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新潟地方裁判所 平成15年(わ)166号 判決 2003年10月14日

主文

被告人を懲役4年に処する。

未決勾留日数中90日をその刑に算入する。

押収してあるナイフ1丁(平成15年押第33号の1)及び出刃包丁1丁(同号の2)をいずれも没収する。

理由

(犯行に至る経緯)

被告人は,昭和45年3月に新潟県a市立中学校を卒業後,b市内にある高校に入学したが2年で中退して上京し,割烹料理店の板前見習,陸上自衛官,運送会社の運転手として稼働し,その後は新潟県a市内の実家に戻り,漁船1艘を持ち漁師をしていたものであるが,平成13年6月ころ,結婚相談所の紹介で中国籍のA(日本名「B」。以下,「B」という。)と結婚し,同年11月中旬ころから,来日したBとともに肩書住居地の自宅で生活するようになった。被告人は,Bと結婚してから,生活習慣が異なり,同県の島嶼部に属するcという見知らぬ不便な土地に一人でやってきたBのことを気遣い,炊事や洗濯等の家事は被告人の母親が行うなどし,結婚当初は,Bと被告人及び被告人の両親との仲が順調であるかのように思われた。被告人は,平成14年4月初旬ころ,Bが自己の子を妊娠したことを知ると大変喜ぶとともに,Bを病院に連れて行った当日,その後出漁し帰宅したところ,同女がいないので同女を捜すうち,同女が見知らぬ男性と家出したことを知り,新潟市内にいる従兄弟に連絡し,Bがその男性とともに船で新潟港に到着したところを連れ戻してもらうということがあったが,その際は,被告人が妊娠したBのことを慮り,同女に家出の理由等を聞くなど同女を責め立てたりすることなく終わったという一件を手始めにして,その後も同女は,同年4月下旬ころ,被告人の母親が誤ってエンジン付きの草刈機でBの大腿部に重傷を負わせた件について,近所の者に被告人の母親がわざとBを負傷させたなどとふれ回ったことがあった。同年5月初旬ころには,その年の2月下旬に引き続き,Bの中国にいる母親が再び危篤という連絡があり,そのため,被告人は,Bとともに再度空路中国に赴き,同女の家族に見舞金等を渡すなどしたが,その際,Bに前夫であった中国人男性との間にもうけた長男がいることを打ち明けられ,強い精神的な衝撃を受けた上,日本に帰国する際,Bが空港でパスポート等を忘れたなどと言い出し,被告人と一緒に帰国しないということが重なったため,Bに対する怒りを爆発させ,同女との離婚を決意し,同女に対し,日本に帰って来なくていい,子供も堕ろしていい旨言い,一人で帰国した。しかし,被告人は,その後再三Bから日本に戻りたい旨の連絡を受け,さらに同女が上記のように妊娠していたところから,同女のことを許す気持ちになり,同女の帰国する交通費を送金してやるなどして,同年7月7日ころから帰国した同女との生活を続けていた。その後も,被告人は,被告人の両親が営む民宿が夏場の書き入れ時で忙しいのに,その手伝いをしないBに対し文句を言うと,同女はそれに対しても反抗的な態度をとるなどしていたところ,そのうち,同女のビザの更新時期の同年10月ころに至り,両親から,突然,そのビザは更新せずにBと別れたほうがいいなどと言われたが,その理由が良く分からないままその時は同女を愛していたため,両親には子供が生まれればBも変わるかもしれないなどと言って説き伏せ,同女のビザの更新手続をする一方,同女が上記前夫との間にもうけた子を日本に引き取って育てるべく,地元の小学校に相談に行ったり,在留資格の取得手続をとったりした。

