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新潟地方裁判所 平成15年(行ウ)10号 判決 2004年11月25日

原告 更生会社株式会社A更生管財人

同 乙

同 丙

同 丁

被告 長岡税務署長

浅間博

被告指定代理人 古川忠雄

同 山崎秀利

同 奥村耕一

同 曲渕公一

同 高橋紀雄

同 関弘規

同 小林一男

同 加藤道子

主文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告らの連帯負担とする。

事実及び理由

第1  請求

1  被告が、平成14年1月28日付けでした更生会社株式会社Aの平成13年1月29日から同年2月16日までの事業年度の法人税にかかる更正処分(ただし、平成14年1月28日付け再更正処分による変更後のもの)のうち所得金額8億3296万0975円及び還付金の額に相当する税額502万7526円をそれぞれ超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分(ただし、平成14年1月28日付け過少申告加算税の変更決定処分による変更後のもの)をいずれも取り消す。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

第2  事案の概要

本件は、更生会社株式会社A(以下「A」という。)更生管財人である原告らが、平成13年4月16日、同年1月29日から同年2月16日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税にかかる碓定申告(青色申告)をしたのに対し、被告が、法人税法(平成13年法律第6号による改正前のもの。以下同じ。)67条(同族会社の留保金額に対する課税)を根拠として、①同年12月28日付けで更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を、②平成14年1月28日付けで再更正処分及び過少申告加算税の変更決定処分をしたが、原告らは、Aが法人税法67条の適用がある同族会社ではなく、同条は適用されないと主張して、上記更正処分等の取消しを求めるものである。

1  争いのない事実

(1)  Aは、平成11年1月28日、新潟地方裁判所長岡支部において、会社更生法の規定による更生手続開始決定がなされ(新潟地方裁判所長岡支部平成10年(ミ)第1号会社更生事件)、原告らがAの更生管財人に選任された。

同支部は、平成13年2月16日、Aの更生計画(以下「本件更生計画」という。)を認可する旨の決定をした。本件更生計画においては、株主の権利の変更につき、①発行済株式80万株(額面1株500円)すべてを無償で償却する方法により資本金4億円を減少させる、②償却する株式を保有する者は、平成13年7月31日までに株券を管財人に提出する、③資本減少の効力発生時期は上記株券提出期間が満了した時とすると定め、新株の発行につき、①同日を払込期日として新株6万株(額面金額及び発行価額が500円。)を発行すること、②新株式の割当は裁判所の許可を得て管財人が行う、③更生手続期間中は株主に配当しないこととされていた。

また、本件更生計画が認可決定されたことにより、Aは、本件事業年度において、Aの債権者から債務免除を受けることとなり、損益計算書の特別利益に328億7321万7109円の債務免除益(以下「本件債務免除益」という。)を計上した。

(2)  本件事業年度終了時におけるAの発行済株式の総数は、80万株であり、法人税法2条及び同法施行令4条に規定する同族会社の判定の基礎となる株主の各持株数は、戊21万2270株、B(戊の妻の兄)6万0617株、C(戊の弟)3万8068株、D(同)3万5045株、E(戊の長男)9086株、F(戊の妻)5114株及びA(自己保有株式)5万6029株であった。

(3)  原告らは、被告に対し、平成13年4月16日、本件事業年度の法人税について、青色の確定申告書(以下「本件確定申告書」という。)に別表1の「確定申告」欄に記載のとおり申告した。なお、本件確定申告書の「所得の金額の計算に関する明細書」(別表四)において、申告調整後の所得金額8億8101万9875円の処分の内訳について、留保が327億1597万8628円、社外流出がマイナス318億3495万8753円と記載されていた。

次いで、原告らは、被告に対し、同年6月11日、本件事業年度の法人税について、繰越欠損金の当期控除額に異動があったなどとして、別表1の「修正申告」欄のとおり記載した修正申告書(以下「本件修正申告書」という。)を提出した。なお、本件修正申告書の「所得の金額の計算に関する明細書」(別表四)において、本件確定申告書と同様に、申告調整後の所得金額8億3296万0975円の処分の内訳について、留保が327億1597万8628円、社外流出がマイナス318億8301万7653円と記載されていた。

