旭川地方裁判所 平成元年(ワ)311号 判決 1992年6月16日
反訴原告
上垣七郎
反訴被告
カネツ商事株式会社
右代表者代表取締役
清水正紀
右訴訟代理人弁護士
藤井正章
主文
反訴原告の請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は反訴原告の負担とする。
事実及び理由
第一請求
反訴被告は、反訴原告に対し、七二七四万二五〇〇円及びこれに対する平成元年八月九日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
反訴原告は、反訴被告との間で仮名による商品取引委託契約を締結して先物取引を行った者であるが、右契約とこれに付随する委託証拠金預託契約の終了に基づき委託証拠金の返還を請求したところ、反訴被告が右証拠金は全額反訴原告の委託による取引で生じた損失に充当されて残額はないと主張したことから、主位的に、実質的に建玉制限に違反する仮名による取引を従業員を通じて強力に勧誘するなどした反訴被告が、右取引の結果生じた損失を反訴原告の計算に帰属させることは信義則上許されないから委託証拠金を返還すべきであると主張するとともに、予備的に反訴被告の従業員である旭川支店長による右勧誘などの不法行為に基づき、右仮名取引によって生じた損失に関して、損害賠償を請求した事案である。
一争いのない事実等
1 反訴被告は、東京工業品取引所、東京穀物商品取引所、北海道穀物商品取引所等国内一六か所の商品取引所の商品取引員として、通商産業省、農林水産省の許可を受け、貴金属、穀物その他前記各商品取引所の上場商品の先物取引について売買の委託を受け、委託者の計算において各商品取引所を通じて自己の名をもって当該商品の売付け又は買付けをし、委託者より委託手数料を徴収することを主たる業とする会社である(争いのない事実)。
2 反訴原告は、昭和六二年八月三日、反訴被告との間で、東京工業品取引所における貴金属(金、銀及び白金をいう。以下同じ。)の先物取引と、北海道穀物商品取引所における農産物の先物取引について商品取引委託契約(反訴原告の計算において、限月内に転売又は買戻しをするか、現物の受渡しをする意思で、反訴被告に対して先物の売買を委託することを主たる内容とするもの)を締結した(<書証番号略>)。
3 反訴原告は、昭和六二年八月四日、反訴被告との間で、上垣春樹(以下、単に「春樹」という。)及び上垣摩岐子(以下、単に「摩岐子」という。)名義で、東京工業品取引所における貴金属の先物取引について商品取引委託契約を締結して、同取引所の定める受託契約準則に従って反訴被告に委託証拠金を預託し、反訴被告も反訴原告が建玉(成立した取引のうち未だ反対売買が行われていない未決済のもの)を手仕舞い(建玉の反対売買を行って取引を結了させること)したため委託証拠金を預託する必要がなくなった日から六営業日以内に右委託証拠金を(但し、委託した商品取引から生じた損失があれば、右委託証拠金をこれに充当して残金があればそれを)反訴原告に返還する旨約した(<書証番号略>、弁論の全趣旨)。
4 反訴原告は、昭和六二年一二月二日、反訴被告との間で、上垣喜七郎(以下、単に「喜七郎」という。)名義で、北海道穀物商品取引所における農産物の先物取引について商品取引委託契約を締結して、同取引所の定める受託契約準則に従って反訴被告に委託証拠金を預託し、反訴被告も反訴原告が建玉を手仕舞いしたため委託証拠金を預託する必要がなくなった日から六営業日以内に右委託証拠金を(但し、委託した商品取引から生じた損失があれば、右委託証拠金をこれに充当して残金があればそれを)反訴原告に返還することを約した(<書証番号略>、弁論の全趣旨)。
5 反訴原告は、昭和六二年一一月一〇日までに、前記春樹、摩岐子名義での東京工業品取引所におけるすべての建玉を手仕舞いして商品取引を結了し、また、同六三年一月二八日までに、前記喜七郎名義及び自己名義での北海道穀物商品取引所におけるすべての建玉を手仕舞いして商品取引を結了した(<書証番号略>)。
6 反訴原告が、右各人名義で行った取引の結果、各取引口座別の差引残高勘定は、以下のとおりとなった(争いのない事実)。
(一) 反訴原告の自己名義分 一七五六万八〇〇〇円の損失
(うち、委託手数料 八三五万二〇〇〇円)
(二) 春樹名義分 三六五三万六五〇〇円の損失
(うち、委託手数料 一一四万九〇〇〇円)
(三) 摩岐子名義分 三二六五万二〇〇〇円の損失
(うち、委託手数料 八三万七〇〇〇円)
(四) 喜七郎名義分 六〇五万八〇〇〇円の損失
(うち、委託手数料 四七万八〇〇〇円)
(五) 合計 九二八一万四五〇〇円の損失
(うち、委託手数料 一〇八一万六〇〇〇円)