さらに,被告人は,同年12月中旬ころに至り,偶然風呂上がりの父親の身体に痣があるのを見たことがきっかけで,両親から,それまでにBから暴力を振るわれたことなどを聞き及び,ようやく両親が被告人にBとの離婚を勧めた理由が分かるとともに,Bに対し,自己の両親に暴力を振るったことなどを問い質したところ,同女が,被告人と結婚したがその両親は関係ないなどと言ったため,その言動に立腹し,同女の足を数回叩くなどした。そのようなもめ事があったが,平成15年1月7日,Bが,被告人の子である長男Cを出産したので,被告人は,その長男の誕生を大変喜ぶとともに,Bに対し,3月になったらそのお披露目をするので,それまではCを屋外に連れ出すなどして風邪をひかせることのないように言い聞かせておいたのにもかかわらず,同年1月23日,漁から帰ると,同日昼ころ,Bがみぞれが降る寒空の屋外にCを連れ出した上,そのことを注意した被告人の母親を壁に突き飛ばすなどしたという新たなもめ事が発生したことを知った。そのため,被告人は,Bのことは許せないと思い,同女に対し,Cをおいて中国に帰るよう怒鳴りつけ,その頭部を平手で数回叩くということがあった後,同月27日早朝に至り,被告人が出漁中,母親からの電話で,BがCを連れて自宅を出て行ったことを知らされた。そのため,被告人は,漁を途中で打ち切って帰宅し,Bが病院へでも行ったものと思い,病院に行ってみたりしたが,一向に同女の所在がつかめないため,地元の警察署に捜索願を出したり,a市役所を訪ねたりして同女らの行方を捜したが,その所在が判明しないため,同日夕方ころ,カーフェリーに車を積んで新潟市に渡り,同女の中国人の友人を訪ねるなどし,数日にわたり新潟市内の警察署や児童福祉施設等を訪ね回ったが手がかりが得られないままa市内に戻ったところ,ようやくBらが新潟県の福祉課に保護されていることなどを知った。被告人は,自己があれほど大事にしていたBが家出をした理由が分からずにいたところ,同年2月25日ころ,Bから,同女とCは元気でいる,後で弁護士から連絡が行く旨の群馬県d郵便局の消印のある手紙が届いたが,Bから家出の理由を直接聞きたい,Cに会いたいとの思いに駆られ,同月27日ころ,再びカーフェリーに車を積んで新潟市に渡り,上記郵便局を訪ねたが手がかりをつかむことができず,そのまま同市内に引き返し,新潟県福祉課や警察本部等を訪ねるなどしてBの所在を捜したものの,やはり手がかりをつかむことができず,やむなく同年3月7日ころ,a市内に戻った。すると,Bから,弁護士と離婚について話し合っている,近いうちに弁護士から連絡が行く旨のe郵便局の消印のある手紙が届いており,被告人は,是が非でもBに会い,その真意を聞き出し,CだけでもBから取り戻そうと決意する一方,このままでは仕事をする気になれず,同女と結婚したため多額の金銭を使う羽目になり,残ったのは多額の借金だけと思うと,このまま生きていても仕方がないなどと考え絶望的になり,同女らに会えなかった場合には自殺でもしようなどと考えて,身の回りの物や同女らの写真等を車に積み,同月13日ころ,またもやカーフェリーに車を積んで新潟市に渡って同女らを捜し始めた。被告人は,そのころ,被告人のことを案じた姉から自己の携帯電話にかかってきた電話で,Bが新潟家庭裁判所に離婚調停を申し立てたこと,その期日が同月24日に指定されたことなどを知らされ,それならば調停の際にBらに会えるものと思い,同日,姉や母親とともに同裁判所に出頭したが,調停委員からBが被告人に会うのを嫌がっているため会わせることができないなどと言われ,同女らに会えないのであれば調停を続けても無意味であると思い,今後は調停に出頭しない旨調停委員に告げて調停室を飛び出し,その際,短気を起こさずに弁護士を依頼することを姉から説得されたにもかかわらず,益々投げやりな気持ちになって,福島県,宮城県等各地を車で転々する生活をするようになった。そうこうするうち,被告人は,同年4月2日に新潟市内の弁護士にBらのことで相談に乗ってもらうことになった旨の電話連絡を姉から受け,同日,姉や両親とともにその弁護士事務所を訪ねて相談をすると,その弁護士からは被告人がCの親権者となる可能性はほとんどない旨言われ,その機会にBの上記事件等を担当するのはD弁護士であることを知った。その後,被告人は,益々絶望的になり,この上はD弁護士に無理矢理にでも面会し,同弁護士を人質にとりBらを自己のもとに連れてきてもらい,Bと面談して家出の理由等を聞き出したい,Cの無事な顔を見てみたい,同弁護士が自己の要求を断るならその事務所に火を放ち,同弁護士を道連れにして自殺をしようと考え,Cの誕生日に合わせて同年4月7日に実行することを決意し,本件犯行を敢行するに至った。