(4)  被告は、同年12月28日付けで、Aの修正申告において同族会社の留保金額に対する税額の計算が行われていないことを理由に、別表1の「更正処分等」欄のとおり、法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。その後、被告は、平成14年1月28日付けで、平成8年12月1日から平成9年11月30日までの事業年度(以下「平成9年11月期」という。)及び同年12月1日から平成10年11月30日までの事業年度(以下「平成10年11月期」という。)にかかる法人税の各更正処分に伴って、本件事業年度で控除すべき繰越欠損金額が増加したことなどを理由に、別表1の「再更正処分等」欄のとおり、減額する再更正処分及び過少申告加算税の変更決定処分をした(以下、平成14年1月28日付け再更正処分による変更後の更正処分を「本件更正処分」といい、同日付け過少申告加算税の変更決定処分による変更後の過少申告加算税の賦課決定処分を「本件賦課決定処分」という。)。

(5)  本件事業年度における法人税及び過少申告加算税課税の根拠は別紙「法人税等課税の根拠」記載のとおりである。

(6)  原告らは、同年2月22日、国税審判所に対し、本件更正処分及び本件賦課決定処分の取消しを求めて審査請求をしたが、平成15年9月10日棄却された。

2  争点及びこれに関する当事者の主張

本件の争点は、Aが法人税法67条が適用される同族会社に当たるか否かであり、争点に関する当事者の主張の概要は次のとおりである。

(1)  原告ら

ア 法人税法67条の制度趣旨は、①同族会社における配当課税の回避を意図した不当留保利益への課税、②同族会社と個人事業主との税負担の公平を図ることにあるところ、その立法目的からすれば、少なくともその内部留保を同族株主の利益と同視することのできる、会社に対する同族株主の支配力が存することが、本件留保金課税に最低限必要な要件というべきである。そうした同族株主の支配を認めることができず、同族株主がその影響力を行使してその利益に浴しうる余地が全くない場合にまでかかる課税をすることは、明らかに立法目的を超えるものであり、むしろ課税の不公平(非同族会社との関係)を招来し、租税正義の大原則に反することとなる。

よって、形式的には同族会社といえるとしても、その内部留保金をいかなる意味においても同族株主の所得と同視することかできない同族会社の場合には、法人税法67条の「同族会社」には当たらないと解釈すべきである。

イ 本件更生計画の定めによれば、計画認可時点におけるAの状況として、株主による不当留保所得の発生する余地はなく、実質的にも、Aが同族会社として個人事業主と同視できる実態は失われていた。

Aが、本件更生計画において定めた平成13年2月16日から同年7月31日までの旧株主構成を維持しているとみられる期間は、商法における形式的無資本状態を回避するための、無価値となった株券の回収期間であり、会社更生手続における旧株主の支配の実態は全くない。本件更生計画のもとでは、同年2月16日の会社決算について、旧株主が支配を及ぼす余地は全くなく、同年7月31日までの間においても、株主権行使の方法は一切あり得ないのであるから、裁判所による本件更生計画認可時である同年2月16日に、同族株主である旧株主らは、実質的にも形式的にも会社株主としての資格を確定的に喪失したものといわざるを得ない。

そして、本件更生計画においては、その認可時に旧株主のA支配の可能性は完全に失われ、計画遂行中のAの経営権は管財人らにあり、同年7月31日には形だけの株主たる地位も消失したのであるから、計画遂行の過程で、免除益たる本件留保金が旧同族株主の利益に還元される可能性は皆無である。また、更生計画認可の取消、更生手続の廃止の場合にも、旧株主がAの利益に与る可能性は全くないのである。

ウ 同族会社の「株主等」の判定においては、実際の権利者を「株主等」と扱うことが課税の公平と実質的な課税処理をはかるため要請されており、本件更生計画認可時において、旧株主らは実質上の権利者とはいえないのであり、Aは同族の株主により支配されているとはいえないから、法人税法67条の「同族会社」には当たらない。

(2)  被告

ア Aの本件事業年度終了時における株主の状況は前記1(2)のとおりであり、戊とその親族5名及びAが有する株式の総数41万6229株は、Aの発行済株式の総数80万株の100分の50を超える。したがって、Aは、本件事業年度終了の時において、法人税法2条10号に規定する同族会社(広義の同族会社)に該当する。

そして、Aは、上記広義の同族会社該当性を判定する基礎となった株主のうちに同族会社でない法人はないから、同法67条1項が適用される同族会社(狭義の同族会社)にも該当する。

Aが本件確定申告書に添付した損益計算書の特別利益には、本件債務免除益328億7321万7109円が計上され、また、本件債務免除益が大半を占めるところの当期利益328億8725万6428円が貸借対照表の剰余金として計上されている。そして、Aが、本件確定申告書及び本件修正申告書のいずれにおいても、申告調整後の所得金額のうち327億1597万8628円を留保として処分した旨記載していることからすれば、当該金額が、法人税法67条2項に規定する留保金額に該当することは明らかである。

