大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

新潟地方裁判所 昭和37年(チ)3号 決定 1962年12月03日

申請人 高野春吉

外七名

右八名代理人弁護士 今成一郎

主文

本件申請はいずれもこれを却下する。

理由

申請人等の本件申請の趣旨は「長浦岡方普通水利組合の清算人小林豊作を解任されたい。同組合の清算人の選任を求める。」との決定を求め、その申請の理由は

一、申請人等は新潟県北蒲原郡長浦村所在長浦岡方普通水利組合の組合員であるが、右水利組合は昭和二七年八月解散し目下清算中である。

二、右清算組合の清算人はもと池田与司であつたが、同人は病気のため執務することができなくなつたので、長場岑次外一名の者が清算人選任の申請をした結果(御庁昭和三〇年(チ)第一号事件)昭和三〇年四月三〇日付決定をもつて小林豊作が清算人に追加選任された。

三、しかるに右清算人小林豊作は会計係斉須孝治と共謀して、昭和三一年一一月二六日右組合の金五〇万円を大光相互銀行新潟支店に小林豊作、斉須孝治及び情を知らない阿部竜次外二名の氏名を冒用して各一〇万円宛の一年間の定期預金となしてこれを横領した外、組合の金を他に無斯で貸与する等して約金二六〇万円の損害を組合に与えたものである。

四、右のとおり清算人小林豊作はその職務を利用して再三不正行為をなし、組合に甚大な損害を与えているので、その解任を申請すると共に清算人池田与司は長期間病床にあつたが、昭和三五年八月一日死亡したので、小林豊作が解任された場合には清算人が欠けることになり損害が生ずるおそれがあるので新たな清算人の選任を求めるため本申請に及んだ次第である。

というにある。

しかし、右清算組合は昭和三七年一〇月五日適法に清算を結了し、主務官庁にこれを届出していることが記録上明白である。しからば右清算の結了により右組合は消滅したものであるから、申請人等の本件申請はもはやその必要をみなくなつたものというべきである。

よつて本件申請は理由がないからいずれもこれを却下することとし、主文のとおり決定する。

(裁判官 渡辺桂二)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例