7 商品取引の構造、リスクについて十分な理解のない一般の投資家が、商品取引員の外務員の勧誘等によって取引を行い、予期し得ない損失を被るような事態を回避するため、社団法人全国商品取引所連合会は、所属商品取引員にそれぞれ社内規則として、新規委託者(商品取引所が認定した継続的売買取引委託者以外の者)からの受託枚数の管理基準(いわゆる建玉制限)を含む「新規委託者保護管理規則」を定めさせるとともに、取引員に対する各取引所の指導監督の基準たる「受託業務指導基準」の中において、新規委託者からの受託枚数の管理基準として、新規委託者からの売買取引の受託に当たっては、その全取引所の全商品についての建玉枚数が原則として二〇枚を超えないこととし、これを超える建玉の要請があった場合には前記管理規則の趣旨を説明のうえ、右規則の定める基準に従って審査し、過大とならないよう適正な数量の売買取引にとどめるよう指導している。そして反訴被告においても、新規委託者保護管理規則を定め、昭和六二年当時は、新規委託者について始めて行う売買取引の日から三か月を保護期間とし、右期間中は白金と金についてはそれぞれ五〇枚(但し、一限月につき二〇枚)、小豆は三〇〇枚を建玉の限度として、これを超える建玉の希望については担当班が資産、知識、経験年数等を書面で審査したうえ、総括責任者(北海道の場合は札幌支店長山口武、以下、「山口」という。)が決済することにしていた。
また、各取引所は、「商品取引員の受託業務に関する取引所指示事項」として、仮名又は他人名義等を使用して売買を行うことを委託者に勧誘することを禁止している(<書証番号略>、証人安達憲男、同山口武、弁論の全趣旨)。
二争点
1 委託証拠金預託の経過と損失への充当後の残金返還の有無
(一) 反訴原告は、反訴被告に対し、別紙一覧表の「反訴原告主張の金額」欄記載の金額を、同欄にそれぞれ対応する「預託日」欄記載の日に、「口座名義」欄記載の名義人の名前で、現金又はこれと同額を担保評価額(充用価格)とするNTTの株券で預託したと主張する。
なお、反訴原告は、預託金の全額である七六七七万四五〇〇円の返還請求権ないしは右と同額の損害賠償請求権があると主張するものであるが、本件においては内金を請求している。
(二) 反訴被告は、反訴原告から、別紙一覧表の「反訴被告への預託株数・金額」欄記載のとおりの現金及び株券につき、同欄にそれぞれ対応する「預託日」欄記載の日に、「口座名義」欄記載の名義人の名前で、預託を受けて、これを同表の「反訴被告からの返戻株数・金額」欄記載のとおり、同欄にそれぞれ対応する「返戻日」欄記載の日に、「口座名義」欄記載の名義人の口座の関係で、損金に充当するなどし、残金は既に全額を返還していると主張する。
2 反訴被告の旭川支店長らによる勧誘等の行為の内容とその評価
(一) 反訴原告の主張
反訴被告の旭川支店長安達憲男(以下、単に「安達」という。)は、反訴原告が、二〇年以上前に小豆の先物取引をした経験はあるものの、特に貴金属の取引については全く知識がないため、本来新規委託者として対処すべきであるのに、それ自体商品取引員の委託業務に関する取引所指示事項違反である仮名での取引を強引に勧め、反訴原告をして、前述の春樹、摩岐子(実在はするが二歳の幼児である。)、喜七郎(全く架空の名義である。)名義での契約をさせ、別紙一覧表の「反訴原告主張の数額」欄記載のとおり委託証拠金を預託させたうえ、全国商品取引員協会連合会による新規委託者保護管理協定が定める新規委託者についての習熟期間中の建玉制限に実質的に違反する(反訴原告自身の名義での取引と各仮名での取引を合わせれば右制限を超過する)取引をさせたものであるが、これは取引に不慣れな新規委託者に短期間で膨大な損失を生じさせるおそれのある危険な勧誘行為である。
そのうえ安達は、自己の判断で短期間に膨大な取引を行って反訴原告に多大な損失を被らせたのであるから、右損失は信義則上反訴被告が負担すべきもので、反訴原告の預託した委託証拠金をこれに充当することは許されない。
仮に、右の主張が認められないとしても、商品取引員の外務員には、先物取引において経験の乏しい一般投資家が予期し得ない多大な損失を被る危険性が大きいことに鑑み、顧客の適格性を審査したうえ、顧客に適切な指導、助言を行ってそのような事態を防止すべき注意義務がある。しかし、反訴被告の旭川支店長安達はこれを怠り、反訴原告に対して顧客としての適格性の審査も行わずに、上述のような社会的に許容される範囲を越えた勧誘を行い、自己の判断で取引を行って反訴原告に膨大な損失を被らせた。以上のような安達の一連の行為は違法であり、反訴原告に対する不法行為を構成する。
(二) 反訴被告の主張
反訴被告の従業員である安達の行為が、信義則違反ないしは不法行為を構成するとの主張はすべて争う。
