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旭川地方裁判所 平成25年(行ウ)2号 判決 2014年11月26日

主文

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第3当裁判所の判断

1  認定事実

前記前提事実、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

(1)  平成20年の無断欠勤の経緯

ア  原告は、平成20年1月24日当時、消費者金融業者等から約330万円を借り入れており、こうした現状から逃げ出したいと考えて、同日から同年2月2日までの10日間、自らの意思で失踪し、職場を無断欠勤した。(甲19〔6〕、乙9〔12〕、10ないし12)

イ  原告は、平成20年2月4日、a町長に対し、上記アの失踪及び無断欠勤について深く反省している旨の始末書を提出した。なお、原告は、上記無断欠勤に関する被告の聴き取り調査の際、現状から逃げ出したくなり、自宅を出て職場には行かずに、あてもなく札幌へ向かったもので、その時はパニック状態であった旨の報告をしていた。(乙9〔12〕、11、12)

ウ  a町長は、平成20年2月6日、原告に対し、上記アの失踪及び無断欠勤を理由に、同日から同年5月5日までの3か月間、給料月額の100分の10を減給する旨の懲戒処分をした。(乙10)

(2)  本件不適切事務処理の具体的内容等

ア  原告は、平成22年4月1日に建設課b係へと異動し、同係において、公営住宅420戸、特定公共賃貸住宅60戸、地域住宅21戸の合計501戸の入退去に関する窓口業務や家賃徴収管理業務等を担当していた。(甲19〔2〕、乙35、弁論の全趣旨)

イ  原告は、平成22年4月以降、原告担当業務に関して、以下のとおり、不適切な事務処理を行った(本件不適切事務処理)。(乙2〔3ないし6〕、6〔7、8〕、9〔3〕、18〔6〕、22、原告本人〔26、27、29、30〕、弁論の全趣旨)

(ア) 公営住宅の入居者を決定するに当たり、被告内部の決裁を経た上、入居者への通知、敷金の納付確認、入居許可証及び鍵の交付、家賃の納入通知書の発行をしなければならないところ、原告は、平成22年4月から同年12月までの間、上記決裁や敷金の納付を経ずに入居させ、家賃の納入通知書を発行することなく放置し、その結果、同月時点において、少なくとも以下の家賃未徴収等の状態を生じさせた。

a 家賃納入通知書未発行 4件

b 敷金納付通知書未発行 3件

c 家賃未徴収 9か月分 2件

(イ) 公営住宅の退去者に対する手続として、家賃を日割計算した上で徴収又は還付し、敷金精算に関する処理を行わなければならないところ、原告は、平成22年4月から同年12月までの間、これらの処理を怠り、その結果、同月時点において、少なくとも以下の家賃未徴収等の状態を生じさせた。

a 家賃未徴収 3か月分 2件

1か月分 1件

b 日割計算による家賃未還付 1件

c 敷金還付精算未処理 5件

(ウ) 原告は、公営住宅家賃の未納者に対して催告及び納付督励の事務を行わなければならなかったにもかかわらず、平成22年度において、毎月行うべき催告書の決裁を2回しか行わなかった。

(エ) 原告は、平成23年3月中に、公営住宅等の入居者に対する平成24年度分の家賃の納入通知書を作成した上、同通知書を送付する準備をすべきであったにもかかわらず、これを怠った。

(オ) 原告は、平成23年3月中旬までに、特定公共賃貸住宅及び単身者向け住宅合計60戸に対し、入居者負担額の決定及び家賃減額決定通知を送付すべきであったにもかかわらず、これを怠った。

(カ) 原告は、平成23年2月28日から同年3月16日までの間に受け付けた公営住宅家賃減免申請30件について、被告内部の決裁手続やその後の決定通知事務を怠った。

(キ) 原告は、一級河川樋門樋管操作委託契約の締結事務に関して、平成23年3月14日に北海道から契約書案が送付されていたにもかかわらず、決裁を受けて北海道に返送することを怠り、実際の土地所有者43名との間の上記委託契約の締結準備を行っていなかった。

(ク) 原告は、平成23年3月16日及び同月23日に送付された道路及び河川占有許可の申請書について、同年4月1日付けで許可を行い、許可証及び納入通知書を申請先に送付すべきところ、その事務処理を進めていなかった。

(ケ) 原告は、平成22年10月に開催した公営住宅入居者選考委員会の委員報酬について、平成23年3月末までに支出すべきであったにもかかわらず、その事務処理を何ら進めていなかった。