イ 同族会社の留保所得に対する法人税は、個人株主の受ける配当等について累進税率による所得税の課税がなしえないこと(所得留保によって生ずる相対的軽課)の代替課税(おおまかな所得税の前取り。)であり、その目的は、通常の法人税のほかに利益の内部留保に対して特別の法人税を課すことによって、個人企業と同族会社との間の負担の公平を図ることにあるのである。したがって、その課税標準は、当該事業年度において客観的に留保された所得を意味するのであり、原告らがいうような同族株主に「配当すべき所得」「配当と同視し得るもの」とか「同族株主が影響力を行使することにより不当に留保されたもの」とか解すべきではなく、課税にあたっては利益配当の可能性があるかとか利益留保が不正に行われたかなどの主観的な要素はいっさい考慮されないのである。

ウ 本件においては、上記アのとおり、各要件に該当するところであり、同族会社の留保金課税の規定(以下「本件規定」という。)においては更生会社を除外するという文言は存在しないし、更生会社について本件規定を適用しないという解釈等が一般に広く行われている事実もなく、本件更正処分が信義則ないしは禁反言の原理に反し、合法性の原則(租税法は強行法であるから、課税要件が充足されている限り、租税行政庁には租税の減免の自由はなく、また、租税を徴収しない自由もなく、法律で定められたとおりの税額を徴収しなければならないという原則)ないし平等、公平な租税法規の適用を犠牲にしてもなお原告らの信頼利益等を保護すべき特段の事情もない。

エ 仮に、同族会社の内部留保所得は一般に同族株主らの個人所得と同一視しうることを要するとの原告らの主張を前提にしたとしても、Aが本件更生計画終結後に再び同族会社となった場合には、法人税法67条1項により課税の対象とされる留保金は各事業年度において生じた単年度の留保利益に限られるため、本件事業年度で生じた留保所得について本件規定を適用して留保所得課税がなされることがなくなるのであるから、原告らの主張する本件規定の立法事実や立法目的が存在するにもかかわらず、本件事業年度で生じた多額の内部留保利益が、留保金課税を受けることもなく更生手続終結後の同族会社に引き継がれるといった課税上の不公平を招来することになる。

そもそも、法人税法67条6項は、同条1項が適用される同族会社(狭義の同族会社)に当たるか否かの判定時期について、事業年度終了の時の現況による旨明文をもって規定しているところであって、当該事業年度終了後の事情を考慮するなどとは何ら規定していないし、また、そのように解する余地はない。

第3  争点に対する判断(認定に用いた証拠は括弧内に記載した。)

1  Aは、本件事業年度終了の時である平成13年2月16日において、株主のうち、戊とその親族5名及びAが有する株式の総数41万6229株は、発行済株式の総数80万株の100分の50を超えているから、法人税法2条10号に規定する同族会社(広義の同族会社)に該当し、かつ、この広義の同族会社該当性を判定する基礎となった株主のうちに同族会社でない法人はないから、同法67条1項が適用の対象とする同族会社(狭義の同族会社)に該当していた。

他方、本件更生計画においては、発行済株式80万株すべてを無償で償却する方法により資本を減少させ、平成13年7月31日をもって、資本減少の効力が発生し、同日を払込期日として新株6万株を発行すること、新株式の割当は裁判所の許可を得て管財人が行うが、従業員をもって新株主とすることが予定されていたのであり、Aは債務超過が明らかであった(甲1、弁論の全趣旨)。したがって、上記株主らは、更生手続に参加できるものの、議決権を有さず、上記資本減少については商法所定の手続を要しないことなどから株主の実質的な権利を行使し得ない状態にあったということができる。

原告らは、このような旧株主の存在をもってAを同族会社と認めることはできないと主張するが、更生手続が進行中の破産原因を有する株式会社において、上記同族会社の判定を特別に解する根拠を見出すことは困難であり、Aは、本件事業年度終了時において、株主の構成から上記同族会社(狭義の同族会社)に該当するといわなければならない。

2  Aが本件確定申告書に添付した損益計算書の特別利益には、本件債務免除益328億7321万7109円が計上され、また、本件債務免除益が大半を占めるところの当期利益328億8725万6428円が貸借対照表の剰余金として計上されている(乙1の2)。そして、Aが、本件確定申告書及び本件修正申告書において、申告調整後の所得金額のうち327億1597万8628円を留保として処分した旨記載していること(乙1の1、乙2)からすれば、当該金額が、法人税法67条2項に規定する留保金額に該当することが認められる。