反訴原告は、自ら反訴被告の旭川営業所に来店して顧客となった者で、かつて西田三郎商店などを通じて先物取引を行った経験が豊富にあり、営業所で他の顧客に対し相場についてのアドバイスをしていたほどであるから、顧客としての適格性に欠けるところはないばかりか、建玉制限による保護が必要とされる新規委託者にも当たらない。そもそも喜七郎名義は反訴原告の習熟している小豆の取引について使用したものであるし、また、確かに貴金属については反訴原告は先物取引の経験こそないものの、新規委託者保護の観点から問題とされるべき先物取引の知識・経験は、当該商品の相場の動向についての認識ではなく、先物取引の構造についての認識・経験であるというべきで、反訴原告はこの点に欠けるところはない。仮に、反訴原告の取引が建玉制限に違反するものであるとしても、右制限は政策的なもので一定の基準の下でこれを上回る建玉が許される場合もあるのだから、その違反が、反訴原告の売買委託の効力を直ちに失わせるようなものではなく、右取引による損益を反訴原告の計算に帰属させることの妨げとなるものではない。仮名の使用も、土地売却益に対する課税額を短期間に多量の取引をすることで稼ごうとした反訴原告が、建玉制限を知ったうえで懇請したのに応じたもので、安達らから勧めたものではなく、自ら仮名での取引を望んだ反訴原告が、それを理由として損失の自己への帰属を拒否することは許されない。
反訴原告は、各市場の立会のある日は営業所に殆ど日参して、昼から夕方頃まで滞在し、反訴被告の従業員のアドバイスなどを聞くことなく気学と称する一種の易学を参考とした独自の判断で売買を指示していたもので、すべて自らの判断で取引を行っていたものである。
3 2が不法行為を構成するとした場合の反訴原告の損害額
第三争点に対する判断
一委託証拠金預託の経過とその返戻関係等
1 預託関係
証拠(<書証番号略>)によれば、反訴原告は、反訴被告に対し、別紙一覧表の「反訴被告への預託株数・金額」欄記載の株式又は現金を、右欄にそれぞれ対応する「預託日」欄記載の日に、「口座名義」欄記載の名義人(但し、昭和六二年一〇月二九日の現金一六万九五〇〇円については、上垣摩岐子)の名前で委託証拠金として預託したこと、右預託された株式(代用証券)の充用価格は対応する「反訴原告主張の数額」欄記載のとおりであることが認められる。したがって、反訴原告は、春樹名義で株式一五株、現金四九八万円を、摩岐子名義で株式一五株、現金四八二万一五〇〇円を、喜七郎名義で株式二株、現金一九〇万円をそれぞれ預託したことになる。
2 返戻関係
証拠(<書証番号略>)によれば、反訴被告は、反訴原告に対し、別紙一覧表の「反訴被告からの返戻株数・金額」欄記載の株式及び現金を、右欄にそれぞれ対応する「返戻日」欄記載の日に、「口座名義」欄記載の名義人の口座関係で返戻したこと、昭和六二年一二月二一日に売却された摩岐子名義で預託されていた株式一三株の売却代金二九七八万五九八〇円は、うち五七六万一九八〇円が返戻され、うち二四〇二万四〇〇〇円が同人名義の取引で生じた損金に充当されたこと、右返戻された金員は、反訴原告本人名義の東京工業品取引所関係の口座に入金されたり、同日の喜七郎名義での五〇万円の委託証拠金預託に充てられたりしたこと、昭和六三年二月二日に売却された喜七郎名義で預託されていた株式二株の売却代金四五一万九四七三円は、同人名義での取引で生じた損金に充当されたことが認められる。したがって、各名義人の名義で預託された委託証拠金は、すべて返戻されたことになる。
3 損金の支払関係
証拠(<書証番号略>)によれば、春樹名義で生じた損失三六五三万六五〇〇円については、右2で認定のとおり、昭和六二年一一月一八日に委託証拠金から四九八万円が充てられたほか、同日、反訴原告本人名義の東京工業品取引所関係の口座から二九四万〇五〇〇円が補填され、同年一一月三〇日、反訴原告本人名義の北海道穀物商品取引所関係で得た利益金等により二八六一万六〇〇〇円が支払われたこと、摩岐子名義で生じた損失三二六五万二〇〇〇円については、右2で認定のとおり、昭和六二年一一月一八日に委託証拠金から三八二万一五〇〇円、同年一二月二一日に株式の売却代金から二四〇二万四〇〇〇円が充てられたほか、同年一一月一八日に反訴原告本人名義の東京工業品取引所関係の口座から二二五万八五〇〇円が補填され、同月三〇日に二五四万八〇〇〇円が支払われたこと、喜七郎名義で生じた損失六〇五万八〇〇〇円については、右2で認定のとおり、昭和六三年二月二日に株式の売却代金から四五一万九四七三円が充てられ、同月三日に委託証拠金から一五三万八五二七円が充てられたことが認められる。
二仮名による商品取引委託契約締結の経過及びその後の取引経過