(罪となるべき事実)

被告人は,

第1上記の経緯でBの事件を担当するD弁護士ならば,同女の居場所を知っているものと思い,同弁護士を脅迫してでもBらを連れてくることを要求して同女と面談し,家出をした理由等を聞き出したい,それがかなわないなら,同弁護士事務所に火を放ち,同弁護士ともども焼身自殺を図ろうと決意し,平成15年4月7日午後零時32分ころ,放火に使用する目的で,新潟市f所在の株式会社Egサービスステーションにおいて,灯油約18リットルを購入し,同日午後1時ころ,上記灯油を入れたポリタンクとあらかじめ準備しておいた出刃包丁,ナイフ,ガムテープ,ロープ,ライター等を入れたリュックサック等を携帯して,同市h所在の有限会社F所有に係る鉄骨造陸屋根4階建Gビル2階のD法律事務所に侵入した上,応対した同事務所の女性事務員らに対し,D弁護士との面会を申し入れたものの,同弁護士は出張中であるとして断られた挙げ句,同日午後1時9分ころ,上記事務員らが110番通報をしたことを察知するや,同事務所内の女性全員を人質に取って自己の要求を受け入れてもらうほかないと考え,同事務所において,別紙被害状況一覧表記載のとおり,H(当時26歳)ほか3名に対し,所携の刃体の長さが約18・4センチメートルの出刃包丁(平成15年押第33号の2)を示して,「子供と女房に会わせろ。お前らは人質だ。」などと申し向けて脅迫した上,同事務所の出入口ドアの鍵を掛けて同女らを監視するなどし,さらに,上記Hほか3名が現在する同事務所(床面積約58・8平方メートル)内の床に灯油を撒き散らすなどして放火の準備をし,もって放火の予備をし,そのころから,Iほか2名が被告人の隙を見て同事務所の窓から飛び降りて脱出した同表脱出時刻欄記載の時刻までの間,同女らを同事務所から脱出することができないようにし,最後に脱出しようとした上記Hの腕をつかんで取り押さえ,所携の上記ロープで同女の右手首を縛り,同女の頸部付近に上記出刃包丁を突き付けるなどし,さらに,同女の両腕及びその身体をいすにガムテープで縛り付けるなどし,同女が同事務所の窓から飛び降りて脱出した同表脱出時刻欄記載の時刻まで,同女を同事務所から脱出することができないようにし,もって同女らを不法に監禁し,上記各脱出の際,同女らがその身体を地面等に打ち付けたことにより,同女らに同表記載の各傷害をそれぞれ負わせた,

第2業務その他正当な理由がないのに,同日午後1時9分ころ,上記事務所において,上記出刃包丁1丁及び刃体の長さが約13・55センチメートルのナイフ1丁(同号の1)を携帯したものである。

(証拠の標目)

(法令の適用)

