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徳島家庭裁判所 平成19年(少ロ)1号 決定 2007年2月26日

本人

A (昭和63.1.14生)

主文

本件については,補償しない。

理由

1  当裁判所は,平成19年2月21日本人に対する平成18年(少)第919号窃盗未遂保護事件(以下,「基本事件」という。)において,送致事実が認められないことを理由に,本人を保護処分に付さない旨の決定を告知した。基本事件の記録によると,本人は上記の送致事実と同一日時・場所及び同一の客体についての窃盗既遂の事実を理由に平成18年11月17日逮捕され引き続き同月19日から同年12月8日まで勾留されたことが認められる。

2  基本事件の記録によると,本人の逮捕勾留は,いずれも理由と必要性を具備した適法なものであったのみならず,基本事件の送致事実につき,本人の行為の外形面や主観面において欠けるところはなく,同事実が認められないことの決定的な資料は,本人が釈放された日である平成18年12月8日付けの鑑定書の指摘にかかる,本人が当時装着していた体感器にパワーアップ,アンテナがたまたま実装されていなかった点にあり,このことは捜査機関のみならず本人も認識していなかったことが認められる。

そうすると,基本事件の送致事実が認定できなかったのは,全くの偶然の事情にかかるものであったことから,本件は,少年の保護事件に係る補償に関する法律3条3号所定の「補償の必要性を失わせ…る特別の事情があるとき」に該当するというべきである。

3  よって,主文のとおり決定する。

(裁判官 鹿島久義)

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