ウ  原告は、本件不適切事務処理について、被告に発覚するまで、上司等に相談や報告をすることはなかった。(乙18〔6〕、原告本人〔29〕、弁論の全趣旨)

(3)  原告の超過勤務及び有給休暇取得実績

ア  平成22年度における原告の超過勤務実績は、以下のとおりであった。(乙6〔3、11、15〕、27、29の1ないし16、乙36)

(平成22年)

4月 休日3時間

5月 平日1時間

6月 0時間

7月 平日32時間45分、休日1時間

8月 平日3時間45分

9月 平日1時間30分

10月 0時間

11月 0時間

12月 平日6時間30分

(平成23年)

1月 0時間

2月 0時間

3月 0時間

イ  平成22年度における原告の有給休暇取得実績は、次のとおりであった。(乙30の1ないし3、乙31の1、2)

(平成22年)

4月22日 8時間

5月19日 1時間

6月1日 5時間

同月16日 2時間

7月8日 4時間

同月23日 1時間

同月29日 4時間

8月13日 8時間

同月19日 1時間

9月10日 6時間

同月15日 1時間

同月21日 4時間

同月30日 2時間

10月14日 1時間

同月27日 1時間半

同月28日 1時間半

11月4日 8時間

同月5日 5時間

同月29日 8時間

12月3日 5時間

同月9日 1時間

同月20日 8時間

同月21日 8時間

同月22日 8時間

同月24日 8時間

同月27日 8時間

同月28日 8時間

同月29日 8時間

同月30日 8時間

(平成23年)

1月6日 8時間

同月7日 8時間

同月11日 8時間

同月12日 8時間

2月14日 4時間

同月28日 4時間

3月2日 4時間

同月7日 8時間

同月22日 8時間

同月28日 8時間

同月29日 8時間

同月30日 8時間

同月31日 8時間

(4)  本件無断欠勤に至る経緯

ア  原告は、平成22年7月から、建設課課長補佐や技術係長らとともに、a町公営住宅等長寿命化計画の策定業務に携わった。(甲19〔1〕、乙2〔2、3〕、6〔4〕、9〔2、3〕、40〔2〕、弁論の全趣旨)

イ  原告は、平成22年12月21日から、体調不良等の理由で職場を欠勤し、同月27日、医療法人社団心療内科c病院を受診した。原告は、A医師から、神経症との病名で、就労は困難であり、同月31日まで自宅療養を要する旨の診断を受けた。(甲3、19〔2〕、乙9〔4〕、13〔2〕)

ウ  原告は、平成22年12月27日頃、上記イの診断が記載されたA医師作成の診断書を提出した上、被告の総務課長及び建設課長と面談した。その結果、原告が、平成23年1月から職場復帰することを目指すことが確認された。(甲19〔2〕、乙8〔6、7〕、9〔5〕、17〔4〕、弁論の全趣旨)

エ  原告が自宅療養を開始してほどなく、被告において、原告による上記(2)イ(ア)及び(イ)の事務処理遅滞が発覚したことから、建設課の複数の職員が原告に代わり、そのうちの一部の事務を処理した。(乙2〔3ないし5〕、6〔2、3、5、10〕、18〔6〕、弁論の全趣旨)

オ  原告は、仕事始めである平成23年1月6日、強い吐き気を感じたため、職場を欠勤し、c病院を受診したところ、A医師から精神安定剤であるユーパンを14日分処方され、同月12日まで自宅療養のため欠勤した。ところが、原告は、その後、同年3月30日までの間、医療機関を受診しなかった。(甲19〔2、3〕、乙9〔4、5、13、14〕、13〔3〕、17、原告本人〔9〕)

カ  原告は、平成23年1月13日、職場に復帰し、その頃、建設課長及び建設課課長補佐から、上記エのとおり発覚した事務処理遅滞について、今後は適正な業務に努め、業務が滞る場合などには上司に相談ないし報告するよう指導及び注意を受けた。(甲19〔3〕、乙2〔5〕、6〔6〕、17、18〔6〕)

キ  原告は、平成23年3月24日、建設課内の送別会に出席し、三次会まで参加し、カラオケを歌うなどした。(乙2〔5、6〕、6〔7〕、26)

ク  原告は、平成23年3月28日から同月31日まで、体調不良を理由に職場を欠勤し、同月31日には、c病院を受診した。(甲19〔3〕、乙9〔7〕、13〔3〕、17〔5〕)

