新潟地方裁判所 平成14年(ワ)85号 判決 2005年2月15日
原告
X
同訴訟代理人弁護士
宮本裕将
被告
鹿瀬町
同代表者町長
長澤均
同訴訟代理人弁護士
坂井煕一
同
斉木悦男
主文
1 (主位的請求)
(1) 被告は、原告に対し、200万円及びこれに対する平成12年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 原告のその余の主位的請求を棄却する。
2 (予備的請求)
(1) 被告は、原告に対し、61万4206円及びこれに対する平成12年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 原告のその余の予備的請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを3分し、その2を原告の、その余を被告の負担とする。
4 この判決は、第1項(1)及び第2項(1)に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(主位的請求ア)について
(1) 〔証拠略〕によれば、次の事実を認めることができる。
ア 被告鹿瀬町には、児童福祉施設として、鹿瀬、日出谷、豊実と3箇所の町営保育所がある。平成10年4月1日から保育士の配置は、上記3施設で常勤職員8名(鹿瀬保育所3名、日出谷保育所3名、豊実保育所2名)の体制がとられていたが、豊実保育所の保育士1名(A)が平成11年3月で定年退職となるために豊実保育所においては、保育士1名が欠けることとなった。そこで、被告は、平成10年6月にその補充として保育士1名の募集をし、試験の結果、同年11月下旬ころには任用内定にまで至ったが、任用辞退の申し出があり、保育士任用に至らなかった。また、平成11年1月下旬ころ、鹿瀬保育所の保育士1名が結婚のため、同年3月31日をもって退職する願い出をしたことから、被告は、同年1月に保育士2名の募集をした。しかし、1名だけの応募しかなく、試験の結果任用することにしたが、もう1名の補充ができなかった。
イ 平成11年3月24日、同年4月1日からの職員異動の内示があったが、先に任用した保育士は鹿瀬保育所へ配置されることに決まり、豊実保育所への配置はまだ決まっていなかった。そこで、豊実保育所において保育士を補助する臨時職員1名を早急に任用する必要が生じたので、当時の住民課課長であったBが、同年3月26日ころ、被告町長に対して保育士1名の補充が必要であると進言したところ、町長が豊実保育所に臨時保育士1名を採用することを承諾したが、臨時保育士の採用について適当な人材を得ることができなかった。
ウ Bは、知人である原告の母から、原告は五泉市の咲花温泉で経理事務をしているが、出勤時間が長くかかるので大変であるため、鹿瀬町で働けるところがあれば紹介して欲しいと頼まれていたことを思い出し、町長にその旨進言したところ、町長から原告に依頼してよいとの承諾があったので、同年3月28日、原告の母に原告を豊実保育所に臨時雇用として採用したいから原告に連絡をとって欲しいとの電話をした。
原告は、Bから豊実保育所の臨時保母として働かないかという電話があったことを母から伝えられ、Bに電話をかけたところ、日給は5300円で、保険はないなどの説明を受けた。その際、Bは、原告に雇用期間が1年であるとの説明はしていないし、原告も雇用期間がどの程度であるかの質問等はしなかった。
エ 平成11年3月29日、原告は、Bに豊実保育所勤務を承諾する旨の返事をして、原告の履歴書を郵送した。保健福祉課の副参事Cは、原告は保育士の資格がなく臨時職員ではあるが、次の保育士の資格を有する保育士の採用、配置があるまではずっと常時雇用したいということから、同年4月1付けで「保育所臨時職員の雇用について(お伺い)」の雇用伺い書に、勤務保育所を「豊実保育所」、雇用期間を「保育所最低基準による保育士配置のため臨時職員として常時雇用したい。」、賃金を日々雇用の形で「鹿瀬町賃金表により代替保母賃金5300円」と起案し、同書面に原告から送付された履歴書を添付して総務課長、収入役、町長の決裁に回し、原告の臨時職員としての採用が承認された。