証拠(<書証番号略>、証人安達《一部》、同山口武、同小玉富雄、反訴原告本人《一部》及び弁論の全趣旨)を総合すれば、次の事実が認められる(争いのない事実も含む。)。
1 反訴原告は昭和三年二月一一日生で、昭和三七年から同四七年ころまで旭川市三条九丁目で旭旅館を経営したのち、右旅館横の土地で昭和六〇年末まで駐車場を経営していた者であるが、昭和六二年一月に右駐車場として使用してきた一六二坪の土地を代金約二億六〇〇〇万円で売却した際、右譲渡益に対する約六〇〇〇万円の課税額を投資によって捻出しようと考え、右代金の一部で同年三月にNTTの株式四八株を取得した。更に、反訴原告は、昭和四一、二年ころに、丸叶商店、興和商事、西田三郎商店を通じて相当量の小豆の先物取引をした経験があり、昭和六二年七月の気候が不順で、興味を持っていた気学(中国に起源する方位学と統計学を統合したもの)に照らしても小豆の価格が上昇すると予測されたことから、前記株式を委託証拠金の代用証券として小豆の先物取引に投資しようと考えた。
2 反訴原告は、昭和六二年八月三日、前記NTT株数枚を持参して旭川市内の藤富等の他の商品取引員を訪ねた後に反訴被告の旭川支店に来店した。そこで、反訴原告は、小豆の先物取引の買い建玉を希望したが、同支店長安達は、小豆を取引するなら売りから入るべきであるし、そもそも小豆は自由化の影響等で人気薄のため値動きが期待できず妙味がないなどとして、もっぱら当時市場価格が上昇傾向にあり市場関係者の間で中東情勢の緊迫化や南アフリカの鉱山ストによる供給先行き不安などにより上昇基調が更に続くとの見方が支配的であった貴金属の取引を行うように勧めた。そのため、反訴原告は、貴金属の先物取引を行うことにしたが、過去の取引の経験や当時の気象状況、さらに気学などから小豆の値上りに自信があったため、当初の予定通り主に小豆について先物取引を行うことにして、前記第二の一2記載の契約を締結し、持参したNTTの株券のうち三枚を北海道穀物商品取引所における小豆の取引の、一枚を東京工業品取引所における貴金属の取引のそれぞれ委託証拠金の代用証券として預託し、東京工業品取引所での限月六月の白金一〇枚(白金は五〇〇グラムを一枚とし、これを最小の取引単位とする。)の買い注文をし、小豆については翌日朝に安達から電話をもらって買い注文をすることにした。
3 同月四日(契約の翌日)の朝、安達は反訴原告に電話して北海道穀物商品取引所における小豆の先物取引(以下、単に「北海道小豆」とも略称する。)四五枚の買い注文を受けて取引を成立させたが、その際白金の海外市場が依然騰勢にあることを伝えて更に買増しすることを勧めたところ、前述の投資理由もあって短期間に多額の収益を上げようと考えていた反訴原告が、前記管理規則の建玉制限を上回る一〇〇枚程度の建玉を希望したので、右制限を潜脱する方法として他人名義を使用して取引できることを示唆し、反訴原告がこれに同意したので、事前に札幌の山口に電話をして同人の承認を得たうえ、反訴原告と前記第二の一3記載のとおり東京にいる反訴原告の息子春樹の名義での商品取引委託契約をし、東京工業品取引所の白金の先物取引(以下、単に「東京白金」とも略称する。)につき、自己名義で四〇枚、春樹名義で五〇枚の買い注文を受け、同日中に取引を成立させた(自己名義分は限月二月が二〇枚、同四月が二〇枚。春樹名義分は限月二月が一〇枚、同四月が二〇枚、同六月が二〇枚。)。反訴原告は、同日昼に来店して、更に前記第二の一3記載の反訴原告の二歳の孫娘である摩岐子の名義での商品取引委託契約をし、同人名義で東京白金につき五〇枚を買い注文し、そのとおり取引が成立した(限月二月が二〇枚、同四月が一〇枚、同六月が二〇枚。)。これらの取引は実質的には前記の管理規則の建玉制限に違反するものであるが、これについて安達は前記管理規則に従って担当班に書面で審査を求めるなどの正規の処置は取っていないし、前認定の過去の先物取引経験について反訴原告から聞いた以外は反訴原告の経歴、資産等についての具体的な聴取・調査も行っていない。安達は山口の指示もあったので、後に、春樹及び摩岐子名義での取引について取引主体があくまでも反訴原告であることを明らかにする趣旨で、右両名名義での契約につき受託契約準則二条一項に基づく通知書を反訴原告本人の名前で作成させた。
4 反訴被告は、反訴原告と第二の一2・3記載の各商品取引委託契約を締結するに当たり、取引の仕組みや取引に係わる禁止事項等を説明した「商品取引委託のしおり」や受託契約準則並びに先物取引の危険性について説明した「危険開示告知書」を反訴原告に交付した。