ケ  原告は、平成22年3月頃から、遊興費を得るために消費者金融業者から借入れをするようになった。その結果、原告は、平成23年4月1日までに約95万円の借入金を抱えることとなり、これを原告一人で返済することが困難な状態となっていた。(甲16、乙9〔15、16〕、14、弁論の全趣旨)

(5)  本件無断欠勤中の原告の行動(月日は断りのない限り平成23年である。以下同じ。)

ア  原告は、4月1日の朝、自動車を運転してa町の自宅を出たものの、職場には出勤せず、家族や職場に行き先を告げずに失踪し、そのまま無断欠勤をした。(乙9〔13〕、17〔5〕、原告本人〔10〕)

イ  原告は、4月1日、d銀行の貯金口座からe銀行の預金口座に3万円を振り込んだ上、同日午前9時13分、f銀行のATMからその3万円を引き出した。(乙9〔20〕、32、33)

ウ  原告は、4月6日から同月9日までの間、自らの実名を名乗った上で、札幌市内のホテルに宿泊した。また、原告は、少なくとも同月18日にも札幌市内に滞在していた。(甲14、15)

エ  原告は、4月19日、d銀行の貯金口座からe銀行の預金口座に5000円を振り込んだ上、コンビニエンスストアのATMからその5000円を引き出した。(乙32、33)

オ  原告は、4月20日、d銀行の貯金口座から他の金融機関の口座に478円を振り込んだ。(乙32)

カ  原告は、4月23日深夜ないし同月24日未明頃、妻であるBの携帯電話に電話をかけ、Bに対し、所持金がないので、自宅に戻るために5000円をe銀行の口座に振り込むよう依頼した。このとき、原告は、Bから居場所を尋ねられたものの、誰にも会いたくないとの考えから、あえて居場所を教えなかった。(甲19〔4〕、20〔4〕、乙9〔8〕、17〔6〕)

キ  原告は、4月25日にBからの送金を受領し、同月27日に自動車を運転して帰宅した。ところが、原告は、Bから、原告の実家に行くよう促された後、再度失踪した。(甲19〔4〕、乙9〔9〕、17〔6〕、原告本人〔12、27〕)

ク  原告は、5月6日、再び帰宅したが、Bに対して置き手紙を残し、すぐに失踪した。同手紙には、Bに対し、心配をかけてすまない、戻る前にどうしても決着を付けたいことがある、同月9日の夜には帰る、などと記載されていた。(甲19〔4、5〕、20〔4〕、乙9〔9〕、15)

ケ  原告は、5月9日午後8時頃、帰宅した。(甲19〔5〕、20〔5〕、原告本人〔12、13〕)

コ  本件無断欠勤中、原告から被告に対する連絡は一度もなかった。(乙4〔4、5〕、原告本人〔12〕、弁論の全趣旨)

(6)  被告における対応

ア  原告の本件無断欠勤当時は、原告が担当していた公営住宅に関する事務の繁忙期であったが、原告が本件無断欠勤を行ったことから、建設課の職員は、4月1日以降、本件不適切事務処理分を含む原告の担当業務を代わりに処理した。(甲2、乙2〔6〕、弁論の全趣旨)

イ  被告職員は、4月1日以降、行方不明となった原告の捜索を行った。(甲2、乙4〔4、6〕、8〔5〕、16〔2〕、弁論の全趣旨)

(7)  本件処分に至る経過

ア  原告が失踪中であった5月9日、被告は第1回職員懲罰審査委員会を開催したが、調査を要するとして、同委員会を再度開催することとされた。また、同日午後5時30分頃、原告の両親とBは、被告役場において、総務課長や副町長と面談し、総務課長から、原告が懲戒の対象となること、処分も時間の問題であることなどを聞いた。(甲12〔20、21〕、20〔4、5〕、乙4〔5〕、16〔1〕、17〔6〕)

イ  原告の母であるCは、5月10日、被告に対し、原告が帰宅した旨を報告した。(乙17〔6〕、弁論の全趣旨)

ウ  原告は、5月10日、c病院を受診し、A医師により、神経症との病名で、4月1日から3か月間の自宅療養を要する旨の診断を受けた。以後、原告は、本件処分に至るまで職場に出勤しなかった。(甲4、19〔5〕、弁論の全趣旨)

