大判例

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新潟地方裁判所 昭和48年(ワ)295号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

二そこで被告らの本件建物の居住と原告が本件土地の使用収益を防げられたことの間に、相当因果関係が存するか否かについて検討する。

<証拠>を総合すると次の事実を認めることができる。

本件土地はもと北陸製紙の所有に属し、同会社の社屋工場等が右土地上に存したが、昭和四四年八月ごろ右社屋、工場が火災により焼失したため、同会社は営業を廃止して解散することとなり、本件土地を新潟土地開発に譲渡し、同会社は昭和四五年一一月ごろ原告に本件土地を売渡した。

ところで新潟建業は建設機械のリース業等を営業としていたが、北陸製紙の依頼により同会社のために土砂運搬等の人夫作業を実施し、右作業の代金二三万七、七〇〇円の債権を有していたところ、その後北陸製紙が倒産したので、新潟建業は他の一般債権者らとともに、右債権の半額を放棄し、半額は数年間猶予して北陸製紙の再建に協力した。その後、前記のように北陸製紙は火災のため解散することとなつたが、同会社に数千万円にのぼる火災保険金が支給されたので、新潟建業の代表者山田六松は、事情が変更したとして、前記債権の半額放棄、残額数年間猶予を撤回し、債権全額に遅延損害金を附加して支払うよう北陸製紙に申入れ、また本件土地の買受方を申入れた。しかし同会社はこれに応じなかつたので、新潟建業は、昭和四五年九月、北陸製紙に対し前記債権の弁済が終るまで本件土地を自動車置場として使用する旨申入れ、同会社から同年一二月これを断る旨の返事がきたにもかかわらず、右返事を受領する前から承諾を得ずに、本件土地上に自己所有の自動車ブルトーザー等を置きはじめ順次その数を増やしていつた。そして昭和四六年春ごろ本件土地上に本件建物を建築し、建物内を半分ずつ区切つてそれぞれに自社の従業員である被告らを居住させ、右自動車、建設機械等の盗難を防ぐために監視にあたらせた。

被告らは新潟建業に対し本件建物使用の賃料等の対価を支払うこともなく、また昭和四九年七月一日新潟建業が本件土地を明渡して後は、それぞれ住家を見つけて他に転居している。<証拠判断略>

右認定の事実によれば、被告らは雇主である新潟建業の指示により本件土地上に置いてあつた自動車等の盗難防止のため監視の目的で本件建物に居住していたものであるから、本件建物の占有の主体は新潟建業であり、被告らは同会社のために事実上本件建物を支配していたにすぎないものと認めるのが相当である。

してみると、被告らが本件建物に居住していることをもつて、本件土地を占有しているものと断定しうるかについては疑問の余地の存するところである。

仮りに右の点を肯定するとしても、被告らの本件建物の居住と原告が本件土地の使用収益を防げられたこととの間には相当因果関係はない。なぜなら、原告が本件土地を使用収益できなかつたのは、新潟建業が本件土地上に本件建物を所有し、自動車等を本件土地上に置いていたからであつて、被告らが本件建物に居住していることと原告が本件土地を使用収益できないこととの間には、特段の事情のないかぎり相当因果関係を認めることができないところ、前記認定の事実からみて右特段の事情があるとはいえないからである。もつとも被告らは、原告に対し本件建物から退去して本件土地を明渡すべき義務のあることを明示した一審判決に対し控訴を申立て強制執行停止決定を得て、原告の退去請求を敢えて拒んでいるので、この点被告らは、右控訴審の判決があるまでことさらに原告の本件土地の使用収益を防げたものとして原告に対しその損害を賠償すべき義務あるようにみえないでもないが前記認定の事実ならびに被告らと同様一審判決で原告外に対し本件建物去土地明渡を命ぜられた新潟建業が控訴申立に伴う執行停止の申立をなしていること(弁論の全趣旨により認められる)から推しはかると、これとても新潟建業の指示によつて、被告らが控訴ならびに執行停止の申立をなしたとも考えられ、仮りにそのような推認ができないとしても、たとえば新潟建業が原告に対し本件土地の明渡の強制執行を受けることを甘受しているのに、被告らが執行停止の決定を得てこれを防げたというような特段の事情が認められない本件の場合には、前記事実をもつてしても、相当因果関係の存在を肯定せしめるいわゆる特別の事情があるとはいえない。

(大浜恵弘)

第一目録

新潟市関屋字土手下二一四二番一

一 宅地 787.47平方メートル

第二目録

同市関屋字土手下二一四二番地一

家屋番号 二一四二番一

一 木造亜鉛メツキ鋼板葺平家屋居宅一棟

床面積 69.56平方メートル

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