大判例

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新潟家庭裁判所柏崎支部 昭和46年(家)437号 審判

〔主文〕相手方を申立人の推定相続人から廃除する。

〔理由〕一 申立人は主文同旨の審判を求めたので、当裁判所は、相手方の前科の有無についての回答書、申立人(二回)、中村はるえ(二回)武井良造および相手方に対する審問もしくは調査の結果、その関係資料を総合して次の事実を認定した。

二(1) 申立人は肩書住居地で農業を営んでおり、推定相続人としては相手方のほか、長女中村はるえ、二女池上とし子、三女武井松子がいるが、いずれも結婚して別居している。妻は昭和四六年四月一四日交通事故により死亡したので、現在一人で生活しており、時折長女はるえに身のまわりの面倒をみてもらつている。将来は同女の世話になる予定である。申立人の資産としては、農地、山林等がある。

相手方は、申立人の長男として本籍地において出生し、昭和二九年谷川ミサ子と結婚、一男一女をもうけたが昭和四一年同女と離婚し、子供は同女が養育している。相手方は現在後記⑤の刑により秋田刑務所において服役中の者である。

(2) 相手方は商業学校在学中の一七、八歳頃から素行が悪くなり、就職しても二月もたたないうちに解雇され、親の「すねかじり」のような生活を送つていたが昭和三三年ないし三五年頃には人を欺罔して金銭を入手したり親類から金を借り歩いたり、あるいは申立人の土地を無断で担保に入れて金を借り、また立木を申立人に無断で売却するなどの非行をくり返していた。自己の借金を申立人に支払わせるため、申立人をなかば脅迫することも再三あつた。さらに不良仲間と共謀して家財の掛軸、刀、よろい、膳椀など金目の物を持ち出して売却したこともある。入手した金はすべて酒、女、競輪、競馬など遊興費に使つていた。

(3) 刑事事件として刑に処せられた相手方の非行としては次のものがある。

①昭和三四年一〇月二〇日新潟地方裁判所柏崎支部宣告

詐欺罪 懲役一年六月(三年間執行猶予)

②昭和三五年六月一三日同裁判所宣告

詐欺罪 懲役六月(三年間執行猶予)

③昭和三七年八月二日新潟地方裁判所長岡支部宣告

詐欺罪 懲役二年

④昭和四一年七月二日新潟地方裁判所柏崎支部宣告

詐欺罪 懲役二年

⑤昭和四六年三月一二日新潟地方裁判所柏崎支部宣告

詐欺罪 懲役三年

以上の詐欺罪の内容は物品詐欺、寸借詐欺、土地にからむ詐欺等であるが、申立人はその都度被害者への弁償を余儀なくされた。相手方の借金の支払や上記弁償金支払等のため申立人は農地、山林を売り払い、あるいは抵当に入れるなどして多額(三〇〇万円ないし三五〇万円)の財産を失ない現在なお借金が残つている。

(4) 相手方は妻子を養育する能力もなく、これら非行を続けていたため妻も離婚の意思をかため、前記のとおり昭和四一年調停により離婚するところとなつた。さらに親類の間でも「困り者」という評価を受けるにいたつた。

(5) 相手方のこれらの非行の原因はつまびらかではないが、上記のとおり、相手方成人後相当長期間にわたり、規模、回数も大きいところからみて、相手方がその責を負うべきことは明らかである。単に申立人がこれを誘発したとみるのは相当ではない。

三 以上認定の事実によれば、相手方には相続人廃除の原因である著るしい非行が存在するといわなければならない。よつて、申立人の本件申立は理由があるので主文のとおり審判する。(石井一正)

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