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徳島地方裁判所 昭和54年(わ)5号 判決 1979年9月10日

本籍

徳島県徳島市北沖洲一丁目一番地の五二

住居

同右

製材業

佐々木和太吉

大正四年一一月一〇日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金一、〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納できないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、徳島市津田海岸町二の一〇九において、佐々木製材という称号で製材業を経営しているものであるが、自己の所得税を免れようと企て

第一  昭和五〇年分の総所得金額が、一、七九九万三、八〇三円で、これに対する所得税額が、五六四万六、八〇〇円であるのにもかかわらず、公表経理上、売上収入の一部を除外するほか、たな卸除外をするなどの不正な行為により、自己の所得の一部を秘匿したうえ、同五一年三月一日、徳島市幸町三丁目五四番地所在の徳島税務署において、同税務署長に対し、みなし法人課税方式を選択したうえ、同年分の所得金額につき、みなし法人所得金額が欠損二三〇万九、三九二円、個人課税所得金額が三〇〇万六、〇〇〇円で、これらに対する総所得税額が、個人所得税額のみの二九万三、一六〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により、所得税五三五万三、六〇〇円を免れ

第二  同五一年分の総所得金額が、六、一六八万九、〇〇七円で、これに対する所得税額が、三、一九四万六、八〇〇円であるにもかかわらず、前同様の行為により、所得の一部を秘匿したうえ、同五二年三月九日、前記徳島税務署において、同税務署長に対し、前同様みなし法人課税方式を選択したうえ、同年分の所得金額につき、みなし法人所得金額が欠損一六四万四、五四一円、個人課税所得金額が三〇〇万六、〇〇〇円であり、これらに対する総所得税額が、個人所得税額のみの三〇万八、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により、所得税三、一六四万四、六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、被告人に対する大蔵事務官作成の質問てん末書七通

一、被告人作成の「上申書」と題する書面二通(証拠請求番号二三番、七〇番)

一、佐々木和仁の検察官に対する供述調書

一、佐々木和仁(五通)、小林廣治、柏木茂雄、山根茂樹、山崎安夫、神崎良治、柏木秀之、岸野惣治、久保清五郎に対する大蔵事務官作成の各質問てん末書

一、大蔵事務官作成の検査てん末書八通(同一二、二九ないし三四、七二番のもの)

一、被告人(二通)(同二二、七一番のもの)、小林正次、杉本邦雄、板東喜久夫、柿原繁(二通)(同六八、六九番のもの)、西條勇(三通)(同七三ないし七五番のもの)、矢野巌(二通)(同七六、七七番のもの)、松本亀次郎、吉田喜則(三通)(同七九ないし八一番のもの)、田中雄二(二通)(八二、八三番のもの)、柿埜昌彦、池田頼一(二通)(同八五、八六番のもの)、太田弘人(二通)(同八七、八八番のもの)、寺岡善男各作成の「証明書」と題する書面

一、小林廣治、中尾一男、山田倹二郎、駿地徹、山本健、北村克己各作成の「上申書」と題する書面

一、大蔵事務官作成の「調査書」と題する書面二八通(同八九番の二、九〇ないし一一六番のもの)

一、大蔵事務官作成の査察報告書(同二八番のもの)

一、「回答」と題する書面二七通(同四一ないし六七番のもの)

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(同一番のもの)

判示第二の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(同二番のもの)

(法令の適用)

判示各所為につき、いずれも所得税法二三八条一項(懲役刑と罰金刑を併科)

併合罪加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪に法定の加重をし、尚、同法四八条一項、二項により罰金刑と併科

換刑処分 刑法一八条

懲役刑の執行猶予 刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(公判出席検察官 秋本譲二 求刑懲役一〇月及び罰金一、二〇〇万円)

(裁判官 秋山賢三)

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