新潟地方裁判所 昭和23年(行)43号 判決 1948年12月01日
主文
被告が昭和二十四年六月三十日なした被告議会の議員たる原告を除名する旨の決議はこれを取消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実
原告訴訟代理人は主文と同趣旨の判決を求める旨の申立をなし、その請求の原因としてのべた事実の要旨は、被告議会は昭和二十四年六日三十日開かれた定例会に於いて、原告がさきに昭和二十三年七月十一日開かれた被告の会議の際に同議会の会議規則に違背し且つ議会の体面を汚損する行為をなしたものとして、同会議規則第三十二条第一、二号を適用して被告議会の議員たる原告を除名する旨の決議をなした。併しながら原告はこれよりさき被告議会の昭和二十三年六月二十九日の会議の決議により除名せられたのであつて、原告は新潟地方裁判所に対し右決議取消請求の行政訴訟を提起した結果原告勝訴の判決があり此の判決は昭和二十四年五月二十八日確定し議員たる地位を回復したのであるが、其の間原告は被告議会の議員たる地位を喪失してゐたのであつて前記昭和二十三年七月十一日の会議の際にいかなる行為があつたにしても議員としての行為と見ることは出来ないのであるから被告が議員の議会内に於ける行動を規律すべき前記会議規則を適用してなした本件除名の決議は違法である。よつてその取消を求めるため本訴に及んだ次第であると謂うのであつて、原告が昭和二十三年七月十一日開かれた被告議会の会議に於いて被告主張の如き行為をなしたことは否認すると述べた。(立証省略)
被告訴訟代理人は、原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とする、との判決を求め、原告主張事実中、被告が昭和二十四年六月三十日の定例会に於いて原告主張の如き理由により会議規則第三十二条第一、二号を適用して被告議会の議員たる原告を除名する旨の本件決議をなしたこと、原告がこれよりさき昭和二十三年六月二十九日の会議に於いて除名せられ、原告がこれに対し新潟地方裁判所に右決議取消の訴訟を提起し、原告勝訴の判決があつて右判決が原告主張の日に確定したことは何れもこれを認めるがその余の事実は否認する。原告はさきに被告議会の議長であつたのであるが前記の如く昭和二十三年六月二十九日の会議に於て除名されたに拘らず同年七月十一日の会議に於いて強いて議長席に着席しようとし、再三制止されたがこれに応じなかつたので副議長竹内彌平次は臨席の警察官に依頼して原告を議長席より退席せしめ、次いで当日の議長補欠選挙に関する議案を上程し書記にその朗読を命じたところ原告はこれを妨げ議長席に在つた議案を記載した書面を破棄して議事の進行を妨害したので被告は原告の右の行動が会議規則第三十二条第一、二号に該当するものとして本件除名の決議をなしたものである。而して原告は前記取消の判決確定によつて議員たる地位を回復したのであるからその後になされた本件決議は何等違法ではないのであるとのべた。(立証省略)