オ 平成11年4月1日、原告は、町長と面会をして世間話などをしたが、町長から原告の雇用期間等の話は話題に上らなかった。原告は、従前勤務していた勤務先の後始末等もあり、同年4月5日から豊実保育所に勤務することとなった。
カ 原告に対する賃金の支払いは、1か月毎に事前に「支出行為負担票」を作成して「代替保母の雇用」のための賃金支払いについての決裁を受け、収入役や総務課長等の承認を得て、「支出票」により支払がなされていた。
キ 被告は、平成12年度は正規な保母を配置する予定でいたので、平成11年7月1日、保育士若干名の募集をし、同年11月24日、保育士の資格を持つD1(現D)を採用したが、同人は豊実保育所には配置されず、日出谷保育所に勤務していたEが豊実保育所に配置された。
(2) 以上の事実によれば、被告は、豊実保育所で保育士の資格を有する保育士が1名欠けたことにより残り1名の保育士を早急に補助するために臨時的に保育士の資格を有しない原告を次の資格を有する保育士が任用されるまでの間、雇用したものであると認めることができる。これからすると、原告の本件任用は、地方公務員法22条5項に基づくものと認められる。
(3) ところで、原告の任用は1年間に亘ったが、地方公務員法22条5項に基づく任用の再度の更新手続はとられておらず、また、平成11年当時、被告の職員には、臨時職員に関する雇用規定がないこともあって、臨時職員を雇用するに当たり、雇用期間が原則6か月で、更新は1回だけしかできないなどという法律上の制限がある旨の認識もなく、したがってそのことを具体的に説明することもできなかった。そのため、Bも原告に対し、雇用期間がどの程度であって、臨時職員に対する対応がどのようになっているかなどの具体的な説明をしておらず、また、説明できなかった。それ故、B自身も臨時職員は1年であるという認識を持ってはいたものの、ただ、原告の場合は会社を辞めてきてもらっている関係上1年で辞めさせるわけにはいかないという認識を持っていた程度にすぎなかった(証人B)。また、原告自身、臨時保母という認識はあったものの、雇用期間がどのようになっているのかなどについては質問等を一切しておらず、ただ漫然と臨時ではあれ60歳の定年までは勤務できるであろうと考えていた程度であった。
これからすると、被告は原告を任用する際に、地方公務員法22条5項の規定に基づく任用であると認識して任用したのではなく、ただ漫然と臨時職員として任用したのではないかとの疑問も出てくるが、前記(1)(2)で認定した原告の任用形態からして、また、原告は競争試験又は選考に基づいて任用されたものではなく、原告の主張する地方公務員法17条に基づく方法による任用とは形態が大きく異なっていることもあって、原告の本件任用が地方公務員法17条によるものであると認めることはできない。
(4) 原告は、平成12年3月24日、被告から、同月一杯で解雇する旨通告された。〔証拠略〕によれば、同月16日ころ、障害児を担当していた臨時の職員が辞めることになったことから、Cは、町長に臨時の職員が必要であるとの伺いを立てたところ、町長から原告に辞めてもらうように言って欲しいと頼まれたこと、Cは、Bに町長からの上記発言を報告したこと、Bは、Cと二人で町長のところへ行って、原告を辞めさせなければならない理由を尋ねたところ、町長から平成11年12月に施行された町長選挙において、原告が反対派を応援したからであると言われたこと、そこで、Bが、町長に対して、町長が発言したことを原告に話してもいいかを尋ねたところ、町長はそのことを話してもよいといい、Bが原告に対して、解雇通告をするとともに解雇の理由として町長選挙の際に反対派を応援したからである旨話したこと、その後、町長の知り合いが日出谷保育所に配置されたことを認めることができる。
これによれば、原告が未だ豊実保育所に勤務している間に、別な保育所で臨時職員が辞めさらに臨時職員が必要な事態となったのであるから、町長の上記発言がなければ、保育に慣れていた原告が再度日々雇用の形で臨時職員として任用される蓋然性は高かったのではないかと認められる。しかし、実態は、原告が町長選挙で現町長の反対派を応援したからという理由で原告の再任用はなかったのであり、したがってこのような理由からすれば原告の再臨時任用がされなかったことには町長に責任があるというほかない。
