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新潟地方裁判所 昭和39年(わ)264号 判決 1966年6月27日

本籍と住居

新潟県北魚沼郡湯之谷村大字宇津野六六八番地

会社役員

上重快舟

大正八年一〇月二五日生

本店

新潟県北魚沼郡湯之谷村大字井口新田五三七番地一一

銀山開発株式会社

代表取締役

上重快舟

被告人らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官安田忠出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人上重快舟を懲役八月に、同銀山開発株式会社を罰金三〇〇万円に処する。

但し、被告人上重快舟に対しては、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は全部被告人らの連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人銀山開発株式会社は、新潟県北魚沼郡湯之谷村大字井口新田五三七番地一一に本店を有し、資本金五〇〇万円で土木建築の請負、資材の輸送運搬等の業務を営むもの、被告人上重快舟は、被告人会社の代表取締役として同会社の業務を総括処理しているものであるが、被告人会社が昭和三五年五月ころ、湯之谷村から同村内の林道銀山平線付替工事を二億八、二八〇万円で請負い相当の利益が見込まれたことから、その利益の一部を帳簿外資産としてたくわえ、法人税を免れようと企て、被告人上重において、被告人会社の右業務に関し、右工事収入金の一部を社長に対する仮払金として右会社から持ち出し、これによつて土地、有価証券、預金、貸付金等の簿外資産を取得したうえ、右仮払金を旅費、交際費、過年度支出金等の損金科目に振替えるなどの不正な手段によつて収益の一部を秘匿し、昭和三六年四月一日から昭和三七年三月三一日までの事業年度における所得が、三、八五三万五、三一六円であるにもかかわらず、昭和三七年五月三一日所轄小千谷税務署長に対し、同事業年度の所得金額が六九八万五七〇円、その法人税額が二五五万二、五九〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同事業年度における法人税一、一九九万八二〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一、被告人の収税官吏に対する質問てん末書(六通)及び検察官に対する昭和三九年七月二八日付(全五丁)供述調書

一、被告人作成の昭和三七年一一月三〇日付、同年一二月六日付及び同月一九日付各答申書並びに同月一八日付上申書

一、証人田中和夫(第一回、第二回)の当公廷における各供述

一、当裁判所の証人石坂亮治、同上重政太郎及び同上重頼太郎に対する各証人尋問調書

一、新潟地方法務局小出出張所登記官吏作成の登記簿謄本

一、大蔵事務官作成の昭和三八年一月二二日付証明書二通

一、佐藤栄美子の収税官吏に対する質問てん末書

一、押収してある総勘定元帳二冊(昭和四〇年押第四号符一、二号)総勘定元帳綴一冊(同符三号)、金銭出納帳二冊(同符四、五号)、決算書綴一冊(同符六号)及び試算表一冊(同符七号)

<貸付金関係>

一、検察事務官作成の「写真撮影について」と題する報告書

一、桜井恭四郎、星歓一郎、穴沢吉太郎、佐藤利助、石黒堅三、豊田菊男、波形欽一、富永喜一、矢久保仲治、星福司、保坂英郎、山本博義及び佐藤貞治各作成の答申書

一、湯浅浪男及び矢久保仲治の検察官に対する各供述調書

<土地関係>

一、豊島宗の収税官吏に対する質問てん末書二通

一、駒形善治、戸田春繁、青木吉次、桑原清右ヱ門、和田恵安、駒形清兵衛、坂大君代、富所栄男、勝又寛一、藤岡トヨ、関泰策、星太郎、小林惣平、小林堅治及び高野貯吉各作成の答申書

一、小林哲治(二通)、梅田喜太郎及び佐藤利平各作成の供述書

<有価証券関係>

一、山一証券株式会社長岡支店長作成名義の供述書

一、池田軍平作成の供述書

一、大蔵事務官作成の「株式時価調査書類」及び「有価証券売買益調べ」と題する各文書

<預金関係>

一、西方定一の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、西方定一作成の証明書三通

一、調査者古武外二名並びに調査者高木外一名作成の各「調査官調査書類」

(法令の適用)

被告人らの判示所為については、昭和三七年法律第四五号法人税法の一部を改正する法律附則第一一項により、改正前の昭和二二年法律第二八号法人税法第四八条第一項(被告人会社に対してはなお同法第五一条)、罰金等臨時措置法第二条に該当するので、被告人上重については所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期範囲内で懲役八月に処し、情状により刑法第二五条第一項によりこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとし、被告人会社については所定罰金額の範囲内で罰金三〇〇万円に処し、訴訟費用については刑事訴訟法第一八二条第一八一条第一項本文により被告人らに連帯して負担させる。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 高山政一)

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