新潟家庭裁判所 事件番号不詳 決定
少年 K(昭一六・四・二五生)
主文
少年を昭和三十六年四月二十五日から昭和三十六年十月二十四日まで医療少年院に継続して収容することが出来る。
理由
少年は、昭和三十五年一月十三日、鉄道営業法違反事件により新潟家庭裁判所で医療少年院送致決定をうけ、同月十八日久里浜医療少年院に収容されたが、同三十六年四月二十四日をもつて満二十歳に達するところ、少年の在院中の行状、反則の態様等から考え未だ犯罪的性格の矯正が十分でないと認められるとの理由で同年十一月二十二日、少年院法第十一条第二項により同院院長から満令日から引続き六カ月間収容継続の本申請がなされた。
そこで、当家庭裁判所調査官永井清、同院法務教官渡辺石雄及び少年Kの各供述並に同院法務教官(心理学専攻)白井実作成の収容継続意見書その他本件記録を綜合して勘案すると、少年は在院中、実科面において単純な作業(園芸)は独力で飽きずに遂行しうる程度となり、入院当初から見ると可成りの進歩を示しているが、その生活面においては、同年六月二十日、喫煙により謹慎五日、同年九月十五日、調理場からの野菜窃取により説論、同年十月三日、喫煙により謹慎三日、同年十二月二十二日、他の少年に対する暴行により説諭の各処分をうけており、少年の知能の低格性(知能指数五十四、新田中B式)に伴う自主性欠除、被影響性大で不満を持ち易く且つ即行的な性格は依然として改善されず、又少年を受入れる環境の面においては、少年の実父Fは、従来、少年の母の死亡後は、少年を新潟県両津市の後記少年の伯父Sに預け各地に土工として出稼していたものであるが、現在愛知県碧海郡○○町○○のC組飯場で、少年の継母R子、実妹Y子、異母弟Aと起居を共にしている。少年の在院中現在まで右実父との文通、面会はなく、前記事情から少年は父に愛情を感ぜず反つて反感を有し、父も少年の保護監督につき十分な熱意を有するとは認め難く、少年自身父の許に帰住することを欲しないので、少年の受入先として適当でないものと認められ、又前記両津市大字○○町○丁目の少年の伯父Sは少年の前件後、少年の非行に手を焼き補導の熱意なく、少年を厄介者視しており、少年も又同人の許に帰住することを欲していない。従つて少年の帰住地については、差当り、同院附近の神奈川県保護会が予定され、少年院当局としては、少年の前記資質上、少年の収容保護はこれ以上実効を期待出来ないので、(少年は同年十一月十六日一級上に進級している)その限界に達したものとして、今後格別の支障のない限り、同三十六年二月下旬、仮退院を許す予定である旨述べている。
従つて、本件申請は、主として少年の仮退院後、保護観察期間が十分でないことを考慮し、保護観察期間を満令日以後に継続することを主眼とするに帰するものと解せられる。右趣旨の申請の可否については争いのあるところであるが、本来収容継続の期限は仮退院後の保護観察期間をも考慮すべきものと思料されるので、右趣旨を推拡し本件申請を認めることは在院少年の処遇に弾力性を与え、反つて少年保護の適正を期する所以であると考えられ、少年院法第十一条第二項の文理にも適するものと認められる。
以上によれば、少年の在院中の生活態度、資質、性格並に仮退院後の受入態勢の諸点において、満令日後もなお相当の期間少年を保護観察に付する必要があり、而して右期間は諸般の事情を考慮し、満令日である同三十六年四月二十五日から起算して向う六カ月間(同年十月二十四日まで)が相当であると認めるので、少年院法第十一条第二項、少年審判規則第五十五条を適用し主文のとおり決定する。
(裁判官 荒木勝己)