しかしながら、もともと臨時任用は、地方公務員法22条5項によれば、最高1年であり、これを超えることはないのであるから、仮に、前記のとおり町長の独断により、原告の再臨時任用がなくなったからといって、原告が継続して臨時職員の地位にあるとは認められない。
(5) 以上のとおり、いずれにしても、原告が被告の常時雇用の保育士の職員の地位にあることの確認を求める理由はない。
2 争点(1)(主位的請求イ)について
前記1で認定したとおり、原告は、前職を辞めて被告の職員に定年まで勤務できると考えて、前職を辞めて被告に就職したのであり、また、被告町長の前記発言がなければ再度地方公務員法22条5項に基づいて被告の臨時職員として再任用される可能性も高かったものと認められ、また、証拠(原告本人)によれば、原告が被告を辞めた後、仕事も容易にみつからなかったことが認められる。これらからも明らかなように、町長の前記不当な発言、それに基づいて対応した被告担当者の原告への対応の仕方、その結果、再度任用されることなく被告の職員を辞さなければならなくなった原告の蒙った精神的苦痛は多大なものであったと推認できる。そして、原告の上記精神的苦痛を慰謝するには200万円をもって相当であると解する。なお、被告町長の前記1(4)での発言は、憲法で保障された投票の秘密、選挙人の無答責を侵害するおそれがあり、民主主義の根幹を否定する発言といわなければならない。
3 争点(2)(予備的請求ア、厚生年金未加入による損害)について
(1) 原告が厚生年金保険の被保険者となる資格を有していたこと、原告の事業主である被告が厚生年金保険法27条に規定する届出をしなかったこと、そのために原告が被告に勤務していた12か月の期間が被保険者期間に加算されなかったことは当事者間で争いがない。
(2) ところで、厚生年金保険法(平成11年7月16日法律87号による改正前の厚生年金法)によれば、事業主は、被用者についての厚生年金保険の被保険者資格の取得について、都道府県知事に対してその旨の届出義務がある(27条)。したがって、事業主は、届出を怠って被用者が厚生年金に加入する権利を侵害することがないように注意すべき義務がある。しかるに、被告は、原告が厚生年金保険の被保険者となる資格を有していたことを知りながら、あるいは、知り得たにもかかわらずその届出を怠り、被告に対し次に述べるような厚生年金保険の受給額を減少させた。したがって、被告には、届出を怠った過失があるといわなければならない。
(3)そこで、原告の蒙った損害について検討する。まず、上記12か月の期間が被保険者期間に加算されなかったことにより、加算された場合と比較して、老齢基礎年金につき14万7823円、定額部分につき3万8936円を限度として減少することになることは当事者間で争いがない。
(4) 次に、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分について検討するに、〔証拠略〕によれば、原告の平成15年4月以前の平均標準報酬月額は15万7145円であると認めることができる。これを基準に算定すると、157,145×0.99(期間の再評価率)×7.5/1000(乗率)×12月×1.031(再評価率)×0.991(スライド率)=14,305円(〔証拠略〕)となり、同金額が1年間の支給額の減額になるが、原告は、スライド率等を考慮しないで1万3435円を1年間の支給額減額としているので、原告の主張する減額金額を基準とする。
そうすると、60歳から65歳までの間の支給額が1年で1万3435円減額したことになり、原告は、昭和23年4月21日生まれで、平成15年9月9日現在55歳であるから、60歳まで5年(ライプニッツ係数4.329)、65歳までは10年(ライプニッツ係数7.722)あることになる。そして、中間利息を控除して、60歳から65歳までの間の支給額の減額は、次のとおり4万5584円となる。