3  原告らは、法人税法67条の制度趣旨が①同族会社における配当課税の回避を意図した不当留保利益への課税、②同族会社と個人事業主との税負担の公平を図ることにあるとし、この立法目的からすれば、内部留保を同族株主の利益と同視することのできるような、会社に対する同族株主の支配力が存することが必要であると主張している。Aは、会社更生法下にあり、原告ら管財人が経営する会社であり、同族会社として個人事業主と同視できる状況にはなく、本件が配当課税の回避を意図したものではなく、内部留保が不当留保利益であるといえないことは明らかである。

しかし、税法は、原則として文理に従って解釈すべきであり、法規の文言を離れ、又は文言を置換し付加することは許されないのであって、課税の目的のために拡大して解釈したり、納税義務者の利益のために縮小して解釈することも許されないのである。

そして、法人税法67条の文言からすると、同条は、同族会社の一定額を超える留保金額について、これが不当留保か否かを問うことなく、一律に所定の金額に応じた特別税率を課すこととしているのであり、また、同族会社の留保金についてのみ適用され、非同族会社については、たとえ不当留保がなされたとしても適用されないこととされているのである。そうすると、同条は、利益が同族株主に配当される可能性があるか否か、配当と同視すべきか否か、留保が不当か否かというような事情はいっさい考慮せず、一定の客観的な課税要件があれば課税するとの規定であると解すべきである。

よって、原告らの上記主張は採用することができない。

4  原告らは、本件留保金への課税は、課税目的を逸脱し、不公平(非同族会社との関係)を招来し、租税正義の大原則に反する旨の主張をする。

しかし、課税要件を充足すれば課税を行うべきであって、そのことが不正義をきたすということはできず、更生会社について本件規定を適用しないという行政先例や解釈等が行われているとの事実は認められず、原告らの課税を受けないことによる会社更生手続進行上での利益等を保護すべき特段の事情も認められないのであるから、上記主張も理由がないといわざるを得ない。

以上の次第で、被告のした本件更正処分及び本件賦課決定処分には何らの違法もない。

5  したがって、本件請求は理由がないからいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法61条、65条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 犬飼眞二 裁判官 外山勝浩 裁判官 入江恭子)

別表1

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別紙 法人税等課税の根拠

1 法人税の課税の根拠

(1) 本件法人税修正申告に係る所得金額 8億3296万0975円

(2) 上記(1)に対する加算額 48億4113万9441円

(3) 上記(1)からの減算額 47億8662万1425円

上記金額は、次のア及びイの金額の合計額である。

ア 会社更生欠損金の額 25億7145万7702円

上記金額は、次の(ア)の金額から(イ)の金額を控除した額である。

(ア) 債務免除を受ける日の属する事業年度の以前の事業年度から繰り越された欠損金額 66億5892万8875円

(イ) 法人税法57条の規定に基づく繰越欠損金控除額として本件事業年度の所得金額から控除されるべき額 40億8747万1173円

上記金額は、平成9年11月期分6億3068万2545円、平成10年11月期分33億2025万4469円及び平成10年12月1日から平成11年1月28日までの事業年度分1億3654万3159円の合計額である。

イ 繰越欠損控除額の増加額 22億1516万3723円

上記金額は、本件事業年度の所得金額から控除されるべき青色欠損金控除額40億8748万0173円から、Aが本件修正申告書に記載した青色欠損金控除額18億7231万6450円を控除した額である。

(4) 課税所得金額 8億8747万8991円

上記金額は、上記(1)及び(2)の金額の合計額から上記(3)の金額を控除した額である。

(5) 上記(4)に対する法人税額 2億6624万3400円

上記金額は、上記(4)の金額(国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後の額)に、法人税法66条1項及び経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律16条に定める法人税率30パーセントを乗じた額である。

(6) 留保金額 327億1597万8628円

上記金額は、法人税法67条2項に規定する留保金額であり、上記(1)の所得金額のうち、Aが社内留保した金額として本件修正申告書に記載した額と同額である。

(7) 留保控除額 319億1508万3024円

上記金額は、法人税法67条3項の規定により算出した留保控除額であり、同項1号ないし3号の定めるところによって計算した額のうち、最も多い金額として、以下のとおり計算した額である(同項3号適用)。

