、「第十八条、社員総会の議長は取締役社長がこれに当る、社長事故ある場合は互選により取締役中の一名これを代行する」と「第弐拾弐条、取締役はその互選によつて社長一名、常務取締役一名を定める」とあるを、「第二十二条、取締役はその互選によつて社長一名を定める」と

「第二十三条、社長及び常務取締役は各自会社を代表する。社長は会社を統括し常務取締役は社長を補佐して当会社の業務を掌理し社長事故あるときはこれを代理する」とあるを「第二十三条、社長は当社を代表し業務を統括する社長事故あるときは互選により取締役中の一名これを代理する」と

「第二十四条、取締役の氏名住所は左のとおりである。

徳島県那賀郡平島村大字中島六四三番地

取締役社長 玉置増一

同所同番地

常務取締役 玉置武夫」とあるを

「第二十四条、取締役の住所氏名は左の通りである。

徳島市中徳島町二丁目二番地

取締役 玉置昌代

徳島市中徳島町二丁目六番地の二

玉置良江

阿南市大潟町一一九番地の二

玉置夫規子

東京都練馬区中村南町一丁目三一番地

柿本智代」と

各改正

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