5 山口は、同月一三日、旭川を訪れて反訴原告と会った際に、反訴原告から更に貴金属を買いたい旨の希望を受けたので、同人について商品取引所による継続的な売買取引関係者であるとの認定(右認定により新規委託者ではなくなる。以下、「継続認定」という。)が得られるよう、反訴原告の過去の取引経験の有無について、同人の申告に基づく調査をしたが、右経験を裏付ける資料は残っていなかったため、反訴被告では、反訴原告に今回の取引によって資格ができる以前に継続認定を得させることを断念した。
6 反訴原告は同年八月三日以降、殆ど毎日のように反訴被告の旭川支店に来店して、昼過ぎから夕方頃まで、時には夜七時頃まで滞在し、相場の状況を見ながら安達らに売買注文を指示するかたわら、他の客に相場についての見解を披露するなどしていた。そして、少なくとも小豆の取引については、前述の気象状況や気学に加え、実際に作付け状況を見に行くなどして資料を集め、たとえ安達らの勧める取引の方向と違っても自己の判断に基づいて売買の注文を出していたが、貴金属の取引については、気学を参考にしつつもこれに絶対の信頼を置いていたわけではなく、それ以外の判断材料はもっぱら安達らの助言に依拠しながら、最終的には自己の判断で注文をしていた。
7 反訴原告自身の名義の北海道小豆は、前述のとおり昭和六二年八月四日に四五枚を買った後も、順次買い足されて同月一四日までに前述の建玉制限を超える計三二〇枚に達した。そして、同年九月二六日には、買い建玉は計六二五枚となったが、以後今回の取引による継続認定のなされた後の一一月二〇日まで買い建玉はなされていない。同日以降、若干買付けがなされたが、同月三〇日を最後に買い建玉はなされず、以後六三年一月二八日までに順次売り抜け、途中で生じた益金は反訴原告自身の名義での東京穀物商品取引所における小豆の先物取引(以下、単に「東京小豆」と略称する。)並びに東京金(以下、単に「東京金」と略称する。)及び東京白金の各損金に充当されたが、最終的には一七三四万四〇〇〇円の損金が発生した。もっともそれまでに合計五五六九万八〇〇〇円の益金を出しており、差引しても北海道小豆だけなら三八三五万四〇〇〇円の益が出たことになる。右取引によリ反訴被告が取得した委託手数料は合計五八二万四〇〇〇円(売り・買いとも各延べ九一〇枚、一枚三二〇〇円)である。なお、反訴原告は、自身の名義で東京小豆の取引もしているが、継続認定のあった一一月一六日から二四日にかけて一四五枚を買い建玉して順次売却したものである。
8 東京金及び東京白金の市場は昭和六二年初めから上昇傾向にあったが、金は八月四日の一グラム二四二七円、白金は八月五日の一グラム三二〇〇円をピークとして、原油価格急落の影響等によりそれぞれ下降線に入った。白金は同年九、一〇月ころには同二八〇〇円前後で安定し、金については同年八月三一日の同二一三八円から一〇月二〇日の同二二九六円まで徐々に反騰する動きも見られたものの、同年一〇月一九日のいわゆるブラック・マンデーにおける株価暴落の影響で以後金、白金ともに暴落し、一一月六日には金が一グラムニ〇三七円、白金が一グラム二一〇〇円の安値を付け、その後同月末ころまでわずかに反騰した。
9 反訴原告自身の名義での東京白金は、昭和六二年八月四日に四〇枚を追加建玉した後は、反訴被告を通じての取引による継続認定後の同年一一月一六日に五枚買い足されただけで、昭和六三年一月二八日までに順次売却し、また同じく東京金は、昭和六二年八月七日の二〇枚の買い建玉で取引が始まり、同月一一日に三〇枚買い足した後、同様に順次売り抜けた。なお、昭和六二年一一月九日に白金を、翌一〇日に金をそれぞれ売却したが、これは、同月六日の時点で委託追証拠金が二二二一万円不足し、反訴原告が株券を東京から取り寄せるというので八日まで猶予したものの預託がなされなかったため、反訴被告が受託契約準則一二条に基づいて建玉を処分したものであり、反訴被告はそれまでにも委託証拠金の預託を同程度猶予していたが、右準則に基づいて建玉を処分したのはこれが初めてであった。
10 春樹名義での取引のうち、東京白金は昭和六二年八月四日に建玉した五〇枚を同年一一月九日にすべて売却し、東京金は同年八月七日から一一日にかけて買い建玉した二五枚(一枚一キログラム。限月は二月が一〇枚、四月が五枚、六月が一〇枚。)と、同年一〇月二〇日、二一日に買い建玉した一五枚(限月は六月が五枚、八月が一〇枚。)を同年一一月一〇日にすべて売却して、いずれも取引を結了した。
摩岐子名義での取引のうち、東京白金は同年八月四日に建玉した五〇枚を同年一一月一〇日までにすべて売却し、東京金は同年八月七日に五枚、同月一〇日に一五枚買い建玉し(いずれも限月は六月)、同年一一月一〇日にすべて売却して、いずれも取引を結了した。
なお、右の一一月九日、一〇日の売却はいずれも9で認定したのと同じく追証拠金の不納によるものである。