エ  CとBは、5月11日、被告役場を訪れ、総務課長及び建設課長に対し、上記ウの診断内容が記載されたA医師作成の診断書(甲4)を提出した上、原告について、4月1日に遡って休職扱いとしてほしい旨を申し入れた。これに対し、総務課長らは、そのような扱いはできない旨回答した。(甲4、19〔5〕、乙4〔5〕、17〔7〕)

オ  原告は、5月12日、c病院の紹介で医療法人社団g病院を受診した後、同病院の紹介で医療法人h病院を受診した。原告は、同病院のD医師から、不安抑うつ状態との病名で、2か月間の入院治療を要する旨の診断を受け、同病院に入院した。(甲5、18〔2〕、19〔5〕、乙13〔5、6〕、17、弁論の全趣旨)

カ  g病院のE医師は、5月12日頃、原告を適応障害、解離性遁走と診断した。(乙13〔6〕)

キ  Cは、5月13日、総務課長らに対し、上記オの診断内容が記載されたD医師作成の診断書(甲5)を提出した。(甲5、20、乙17〔7〕)

ク  総務課長は、5月16日、h病院のD医師と電話で会話し、原告及びD医師との面会を申し出た。ところが、原告は、D医師を通じて同申出を拒否し、また、D医師は、個人情報保護のため病状については話すことができない旨回答し、面会を断った。(甲18〔4〕、19〔5〕、乙4〔2〕、8〔2、3〕、18〔3〕、原告本人〔14〕)

ケ  総務課課長補佐及び建設課課長補佐は、5月17日、来庁したBに対し、原告と面会できるか確認してほしい旨依頼した。(乙4〔3〕、18〔3〕、弁論の全趣旨)

コ  原告は、5月17日、Bとともに外出した。(甲18〔4〕)

サ  原告は、5月21日、BとともにBの実家に宿泊した。(甲18〔4〕、原告本人〔15〕)

シ  総務課長及び総務課課長補佐は、平成23年5月26日、Bと面談して、原告の状況を聴取し、併せて、原告と面接したい旨の文書を送付することを伝えた。(乙4〔3〕、8〔11、12〕、18〔3〕)

ス  被告は、5月24日、第2回職員懲罰審査委員会を開催した。その結果、原告の聴聞が必要であることから、内容証明郵便等によりその機会を作るよう努め、その旨家族にも話すこととし、その結果を踏まえて処分について判断することとされた。(乙17〔1〕)

セ  原告は、5月27日、Bとともに外出した。また、原告は、同日、D医師に対し、弁護士に相談するために6月2日ないし3日頃に札幌に行くことを伝えた。(甲18〔5〕、弁論の全趣旨)

ソ  被告は、5月30日、原告に対し、6月3日午後2時30分にh病院において原告の聴取を行う旨の通知書を送付した。同通知書は6月1日に配達され、その頃、原告はこれを受領した。(甲19〔4〕、乙18〔3ないし5〕、原告本人〔16〕)

タ  そこで、Bは、6月2日、総務課課長補佐に対し、原告は職場の話を拒否しているので話せないと思う、2か月の入院治療を要する旨の診断書が出ているので、その2か月間に話せる状態か否かをみて、その時に診断するので待ってほしいと伝えた。これに対し、総務課課長補佐からは、原告の聴取を2か月も待つことについて否定的な回答がされた。(乙8〔13〕、18〔3〕、弁論の全趣旨)

チ  原告は、Cから懲戒免職になる可能性もあると聞いていたことから、6月2日、札幌市の原告訴訟代理人事務所を訪問し、本件無断欠勤に係る処分等に関して相談をした。(甲18〔6〕、19〔5、6〕、20〔6〕、乙9〔28〕、原告本人〔15、16、28〕)

ツ  被告は、6月10日、第3回職員懲罰審査委員会を開催し、本件無断欠勤及び本件不適切事務処理を理由に、原告を懲戒免職することを決定した。(乙18〔1、2〕)

テ  総務課課長補佐は、6月14日、Bに対し、同人と面談をしたいので日程調整を行いたい旨を連絡したが、Bは検査入院の必要があったことから、同月15日、Cが被告役場を訪れ、総務課長に対し、Bの病状を説明した上、今後はCに連絡を行うよう求めるとともに、Bに対する電話や訪問は差し控えてほしいと要望した。(甲20〔6〕、弁論の全趣旨)