ア 本件事業年度末の資本金額 4億円

上記金額は、Aの平成13年2月16日現在の資本金額である。

イ 上記アの25パーセント相当額 1億円

上記金額は、上記アに25パーセントを乗じた額である。

ウ 本件事業年度首の利益積立金額 マイナス318億1508万3024円

上記金額は、Aの本件事業年度の期首現在における利益積立金額であり、次の(ア)ないし(コ)の金額の合計額である。

(ア) 利益準備金 1億円

(イ) 別途積立金 10億3800万円

(ウ) 未収工事金 7141万円

(エ) 貸付金 1億円

(オ) 過払道府県民税 1万6317円

(カ) 未収還付法人税 3億0913万5100円

上記金額は、Aが本件修正申告書に記載した未収還付法人税の額2億6108万4500円に、被告が平成14年1月28日付けで行ったAの平成7年12月1日から平成8年11月30日までの事業年度(以下「平成8年11月期」という。)の法人税の減額更正処分により還付されることとなった法人税額4805万8900円を加算し、被告が平成13年12月28日付けで行った本件事業年度に係る更正処分における計算誤りの額8300円を減算した金額である。

(キ) 繰越損益金 マイナス334億3364万4441円

(ク) 納税充当金 189万4900円

(ケ) 道府県民税 マイナス59万4100円

(コ) 市町村民税 マイナス130万0800円

エ 本件事業年度末の利益積立金額 マイナス318億1508万3024円

オ 差引積立金基準額 319億1508万3024円

上記金額は、上記エが上記イに満たない場合における満たない金額である。

(8) 課税留保金額 8億0089万5000円

上記金額は、上記(6)から(7)の金額を控除した額(国税通則法118条の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後の額)である。

(9) 課税留保金額に対する税額 1億5963万7350円

上記金額は、課税留保金額に対する税額であり、次のアないしウの金額の合計額である。

ア 法人税法67条1項1号に規定する額 25万円

上記金額は、同号に規定するところにより、上記(8)の金額のうち年3000万円(ただし、同号及び同条4項に規定するところにより、3000万円に12分の1を乗じた額(250万円))に100分の10を乗じた額である。

イ 同条1項2号に規定する額 87万4950円

上記金額は、同号に規定するところにより、上記(8)の金額のうち、年3000万円(ただし、同号及び同条4項に規定するところにより、3000万円に12分の1を乗じた額(250万円))を超え、1億円(ただし、同項に規定するところにより、年1億円に12分の1を乗じた額(833万3333円))以下の部分の金額583万3000円(国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後の額)に、100分の15の割合を乗じた額である。

ウ 法人税法67条1項3号に規定する額 1億5851万2400円

上記金額は、同号に規定するところにより、上記(8)の金額のうち、年3000万円(ただし、同号及び同条4項に規定するところにより、3000万円に12分の1を乗じた額(250万円))及び1億円(ただし、同項に規定するところにより、年1億円に12分の1を乗じた額(833万3333円))以下の部分の金額583万3000円(国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後の額)の合計額(833万3000円)を超える金額7億9256万2000円に、100分の20の割合を乗じた額である。

(10) 法人税額計 4億2588万0750円

上記金額は、上記(5)及び(9)の金額の合計額である。

(11) 仮装経理に基づく法人税額 3億0913万5100円

上記金額は、Aの仮装経理に基づく法人税額として、法人税法70条の規定に基づいて、本件事業年度の法人税から控除する税額であり、次のアないしウの金額の合計額である。

ア 平成6年12月1日から平成7年11月30日までの事業年度分 1億1348万0800円

イ 平成8年11月期 1億3327万9400円

ウ 平成9年11月期 6237万4900円

(12) 控除所得税額 502万7526円

上記金額は、Aが本件事業年度において控除された所得税法174条各号に規定する所得税の額であり、法人税法68条の規定に基づいて、本件事業年度の法人税額から控除すべき税額である。

(13) 差引合計法人税額 1億1171万8100円

上記金額は、上記(10)の金額から上記(11)及び(12)の金額を控除した額(国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後の額)である。

2 過少申告加算税の課税の根拠

(1) 過少申告加算税の基礎となる税額 1億1674万円

上記金額は、前記1(13)の金額(1億1171万8100円)から、本件修正申告に係る還付金の額に相当する税額(マイナス502万7526円)を控除した額(国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後の額)である。

(2) 過少申告加算税額 1748万6000円

上記(1)の金額に100分の10の割合を乗じた金額1167万4000円と(国税通則法65条1項)、上記(1)の金額のうち50万円を超える部分に100分の5を乗じた金額581万2000円(同条2項)の合計額である。

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