11 反訴原告は、昭和六二年九月ころから反訴原告宅に資料などを届けに来ていた反訴被告の外務員小玉富雄に対し、同人の担当として契約することにより同人の実績にするつもりで、同年一二月二日に、反訴被告との間で、全く架空の上垣喜七郎名義での前記第二の一4記載の契約を締結し、同日から昭和六三年一月ニ八日に取引を結了するまで北海道小豆の先物取引を行った。
12 反訴原告は、昭和六三年一月ニ八日に、反訴原告自身及び喜七郎名義でのすべての取引について手仕舞いを希望し、同日現在の残りの買い建玉すべてを処分して取引を結了した。安達は、同年二月三日に反訴原告宅を訪れ、同人に対し、決済の結果を報告して、右両名義についての決済後の残金を返還し、同日までに委託証拠金の預託に応じて反訴被告から反訴原告に交付されていた委託証拠金預かり証すべてについて返還を受けた。
13 反訴原告は、昭和六三年三月になって商品取引所や通産省に本件取引についての苦情を申し入れ始めた。
ところで、貴金属の先物取引を開始した経緯につき、反訴原告本人尋問の結果中には、安達に小豆の取引は駄目だと強く言われて白金を買わされたかのように述べる部分があるが、前記認定のとおり建玉の開始こそ白金の方が先ではあるが、安達より売りから入るよう勧められたにもかかわらず小豆について八月一四日までに三二〇枚の買い建玉をするなど多量の取引をしていることや、小豆については安達の助言を参考にすることなく自己の判断で買い建玉をしていることからすれば、安達に勧められるままに白金の取引を始めたとは認められず、取引経験のない白金の取引についても、安達の助言が誘因とはなったものの自己の判断で取引を始めたことが推認できる。
また、仮名を使用するに至った経緯について、仮名使用が反訴原告の申し出によるものであるとする証拠(<書証番号略>、安達証言、山口証言)が存在するが、山口証言は安達から電話で聞いた内容を述べるに留まるものであるし、八月四日に安達が電話で山口にした反訴原告の先物取引の知識、経験についての報告の内容や調査の状況といった重要な事実関係についてそれぞれに齟齬があり、いずれも採用できない。
なお、反訴原告本人は、右仮名使用の点に留まらず実質的に建玉制限に違反する取引をすること自体も安達の誘導によるものであると供述するが、誘導されたとする内容は不明確で、同月三日夜に建玉制限を超過する取引を勧められたとする点も反訴原告自身により作成された<書証番号略>の記載(安達、山口証言と同じく翌四日に右取引の話が出たことになっている。)とは齟齬があり措信できない。反訴原告は他の部分では建玉制限違反の取引は会社としては受けられないと一度断わられた旨を述べており、むしろ反訴原告自身が短期間に多量の取引をすることで多くの利益を得ようとしていたことが他の供述部分から窺われ、建玉制限違反の取引をすること自体は反訴原告から希望したことが明らかである。
個々の取引の内容について、反訴原告本人尋問の結果中には、取引はすべて安達の誘導と指示によって行ったかのように述べる部分があるが、右尋問結果を全体として見れば、すべての取引は最終的には反訴原告自身の判断で行われており、反訴原告の判断と異なる取引を反訴被告がしたようなことはないことが明らかである。また、反訴原告本人尋問の結果中には、貴金属については昭和六二年八月二〇日ころから手仕舞わせてくれと言っていたが、ここが頑張りどころだと強く勧められ、手仕舞わせてくれなかった旨述べる部分があり、右は確かに前記認定の金、白金の値動きには合致するが、九月初旬ころには手仕舞うことで見込まれる損失が金、白金ともそれぞれ数千万円程度になっていることや小豆は逆に数千万円の利益が見込まれる状況下で同年九月二六日までに小豆を大量に買い増していること、更に同年一〇月二〇日、二一日に春樹名義で東京金を、同年一一月一六日には反訴原告自身の名義で東京白金を買っており、反訴原告は他の部分で前者については少しでも損を少なくしようとして下がったところで自己の判断で買った旨を述べている(右は安達証言にも符合する。)ことなどから見て、反訴原告が一時的には貴金属の手仕舞いを考えたことがあったとしても、その後の値動きや小豆での収益もあって反騰の期待のもとに自己の判断で建玉を維持したものと推認されるから、前記反訴原告の供述部分は採用できない。
三本件各請求の当否
以上認定の事実を前提に、以下に検討するところを総合すれば、反訴被告が委託証拠金を損失等に充当したことが信義則に違反するとも、安達の一連の違法な行為により反訴原告に委託証拠金に相当する損害が発生したとも、認めることができない。
1 本件各取引開始の発端は、反訴原告が自らの意思で、NTT株を持参して、反訴被告の店頭に赴いたというものであり、元々安達ら反訴被告旭川支店外務員らに反訴原告に対する不当勧誘の意思があったとは到底認められない。
2 反訴原告の先物取引参加の適格性