ト  a町長は、6月15日、原告に対し、本件処分をした。(甲1)

(8)  解離性遁走に関する医学的知見

ア  解離性遁走の概要(甲11〔79〕)

解離性遁走は、解離性健忘の全ての病像を備え、それに加えて、患者が明らかに意図的な、家庭や職場から離れる旅をし、その期間中は自らの身辺管理は保たれているというもので、解離性障害の一種である。通常は、2、3日のみであることがほとんどであるが、時には長期にわたることもある。遁走期間中の健忘があるにもかかわらず、その間の患者の行動は、第三者から見ると完全に正常に映ることもある。

イ  解離性遁走の診断基準(甲11〔80〕)

(ア) 優勢な障害は、予期していないときに突然、家庭又は普段の職場から離れて放浪し、過去を想起することができなくなる。

(イ) 個人の同一性については、混乱しているか、又は新しい同一性を(部分的に、又は完全に)装う(以下「個人の同一性の混乱等」という。)。

(ウ) この障害は、解離性同一性障害の経過中にのみ起こるものではなく、物質(乱用薬物、投薬等)又は一般身体疾患(側頭葉てんかん等)の直接的な生理学的作用によるものでもない。

(エ) その障害は、臨床的に著しい苦痛又は、社会的、職業的、又は他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

ウ  解離性健忘(甲11〔65、67、79〕)

解離性遁走は、解離性障害の一つである解離性健忘を内包する。解離性健忘とは、ストレスとなる体験又は外傷的な体験に続いて起こる可逆性の逆行性健忘であり、トラウマ的な出来事に関係する部分的かつ選択的な健忘を生ずる。

2  争点(1)ア(本件無断欠勤の懲戒事由該当性)について

(1)  原告は、本件無断欠勤当時、原告が解離性遁走の状態ないしその影響下にあったから、本件無断欠勤は原告の自由意思に基づくものではないと主張する。そこで、以下、原告が本件無断欠勤当時、解離性遁走の状態ないしその影響下にあったか否かについて検討する。

ア  本件無断欠勤に至る経過及び原告のストレスについて

(ア) 前記1(8)ア及びウのとおり、解離性遁走の発症においては、解離性健忘の一原因として、ストレスとなる体験又は外傷的な体験が先行するとされている。

この点、前記1(4)イ、オ及びクのとおり、原告は、平成22年12月21日から体調不良を理由に職場を欠勤し、同月27日にc病院において神経症と診断され、同月28日から平成23年1月12日まで自宅療養のため欠勤している。また、原告は、同年3月28日から同月31日までの間にも、体調不良を理由に欠勤し、同日には再びc病院を受診している。このような事実からすれば、原告が、当時、神経症等の精神疾患に罹患し、それに起因する体調不良の状態にあったこと自体は否定できないところである。

しかしながら、前記1(4)オのとおり、原告は、平成23年1月6日にc病院を受診して精神安定剤を処方された後は、3か月近くにわたって医療機関を一切受診していない。原告が、この間、精神疾患により体調不良の状態であったのであれば、通院の継続が何ら見られないのは不自然である。

(イ) 原告は、平成22年7月から、公営住宅等長寿命化計画という大きなプロジェクトを任され、これが仕事上のストレスを強める結果となったと主張し、原告本人もこれに沿う供述をする〔甲19〔2〕、原告本人〔3〕〕。しかしながら、前記1(3)ア及び(4)アのとおり、同プロジェクトは原告のみに任されていたものではなく、原告の上司及び同僚らとともに遂行していた事務の一つにすぎないと認められる上、客観的にも、平成22年8月以降の超過勤務実績はさほど長時間ではなく、平成23年1月以降に至っては、超過勤務は全くなかったことが認められる。そうすると、本件無断欠勤前の時期において、原告が過重な労務に従事していたとは認められない。なお、原告は、いわゆるサービス残業を行っていた旨主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。かえって、原告は、公平委員会の審理において、原告以外に残業していた職員名を問われても答えられていないし(乙9〔26〕)、原告が被告における以前の職場においては時間外勤務を行う際には所定の手続を取っていたこと(乙28の1ないし乙29の16)も併せ考慮すると、この時期だけ原告がサービス残業を行っていたと認めるのは困難である。