被告人の判示第1の所為のうち,放火予備の点は刑法113条,108条に,建造物侵入の点は同法130条前段に,各監禁致傷の点は被害者ごとにそれぞれ同法221条(220条)に,判示第2の所為は包括して銃砲刀剣類所持等取締法32条4号,22条にそれぞれ該当するが,判示第1の各監禁致傷罪については,刑法10条により同法220条所定の刑と同法204条所定の刑とを比較し,いずれも重い傷害罪について定めた懲役刑(ただし,短期は監禁罪の刑のそれによる。)により処断し,なお判示第1の各監禁致傷は,1個の行為が4個の罪名に触れる場合であり,建造物侵入と放火予備及び各監禁致傷との間にはそれぞれ手段結果の関係があるので,同法54条1項前段,後段,10条により結局以上を1罪として刑及び犯情の最も重い被害者浅野久美子に対する監禁致傷罪の刑で処断し,判示第2の罪について所定刑中懲役刑を選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により重い判示第1の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役4年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中90日をその刑に算入し,押収してあるナイフ1丁(平成15年押第33号の1)は,判示第2の銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の犯罪行為を組成した物,また,押収してある出刃包丁1丁(同号の2)は,判示第1の監禁致傷の用に供した物で,いずれも被告人以外の者に属しないから,それぞれ刑法19条1項1号,2号,2項本文を適用していずれもこれを没収することとし,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。

(量刑の理由)

本件は,被告人が,(1)長男を連れて家出をした妻の訴訟代理人である弁護士を脅迫して妻らの所在を聞き出し直接面談させるよう要求し,これがかなわないときは同弁護士ともども焼身自殺をしようと決意して同弁護士の事務所に侵入し,たまたまそこに居合わせたその妻の女性弁護士及び女性事務員の合計4名に対し,出刃包丁を示し,あるいは事務所内に灯油を撒くなどして脅迫し,同事務所内に立てこもり,同女らが自力で脱出するまでの間,同女らを不法に監禁し,同女らが脱出した際,各人にそれぞれ傷害を負わせたという建造物侵入,放火予備,監禁致傷(判示第1の犯行)の,(2)その際上記出刃包丁及びナイフを携帯していたという銃砲刀剣類所持等取締法違反(判示第2の犯行)の事案である。

被告人は,妻が生後間がない長男を連れて無断で家出をしたため,必死に妻子を捜し回ったが,その所在すらつかめずにいたところ,その妻が被告人との離婚手続を依頼した弁護士の名前を知ったことがきっかけで,妻子と直接面談したい一心から,同弁護士を脅迫して同女らとの面談を要求し,もしその要求が容れられなければ同弁護士ともども焼身自殺を図ろうなどと考えて灯油等を準備して同弁護士事務所に侵入し,偶々同弁護士が不在のため,居合わせたにすぎない被害者4名を人質に取って自己の要求を通すために本件各犯行を敢行したものであり,短気を起こさずに法律に則って対処するように被告人の姉から再三説得されたにもかかわらず,これを無視し,手段を選ばず実力であくまで自己の要求のみを貫き通そうとしたその動機は余りに短絡的かつ自己中心的なものであって酌量の余地はない。

