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新潟地方裁判所長岡支部 昭和41年(ワ)71号 判決 1967年11月16日

原告 広瀬勇

被告 佐藤商事株式会社

右代表者代表取締役 秋元正雄

右訴訟代理人弁護士 伴昭彦

右復訴訟代理人弁護士 中沢利秋

被告 有限会社 長岡研磨

右代表者代表取締役 遠藤正栄

右訴訟代理人弁護士 中沢利秋

主文

新潟地方裁判所長岡支部昭和四一年(リ)第四号配当事件につき、昭和四一年三月二五日新潟地方裁判所長岡支部の作成した配当表のうち被告佐藤商事株式会社に対する配当の金二千三円を取消し、この取消部分について新たな配当表の調製および他の配当手続を命ずる。

原告の被告有限会社長岡研磨に対する請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

請求の趣旨

新潟地方裁判所長岡支部昭和四一年(リ)第四号配当事件につき、同裁判所が作成した配当表のうち、被告らに対する配当部分を取消し、原告の債権額につき第一順位の配当に変更する。

訴訟費用は被告らの負担とする。

請求の趣旨に対する被告らの答弁

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

請求原因

一、債権者を本件被告佐藤商事株式会社、債務者を訴外小林定一とする新潟地方裁判所長岡支部昭和四一年(リ)第四号配当事件において、同裁判所は別紙の如き配当表を作成した。

二、原告は、右事件の配当期日に、右配当表中被告らに対する配当部分について異議を述べた。

三、よって請求の趣旨記載の判決を求める。

請求の原因に対する被告佐藤商事株式会社の答弁

一、請求原因一、二項の事実は認める。

二、同被告の訴外小林定一に対する債権は次のとおりである。

(一)  同被告は、訴外水口金作(水源製作所)に対し、昭和四十年七月、日立製作所製VHC型37キロワットYSS―WRC水冷式空気圧縮機一式を代金百五万円で売渡し、その支払方法は、昭和四十年十月三十一日から昭和四十一年六月三十日まで毎月末日毎に金十万円ずつ、同四十一年七月三十一日に金十五万円の合計十回に分割支払うこと、一回でもこの割賦金の支払いを怠ったときは、直ちに残全額を支払わねばならず、かつ、その支払期日から完済に至るまで百円につき一日四銭の割合の遅延損害金を支払うとの約定であった。そして、訴外小林定一は右契約に基く訴外水口金作の同被告に対する債務を連帯保証した。

(二)  訴外水口金作は、昭和四十年十月三十一日と同年十一月三十日に支払うべき割賦金合計二十万円を支払ったのみで同年十二月三十一日に支払うべき金十万円を支払わなかったので、同被告は訴外水口金作と同小林定一に対し残全額の金八十五万円とこれに対する昭和四十一年一月一日から完済に至るまで日歩四銭の割合の遅延損害金の支払いを求める債権を取得した。

請求の原因に対する被告有限会社長岡研磨の答弁

一、請求原因一、二項の事実は認める。

二、同被告の訴外小林定一に対する債権は次のとおりである。

(一)  同被告は、昭和四十年八月、訴外小林定一より、その所有の本件競売の目的物件である横型フライス盤No.2一台(LA―二UM、製造番号二二八番、製造年月日昭和三十三年九月、岩佐鉄工株式会社製)の修理の申込みを受け、これを承諾したうえ、その頃から同年十二月頃までかかってその修理を完了した。

右修理代金は計金十八万六千九百十五円で、その内訳は木型代金四万六千円、鋳材代金一万四千二百四十円、ボーリング加工代金一万二千円、鋼材代金千円、鉋金代金千五百円、歯切加工代金五百円、仕上組立代金八万五千二百円、機械加工代金一万八千四百七十五円、改良図面設計代金六千五百円、配電装置代金千五百円である。右修理代金の支払時期は、その支払請求のなされた月の翌月十日であるところ、被告は昭和四十一年一月五日訴外小林定一に対しその支払請求をした。

(二)  よって同被告は訴外小林定一に対し右修理代金十八万六千九百十五円の支払いを求める債権および前記機械の上に先取特権を取得した。

原告の主張

被告らの訴外小林定一に対する債権の存在は否認する。

≪証拠関係省略≫

理由

一、請求原因一、二項の事実は当事者間に争いがない。

二、被告佐藤商事株式会社の答弁二各項の事実は、≪証拠省略≫によって認めることができる。

そうすると同被告は訴外小林定一に対し右残代金八十五万円とこれに対する昭和四十一年一月一日から完済まで日歩四銭の割合の遅延損害金の支払いを求める権利があり、従って本件配当手続において右金八十五万円および遅延損害金として金一万五千六百四十円(金八十五万円に対する支払期の昭和四十一年一月一日から本件競売の売得金二十八万千五百円を当裁判所執行吏金子政吉が領収した日であることが当裁判所に顕著な昭和四十一年二月十五日まで四十六日間の日歩四銭の割合による遅延損害金)の配当を求める権利がある。

三、被告有限会社長岡研磨の答弁二各項の事実は、≪証拠省略≫によって認めることができる。

そうすると同被告は訴外小林定一に対し右修理代金十八万六千九百十五円の支払いを求める権利があり、かつ、同被告は右機械の上に先取特権を有するので、本件配当手続において他の一般債権者より先順位で右金十八万六千九百十五円について配当を受ける権利がある。

四、従って本件配当表中被告佐藤商事に関する第三順位の配当については、利息および元金を二項記載の如く変更して計算するべきなのでその配当額金二千三円も変更されるべきである。しかし、本件配当事件の配当期日において同被告が本件配当表中同被告の右配当と同順位の原告に対する配当について異議を述べ、同被告が原告に対し配当異議の訴えを起し、当裁判所昭和四一年(ワ)第七三号配当事件として係属し、その判決に対し原告が控訴したことは当裁判所に顕著であり、かつ、控訴審における審理の結果は不明である。従って本件において同被告に対する配当額を定めるのは適当ではないから、本件配当表中同被告に対する配当部分を取消し、この部分について元金八十五万円、利息金一万五千六百四十円を配当要求債権として新たな配当表の調製及び他の配当手続を命ずるべきである。

また、被告有限会社長岡研磨に対する金十八万六千九百十五円の配当部分は正当であり、同被告の金三百三円の配当要求費用債権については、その発生原因につき主張立証がないけれども、これに対する配当額はないので、現在これを取消す必要はない。従って、原告の同被告に対する請求を棄却するべきである。

五、よって、訴訟費用の負担につき同法第八九条、第九二条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 菅野孝久)

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