大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

新潟地方裁判所 平成18年(モ)230号 決定 2007年3月20日

住所<省略>

申立人(原告)

同訴訟代理人弁護士

味岡申宰

名古屋市<以下省略>

相手方(被告)

大起産業株式会社

同代表者代表取締役

同訴訟代理人弁護士

肥沼太郎

三﨑恒夫

主文

相手方は,本決定送達の日から14日以内に別紙文書目録記載の文書を提出せよ。

理由

1  申立ての趣旨及び理由並びに当事者の意見

申立ての趣旨及び理由並びに申立人の意見は,別紙文書提出命令申立書,2007年3月6日付け文書提出命令申立に関する補充書のとおりであり,相手方の意見は,平成19年2月16日付け準備書面(第6回)のとおりである。

2  判断

(1)  基本事件は,申立人が相手方に対し,申立人は相手方従業員らの違法な勧誘によって金及び白金の先物取引をさせられ,その結果多額の損害を蒙ったとして不法行為に基づく損害賠償を請求している事案であり,本件文書提出命令の申立ては,相手方従業員の違法な勧誘行為を立証するために顧客カード,電話による受注の際に録音されている申立人と相手方従業員の会話の内容を記録してある録音テープ(以下「本件録音テープ」という。)の提出を求めるものである。

(2)  顧客カードについて

相手方の受託業務管理規則によれば,担当登録外務員が委託者の適格性の審査を行い,その審査結果及び所見を記載した顧客カードを作成し,その顧客カードは口座開設申込書とともにすべて本店業務管理センターに備え付けられることになっていることが認められ,これからすると,先物取引を開始するに当たって,担当登録外務員が作成する顧客カードは,民事訴訟法220条3号の法律関係文書あるいは同条4号の一般文書に該当することが明らかである。

(3)  本件録音テープについて

被告の新潟支店には,自動録音装置がついた電話機が3台設置されており,被告の従業員が同電話機を利用して顧客と先物取引を行う際には顧客との会話がすべて自動的に録音されていること,その録音されたテープは本店管理部において管理されることになっていることが認められ(甲4,5),これからすると,申立人が相手方の新潟支店の従業員と平成15年7月29日から平成16年5月11日までの間に電話により行った取引について取引記録が保存されていると推認できる。

そして,本件録音テープは,上記のとおり,申立人と相手方との取引経過についての録音であるから,取引経過について争いが生じた場合にはその取引内容を明らかにするために必要な文書と認められるので,民事訴訟法231条,220条4号の文書に該当するものと認めることができる。

なお,被告は,本件録音テープは存在しない,あるいは,自動録音装置のついた電話機を使うかどうかは営業マン次第であり,さらに新潟支店には上記電話機以外にも10台以上の電話機があったから委託者から電話がかかってきたとしても,どの電話につながるかわからない状態であるなどと主張するが,前記各証拠に照らして採用できない。

(4)  以上によれば,本件申立ては理由がある。

よって,主文のとおり決定する。

(裁判官 太田武聖)

<以下省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例