(一) 商品取引員か顧客を勧誘し、取引の委託を受けるに当たっては、その顧客の経歴、能力、知識、経験等により、商品取引を行うについての適格性の有無・程度を判断したうえで、顧客に損失発生の危険についての判断を誤らせないよう配慮すべき注意義務があるが、右注意義務の内容は顧客の適格性の程度に応じて異なってくるのが当然である。
(二) 当該投資者が先物取引に参加するうえでの適格性を有しているかどうかの判断においては、商品取引の機構自体に対する理解度と資金力が重要であるが、反訴原告は、過去に複数の商品取引員を通じて小豆の先物取引を行った経験により商品取引の機構自体は十分に理解しており先物取引のリスクの大きさについても一定の理解は有していたものである。また、取引開始時には高額の不動産売買で取得した株式等の当面の生活に必要な財産以外の余剰投資資金も有していたから、本件取引開始当時は先物取引に参加するうえでの適格性は相当程度有していたと認められる。更に、反訴原告が、小豆の先物取引の経験があったものの、貴金属の取引経験は有していなかった点についても、そもそも先物取引において参加者の適格性が問題となるのは、主として、一定額の委託証拠金を預託するだけで多額の取引が行われる先物取引の構造上、一般の投資家がリスクを十分に理解しないまま予期し得ない多額の損失を被る恐れが存在するからであり、その点からすると、商品の特性についての知識が不十分であっても、先物取引の機構についての十分な理解があれば一応は慎重な投資判断を期待することができるから、商品による値動きの要因・特性の違いなどから予期しない結果を得ることがあるとの危険性を取り除くことができないものの、これによって反訴原告が貴金属先物取引についての適格性を有しないものとまでは認められず、この点を捉えて、反訴原告が先物取引参加の不適格者であったということもできない。
3 安達は勧誘から契約締結に至るまで、先物取引の経験の有無を反訴原告から聞かされたほかには、反訴原告の経歴や資産について具体的な聴取・調査は行っていない。しかし、前述のとおり、反訴原告には先物取引についての適格性が相当程度備わっていたのであるから、右の点が商品取引員の外務員としての注意義務に反する行為であるとしても、この行為だけから反訴原告の主張する損害との関係で、違法性を肯定することはできない。
4 建玉制限違反及び仮名による契約締結
(一) 本件では、反訴被告の示唆による仮名取引の形で、実質的に建玉制限に違反する貴金属先物取引がなされている。確かに、仮名を使用することは「商品取引員の受託業務に関する取引所指示事項」で禁じられているところであるが、右禁止は主に法律関係の複雑化による紛争を防止する目的であると解され、建玉制限違反の潜脱防止という目的は副次的なものに過ぎず、仮名使用による取引を勧誘して当該投資者の判断でこれを行わせること自体は、当該投資者に対する関係で直ちに違法と評価されるものではないというべきである。そして、本件においては、前述のとおり、継続認定を受けた者と全く同視することまではできないものの、商品取引の機構を十分に理解している反訴原告が、短期間に収益を上げようとして新規委託者の建玉制限に実質的に違反する取引を積極的に希望したのであるから、確かにそれを安易に許容し潜脱手段たる仮名使用まで教示した安達ら反訴被告側の姿勢も非難されるべきではあるが、貴金属が更に上昇基調を続けることが市場関係者の間で支配的見解であった状況下において、仮名使用を示唆し許容したことを反訴原告との関係で違法とまで言うことはできない。
(二) 反訴原告の習熟している小豆の取引において、しかも反訴被告との取引により継続認定を受けた後になされた喜七郎名義での取引については、違法性を肯定する余地がないことは明らかである。
5 反訴原告が貴金属の価格の下落により手仕舞いを希望しているのに安達らが手仕舞いさせなかった事実が認められないのは前述のとおりである。
6 反訴原告自身の名義での北海道小豆について、比較的頻繁に売買両方向の取引がなされ、委託手数料も五八二万四〇〇〇円と比較的多額に昇り、また、昭和六二年一〇月後半から一一月初旬にかけての益金の一部が春樹、摩岐子名義の委託証拠金に回されていることが認められるが、前認定の反訴原告の小豆についての取引態度に照らしても右がもっぱら手数料稼ぎを目的とする誘導によるものであるとは認められないし、同時期の手仕舞いによる益金のうちでは委託証拠金に回されたものより直接本人に返還された益金の方がはるかに多いこと(<書証番号略>)や反訴原告が過去の取引経験から先物取引の機構自体については十分理解していたことからすれば、北海道小豆での益金の春樹、摩岐子名義の委託証拠金への流用が、反訴原告の右各人名義での取引終結の意思に反してあるいは意思決定の自由を奪いかねない強い誘導によって行われたものとは認められない。