さらに、前記1(4)キによれば、原告は、平成23年3月24日には、職場の送別会の三次会まで出席し、カラオケを歌うなどしていたことが認められる。

(ウ) 以上からすれば、本件無断欠勤の直前において、解離性遁走を発症させるような、従前と異なる強いストレスを生じさせる出来事があったとは認められない。

イ  個人の同一性の混乱等について

前記1(8)イ(イ)のとおり、解離性遁走の診断基準として、個人の同一性の混乱等が見られることが挙げられるところ、前記1(5)イないしオによれば、原告は、本件無断欠勤を開始した直後から、金融機関の口座から送金手続を行い、ATMから預金を引き出すといった、自己の個人情報を用いた複雑な手続を複数回にわたって行ったり、実名で札幌市内のホテルに宿泊したりしている。こうした原告の行動は、原告に個人の同一性の混乱等が生じていたことを否定する方向に働く事情といえる。それどころか、原告は、本件無断欠勤を開始したその日の朝には1回目の送金を行っているし、原告の供述によれば、原告は、失踪後、わざわざ、以前にも利用したことのあるi駅の無料駐車場に自動車を駐車して、同駅から列車で札幌市へと向かったというのである(甲19〔4〕、乙9〔8、20、21〕)。そうだとすると、本件無断欠勤及び失踪は、周到に計画されたものである可能性も否定できない。他方、原告に個人の同一性の混乱等が生じていたことをうかがわせるような言動は、何ら認められない。

ウ  過去の無断欠勤との類似性について

前記1(1)ア及びイによれば、原告は、平成20年に、消費者金融業者等から多額の借金を抱える現状から逃げ出したいとの理由で、自らの意思により失踪し、札幌市に滞在していたこと、原告は、同失踪後、被告に対して、失踪時はパニック状態であったと報告したことが認められる。他方で、前記1(4)ケ及び(5)ウによれば、原告は、本件無断欠勤当時、消費者金融業者から約95万円を借り入れており、これを原告一人で返済するのは困難な状態となっていたこと、原告は、本件無断欠勤中も札幌市に滞在していたことが認められる。このように、平成20年の無断欠勤と本件無断欠勤とでは、失踪に至った状況や、原告の失踪中ないし失踪後の言動についても極めて類似していると認められるのであって、平成20年の無断欠勤が原告の意思に基づくものであったことからすれば、本件無断欠勤についても原告の意思に基づくものであったことが推認される。

エ  F医師の専門的意見について

上記の事情に加えて、精神病理学、司法精神医学を専門とするF医師も、本件無断欠勤当時原告が解離性遁走の状態にあったことを否定する意見を述べているところである(乙37)。F医師は、原告を直接診断してはいないものの、精神神経科医としての立場から、解離性遁走という精神疾患に当然見られるべき個人の同一性の混乱等が原告の行動に観察されていないことなどから、原告が解離性遁走であったことに疑問を呈しているのであって、この点も、原告の解離性遁走を否定する一事情といえる。

オ  原告の主張について

他方、原告は、平成23年4月1日の朝に出勤してから同月22日に至るまでの間、健忘状態にあった旨主張し、原告本人もこれに沿う供述をする(甲19、原告本人〔10〕)。

しかしながら、原告が主張する事実を認めるに足りる的確な証拠はなく、かえって、原告は、上記の期間においても、送金手続を行ったり、実名で札幌市内のホテルに宿泊したりしている。加えて、仮に原告が本件無断欠勤中の記憶を欠落していたというのであれば、そのような特異な事実は、原告の帰宅後、原告側から被告に対し速やかに伝えられると思われるが、本件処分がされるまでの間に、原告側から被告にそのような連絡があったとは認められない(この点、原告は、Cが平成23年5月13日に総務課長と面談した際に解離性遁走との診断名を告げたと主張するが、被告はこれを否定しており、同日Cが総務課長に提出した診断書(甲5)には解離性遁走との病名は記載されていないことなども併せ考慮すると、上記主張を採用することはできない。)。

そうすると、原告が上記の期間において健忘状態にあったと認めることはできない。

カ  D医師作成の意見書等について

また、D医師は、平成23年12月27日付けの意見書(甲10。以下「D意見書」という。)において、①原告は、本件無断欠勤当時、適応障害及び解離性遁走を発症しており、本件無断欠勤は解離性遁走によるものである、②原告は、平成23年4月1日から同月21日までの間、善悪の判断能力及びその判断に従って行動する能力がなかったが、同月22日以降については限定責任能力を有していたとの意見を述べている。