13,435×(7.722-4.329)=45,584円
(5) 老齢厚生年金について検討するに、65歳から平均余命までの間受給できた支給額が1年で1万3435円減少したことになる。55歳の平均余命は29年(ライプニッツ係数15.141)であり、65歳までは10年(ライプニッツ係数7.722)である。したがって、65歳から平均余命までの間の受給額の累計を中間利息控除により算定すると次のとおり9万9674円となり、この金額が受給額の減少となる。
13,435×(15.141-7.722)=99,674円
(6) しかし、他方、厚生年金保険法(平成11年7月16日法律87号による改正前の厚生年金法)82条1項によれば、保険料の支払は事業主と被保険者とが半額を負担することとされており、したがって、原告は16万3584円(同法81条、82条1項により、平均標準報酬月額15万7145円の1000分の173.5に2分の1を乗じ、これに12か月を乗じる)の保険料の負担をしなければならない。
(7) また、前記のとおり、事業主に被用者の被保険者資格の届出義務(同法27条)を課しているが、他方、都道府県知事が被保険者の資格の取得及び喪失について確認をする前提としての都道府県知事に情報を集中する方法として、事業主の届出の他に、二次的に被保険者自身にも都道府県知事に対する確認義務請求の手続が設けられている(厚生年金保険法(平成11年7月16日法律87号による改正前の厚生年金法31条)。
原告は、被告に任用される前の民間企業であるa社に勤務していたときには、厚生年金や雇用保険に加入していたが、被告に任用される際、被告から保険はないと言われたと述べている(原告本人)。原告は、上記のとおり厚生年金や雇用保険についての認識があったのであるから、被告から保険はないと言われたときに、何故保険に加入できないのか等を被告に問い質すなり、あるいは厚生年金や雇用保険を扱う関係機関等に赴いて確認をするなりできたはずであり、原告において上記のことをしておけば、被告において被保険者資格の取得のための届出を怠ることもなかったであろうし、また、原告において新潟県知事に確認義務請求の手続をとることもできたであろうと推認される。その意味で、厚生年金保険に加入できなかったことについて、原告にも過失があったと認められる。しかし、本来は事業主である原告に届出義務があるのであるから、原告の過失割合は2割をもって相当とする。
(8) 以上によれば、被告は、原告に対し、前記(3)ないし(5)の合計33万2017円から前記(6)の16万3584円を控除した16万8433円に過失相殺2割をした13万4746円を厚生年金保険の受給額の減少として賠償すべき義務がある。
4 争点(2)(予備的請求ア、雇用保険未加入による損害)について
(1) 原告が雇用保険法に規定する被保険者資格を有していたこと、原告の事業主である被告が同法7条に規定する原告に関する被保険者の届出をしなかったこと、原告が失業給付の支給要件を満たしていたとするならば、最も多くて60万3680円の失業給付を受けることができたことについては当事者間で争いがない。
(2) 事業主は、その雇用する労働者が、当該事業主の行う適用事業に係る被保険者となったときは、雇用保険被保険者資格取得届を管轄公共職業安定所長に提出する義務があり(雇用保険法7条)、厚生労働大臣は、上記届出により労働者が被保険者となったことの確認を行い(同法9条)、これにより労働者は失業給付を受ける権利等の行使を具体的に行うことができることとなる。そして、被保険者が失業した場合において、基本手当の支給を受けるためには、雇用保険法13条の受給資格要件を満たすとともに、自己の居住地を管轄する公共職業安定所に出頭して求職の申込みをし、離職後初めて出頭した日以後、4週間に1回ずつ、直前の28日に失業の認定を受ける必要がある(同法15条)。
事業主は、上記のとおり、その雇用する労働者のために、雇用保険被保険者資格取得届を管轄公共職業安定所長に提出する義務があるから、その提出義務を怠って被用者が失業した場合に失業給付を受ける権利を侵害しないようにする注意すべき義務があるというべきである。