7 更に、反訴原告は、安達らが各取引所の受託契約準則一二条に基づき追証拠金が期限までに預託されない場合には当該委託を受けた建玉を処分するという扱いをせずに、相当長期間の猶予を与えて結果的に損害を拡大させたことにも苦情を述べている(<書証番号略>)が、昭和六二年一一月九日、一〇日には右準則に基づく前認定の処分がなされており、他に相当長期間追証拠金の納付に猶予を与えたことを窺わせる証拠はなく、仮に右のような処理がなされたとしても、前記準則は委託証拠金預託の目的が主としては商品取引員の債権担保にあることや同条一項の商品取引員において処分できるという文言から見ても、商品取引員に処分義務まで課したものではなく、自己の判断で建玉を維持している反訴原告に対して違法性を帯びるような強力な取引継続の勧誘となり得る利益供与があったとは言えない。
8 以上に見てきたとおり、反訴被告側には、反訴原告の建玉制限を超過する取引申込に対し、安易にこれを受け入れ、仮名による契約締結まで示唆したという新規委託者保護管理規則の規定に反する取り扱いはあったものの、全体としては、相当程度先物取引にも習熟し、余剰資産も有する反訴原告の自発的意思に基づき仮名による商品取引委託契約が締結され、個々の取引についても、反訴原告の判断によりなされたものであり、委託証拠金の預託やその後の処理についても、反訴原告自身その意思を無視してなされたことを主張・立証していない。したがって、反訴被告の違法な勧誘行為によって契約が締結されたとも、違法な取引ないしは取引継続の誘導によって反訴原告の損害が拡大する結果を招いたとも認めることができない。
(裁判長裁判官前坂光雄 裁判官木納敏和 裁判官中村元弥)
別紙
一覧表
預託日又は
返戻日
反訴原告主張の数額
反訴被告への預託株数・金額
反訴被告からの返戻株数・金額
口座名義
62.8.4
5,187,000円
NTT株 3株
上垣春樹
〃
5,187,000円
同 3株
上垣摩岐子
62.8.6
1,729,000円
同 1株
上垣春樹
〃
1,729,000円
同 1株
上垣摩岐子
62.8.11
1,729,000円
同 1株
上垣春樹
〃
1,729,000円
同 1株
上垣摩岐子
62.8.18
5,187,000円
同 3株
上垣春樹
〃
3,458,000円
同 2株
上垣摩岐子
62.8.21
1,799,000円
同 1株
上垣春樹
〃
3,598,000円
同 2株
上垣摩岐子
62.8.28
1,799,000円
同 1株
上垣春樹
〃
1,799,000円
同 1株
上垣摩岐子
62.9.5
1,799,000円
1株(七郎の東京白金へ)
同上
62.9.8
500,000円
現金 500,000円
上垣春樹
〃
100,000円
同 1,000,000円
上垣摩岐子
62.9.11
1,799,000円
NTT株 1株
上垣春樹
〃
1,799,000円
同 1株
上垣摩岐子
62.9.17
1,799,000円
1株(七郎の北海道小豆へ)
上垣春樹
〃
1,799,000円
同上
上垣摩岐子
62.10.20
現金 1,000,000円
同上
62.10.29
現金 169,500円
(七郎の東京白金より)
上垣春樹
〃
4,480,000円
同 4,480,000
(七郎の北海道小豆より)
同上
〃
3,821,500円
同 3,652,000円(同上)
上垣摩岐子
62.10.31
2,044,000円
NTT株 1株(同上)
上垣春樹
〃
2,044,000円
同 1株(同上)
上垣摩岐子
62.11.2
2,044,000円
同 1株(同上)
上垣春樹
〃
2,044,000円
同 1株(同上)
上垣摩岐子
62.11.5
4,088,000円
同 2株(同上)
(但し、反訴原告の預託日の主張は4日)
上垣春樹
〃
4,088,000円
同 2株
(七郎の北海道小豆より)
上垣摩岐子
62.11.18
3,821,500円(損金入金)
同上
〃
4,980,000円(損金入金)
上垣春樹
62.11.30
7株(七郎の東京小豆へ)
同上
〃
7株(七郎の北海道小豆へ)
同上
62.12.2
1,848,000円
NTT株 1株(七郎の東京金より)
上垣喜七郎
62.12.3
1,848,000円
同 1株(七郎の北海道小豆より)
同上
62.12.21
13株(売却)
上垣摩岐子
〃
500,000円
現金 500,000円
上垣喜七郎
62.1.21
3,400,000
同 1,400,000円
同上
62.2.2
2株(売却)
同上
62.2.3
1,538,527円(損金入金)
同上
〃
361,473円(本人へ)
同上