被告人は,長男の誕生日に合わせてその犯行を敢行しようと決意するや,あらかじめ上記弁護士事務所を下見し,消防団員としての経験を生かし,放火にはよく燃える灯油を用いることとし,犯行当日,灯油約18リットルを購入して持参し,白昼堂々,灯油入りポリタンクとライター及び身柄拘束用に準備したガムテープやロープ,出刃包丁やナイフなどをリュックサック等に入れて携帯して同弁護士事務所に侵入し,同弁護士との面会を申し入れたところ,被害者らから出張中で不在である旨告げられ面会を断られた挙げ句,110番通報をされたため,女性の被害者らに対し,所携の上記出刃包丁を示して脅迫し,同事務所の出入口ドアの鍵を掛けて同女らが同室から容易に脱出できないようにした上,同事務所内の床に持参した多量の灯油を撒き散らし,被害者らのうち3名が被告人の隙を見て同事務所の窓から飛び降りて脱出するまでの間,同室内に監禁し,その後も逃げ遅れた1名の被害者の腕をつかんで取り押さえ,所携のロープで同女の右手首を縛り,同女の頸部付近に上記出刃包丁を突き付けるなどし,さらに同女の両腕及びその身体をいすにガムテープで縛り付けるなどし,同女が同事務所の窓から飛び降りて脱出するまでの間,同女を不法に監禁したものであり,その犯行には,事前の計画性が認められる上,その犯行態様は大胆で危険かつ執拗なものであり,極めて悪質である。また,被告人は,最後の被害者が同事務所の窓から脱出した後も,同事務所内に立てこもり,残りの灯油を撒き散らすなどし,床に撒いた灯油にライターで直接点火しようとして警察官を威嚇し,あくまでも自己の要求を通そうとし,警察官が突入してからも,なおも執拗にライターで点火しようとしたが,幸い着火せず大事に至らず終わったものであり,同事務所はコンビニエンスストア等のテナントが入居する4階建ての商業ビルの2階に位置して他に居室がある上,付近はビルが隣接する新潟市内の中心部に位置していて,同事務所に現実に放火された際には多数の死傷者が出る危険性が極めて高かったものであり,犯情が悪い。

被害者らには何らの落ち度もなく,執務中,突然被告人から出刃包丁を示された上,灯油を事務所内に撒かれて脅迫されて,それぞれ約6分から約30分間にわたり監禁されており,その間,ガソリン等を使用した放火・殺人事件で多数の死傷者が出たいわゆる武富士事件を想起するなど自らも正に死に直面する恐怖感を味わい,いずれも地上約3・8メートルに位置する事務所の窓から飛び降りて脱出することを余儀なくされ,その際,全治まで約3日間から加療約2か月間を要する傷害をそれぞれ負わされたもので,その精神的及び肉体的苦痛も大きく,さらに,同事務所で勤務する被害者らが負傷し,同事務所内の床に多量の灯油を撒かれるなどして,その治療や修復のため多額の出費を余儀なくされ,同事務所の弁護士の業務も多大な影響を被るなど本件犯行で発生した結果は極めて重大であり,被害者ら及び同弁護士の被告人に対する処罰感情が厳しいのは誠に当然である。

さらに,本件は,離婚を望む被告人の妻の代理人となった弁護士から,相手方当事者である妻が法的救済を求めて家事調停が開始されるなど司法的解決の手続が開始されているにもかかわらず,被告人が暴力で自己の要求を通そうとした犯行であり,司法による解決を真っ向から否定するものであって,その罪質等からは一般予防の必要性が極めて高いことなどを考慮すると,被告人の刑事責任は重いと言わざるを得ない。

他方,本件は,45歳を過ぎて初めて中国人女性と結婚した被告人が,国籍の違いによる生活習慣の違いなどから生じる様々な障害を自分なりに克服し,その妻と生活することを希望していたのに,妻から全く理由も告げられないまま同女との間に誕生した長男を連れて家出され,その後一方的にいきなり離婚を要求されたことなどに納得できずに絶望的な気持ちとなり,精神的に相当程度追い詰められた挙げ句敢行された側面があること,幸い放火は予備にとどまり,さらに重大な被害の発生がなかったこと,被告人は,事実を認めて反省し,今後は,本件の動機となった妻との離婚問題に関し,弁護士を通じて司法による解決を図る旨約束していること,被告人は,その両親らの協力を得て,本件後,被害者らに対して損害賠償金として金100万円を支払い,示談が成立していること,被告人には前科がなく,今後の更生を誓い,被告人の両親や姉が今後の指導監督を約束していること,本件が報道されるなどして一定の社会的制裁を受けていることなど被告人のために斟酌すべき諸事情も認められるので,これらの諸情状を併せ考慮し,被告人を主文に掲げた刑に処することにした。

よって,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 榊五十雄 裁判官 三村三緒 裁判官 入江克明)

(別紙被害状況一覧表 略)

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