しかしながら、前記のように、被告は、原告のために雇用保険被保険者資格取得届を管轄公共職業安定所長に提出することを怠り、そのために原告が雇用保険法に基づく失業給付を受給できなかったのであるから、被告が雇用保険被保険者資格取得届出義務を怠ったことには過失があるというべきである。
しかしながら、他方、雇用保険法は、被保険者又は被保険者であった者は、いっでも雇用保険法9条に規定する確認を請求することができると規定しており(同法8条)、事業主が届出義務を怠った場合に、失業給付を受ける権利を失うことになる労働者の正当な権利の保護を図るために、直接労働者本人にも確認請求を行うことができるとしている。したがって、その意味では、労働者本人も被保険者資格についての確認を怠ることがないよう注意すべき義務があることを示しているものと解される。
ところで、原告は、前記3(7)で認定したとおり、厚生年金や雇用保険についての認識があったのであるから、被告に問い質したり、あるいは厚生年金や雇用保険を扱う関係機関等に確認をするなどしておけば、失業給付を受けるための方策等を聞き出すことができたはずであり、また、原告は、被告を退職した後は公共職業安定所に赴いて職を探しているのであるから、その際にも失業給付の受給について尋ねていれば失業給付を受けられる余地があるとの説明を受け、被保険者資格の確認請求を求めることができたと思われるところ、原告は、そのようなことをしなかった。したがって、原告にも被保険者資格の確認請求をしなかったことに過失があったといわなければならない。しかし、本来は、前記のとおり、雇用者である事業主が雇用保険被保険者資格取得届を管轄公共職業安定所長に提出する義務があるのであるから、原告に過失があったとしてもその過失割合は2割程度が相当である。
なお、被告は、原告は、被告を退職した後、公共職業安定所に出頭して休職の申し込みをしたり、失業の認定を受けた事実はないから、原告が雇用保険法に規定する失業したものに該当するとは認められないと主張するが、先にも認定したとおり、原告は被告から保険はないと言われたのであるから、失業給付を受けるための手続をする余地がなかったと言わざるを得ず、また、原告は、被告を退職した後、公共職業安定所に赴いて職を探していることが認められるので(原告本人)、被告が原告の被保険者資格取得届義務を履行していたならば、原告は、被告を退職後、公共職業安定所に出頭して求職の申し込みをし、失業の認定を受け、失業給付を受けたであろうと推認される。したがって、被告の主張を採用することはできない。
(3) 原告が60万3680円の失業給付を受けることができたことについては前記のとおり当事者間で争いがなく、また、原告が失業給付を受領するためには1年間合計4355円の保険料の支払が必要であるから、この金額を控除する必要があり、この金額を控除した後の59万9325円から原告の過失相殺2割を控除した47万9460円が原告の取得できた失業保険であると認められる。原告は、被告が前記のとおり雇用保険被保険者資格取得届を怠った過失により、上記金額の給付を受けられなかったので、被告は、原告に対し、同金額を賠償する義務がある。
5 争点(2)(予備的請求イ、就労の機会喪失による損害額)について
原告は、採用時の被告の説明義務違反等により、前職を辞めて、被告退職後の就労機会を喪失したことにより多大な損害を蒙ったと主張して300万円の損害賠償を求めているが、前記2(争点(1)(主位的請求イ)について)の認定において、原告の就労の機会を喪失したことをも含めて慰謝料を認定しており、それとは別に就労の機会喪失による損害額を認めることはできない。
したがって原告の主張は採用しない。
6 総括
以上によれば、原告の主位的請求(1)は理由がなく、主位的請求(2)は200万円の限度で理由があり、予備的請求は、61万4206円の限度で理由があり、その余の請求はいずれも理由がない。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 太田武聖)