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徳島簡易裁判所 昭和55年(ロ)662号 決定

債権者 国際電信電話株式会社

右代表者代表取締役 児島光雄

右債権者代理人弁護士 芦苅伸幸

同 星川勇二

同 山本洋一郎

債務者 佐藤正二

主文 本件支払命令の申立は、これを却下する。

なお、本件につき当裁判所は、債権者に対し、請求にかかる電話料の支払いを請求した年月日を明らかにすべき旨の補正命令を発したが、債権者代理人は、右補正命令につき、理由がない旨の意見を述べるので、補正命令に導いた理由、ならびに、本件支払命令を却下した理由をつぎに付け加える。

(裁判官 石川虎雄)

(補正命令に導いた理由)

公衆電気通信法八〇条一項は、除斥期間(期間内に裁判外の請求をすればよい)を定めたものと解するのが相当であり、同項所定の期間を経過した事実の主張、立証責任は債務者に、所定期間内に請求した事実は債権者にあると解するのが公平の原則上相当であるところ、本件においては、所定期間を経過した事実は債権者において自認するところであるから、当然債権者において所定期間内に請求した事実(権利存続要件)を主張する責めを負うものと解した。

(本件支払命令申立却下の理由)

しかし乍ら、請求権につき除斥期間が定められている場合における有効な権利行使の方法は、当該期間中に裁判上の請求をすることを要するものと解するに至った。けだし、裁判外の請求で足るとするにおいては、法律関係の迅速解消性が、消滅時効に比べ強いと解すべき除斥期間が、後に消滅時効の適用を受け、結論において弱くなるからである。

つぎに同法八〇条一項が消滅時効の規定であるか、除斥期間の規定であるかの検討をする。同法の役務料金関係の請求権に関する規定の指導原理は、電々業務の公共性、独占的企業性、企業の近代的機構による大量事務の画一的、迅速処理性が要請する法律関係の画一的、短期迅速解消であると解する。

而して、同法八〇条一項は、同法七八条三項との均衡を図ったものと解されるので先ず同法七八条三項をみることとする。

同項は、役務料金返還請求権の法律関係を出来る限り短期、かつ、完全に解消することによって大量、かつ、画一的な事務の迅速処理に関する障害を排除し、それにより節減された費用を公衆に対するサービス向上に還元し、もって、公共の福祉の増進を図るため除斥期間を定めたものと解すべきであることは、同項の規定の外形に照しても明らかである。因に、同項が消滅時効を定めたものと解するにおいては、時効の援用、抛棄が区区になされることを容認することとなり、同法一条の公平の理念に違背するものと考える。

ところで同法八〇条一項は、大量、かつ、定型的な役務の利用上の法律関係を短期迅速に解消することを目的とし、所定期間内に料金徴収の事務処理が完全に行われることの指導を期待し、公共的企業の合理的発展を図り公衆へのサービス向上、公共の福祉増進に寄与することを希いつつ、右七八条三項の料金返還請求権の除斥期間との均衡上、除斥期間を定めたものと解すべきであることは、同法律原典の同条の見出からも明らかであるというべきである。

以上の次第で本件電話料金の請求権は、本件支払命令申立当時、已に除斥期間経過により消滅していたものであることは、本件支払命令申立書自体によって明らかであるから、その申立は却下を免れない。

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