しかしながら、F医師によれば、適応障害と解離性遁走とは同時に存在しないとされているのであって(乙37〔1〕)、D意見書では、適応障害及び解離性障害が同時に存在する理由については何ら述べられていない。また、前記1(8)イ(イ)のとおり、解離性遁走の診断基準では、個人の同一性の混乱等の存在が必要であるとされており、その診断に当たっては、詐病との鑑別が重要であるが、D意見書では、原告に個人の同一性の混乱等が生じていたことを否定するようなエピソード(失踪中の送金等)について特段の言及がなく、D医師の診断は、本件無断欠勤当時の記憶がないなどという原告の供述に専ら依拠していることがうかがわれる。また、D意見書では、本件無断欠勤は詐病によるものではないとされているが、その理由としては、原告の性格や診察時の応対等が挙げられているにとどまり、原告が平成20年にも本件無断欠勤と極めて類似した経緯及び態様により無断欠勤していることについて、十分な検討がされているとはいい難い。

以上によれば、D意見書の信用性については疑問を差し挟む余地があるというべきであり、同意見書に基づいて、原告が本件無断欠勤当時、解離性遁走の状態ないし影響下にあったと認めることはできない。

なお、前記1(7)カのとおり、g病院のE医師も原告を適応障害、解離性遁走と診断しているところであるが、その具体的根拠は何ら明らかではない上、D意見書と同様の疑問を払拭することができず、同診断を採用することはできない。

(2)  以上の次第であるから、原告は、本件無断欠勤当時、解離性遁走の状態ないしその影響下にはなく、自らの意思に基づいて本件無断欠勤を行ったと認めるのが相当である。この事実が、本件規程上の「無届欠勤」として懲戒事由に当たることはもちろん、少なくとも地方公務員法29条1項2号にいう「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」に当たることは明らかである。

3  争点(1)イ(本件不適切事務処理の懲戒事由該当性)について

(1)  原告は、平成22年7月以降の業務量の増加により、原告が同年9月頃から不安抑うつ状態ないし適応障害を発症し、その結果、十分な業務時間を確保できず、集中力の持続も困難になったため、本件不適切事務処理が生じたと主張する。そこで、以下、本件不適切事務処理が原告の精神疾患に基づくものか否かについて検討する。

ア  前記1(2)イによれば、原告の本件不適切事務処理が生じ始めた時期は、平成22年4月に原告が建設課に異動した直後からであると認められるところ、原告が同年9月頃まで精神疾患を発症しておらず体調不良の自覚もなかったことについては、原告自身も自認しているのであるから(乙9〔4〕、原告本人〔1、26〕)、同月までの事務処理の遅滞は、精神疾患とは無関係に生じたものと認められる。

イ  また、その後についても、前記2(1)アで検討したとおり、原告の超過勤務時間は、公営住宅等長寿命化計画の策定業務が開始された平成22年7月は平日に32時間45分、休日に1時間であったものの、その後は、同年8月は平日に3時間45分、同年9月は平日に1時間30分というごく僅かの超過勤務しかないのであって、同月頃に精神疾患を発症させるほどの過重業務があったとは認められない。加えて、原告は、同月以降も、職場組合の行事を始めとする様々な行事に頻繁に参加していた上(乙9〔16〕、26、原告本人〔24〕、弁論の全趣旨)、職場において精神疾患に起因するような言動を見せていたこともうかがわれないことからすると、少なくとも原告が体調不良を理由に欠勤した同年12月より前においては、原告が精神疾患に罹患していたと認めることはできない。

ウ  他方、前記1(4)イ及びオのとおり、原告は、平成22年12月27日、c病院において、神経症で就労が困難であって同月31日まで自宅療養を要する旨の診断を受けており、平成23年1月6日には、精神安定剤を処方されていたのであるから、遅くとも平成22年12月には原告が神経症等の精神疾患に罹患していたと認めるのが相当である。

しかしながら、前記1(4)イ及びオのとおり、平成22年12月27日時点での診断は4日間の自宅療養を要するというものにすぎない上(この点、原告は、2週間程度の自宅療養が必要であるとの診断を受けたが職場への配慮から上記の診断書(甲3)を発行してもらったと主張するが、診療録(乙13〔2、3〕の記載に照らし、採用することができない。)、原告は、平成23年1月6日の受診を最後に、翌日から同年3月30日までの間、医療機関を受診ないし再診していない。他方で、前記1(3)アのとおり、平成23年1月以降、原告の超過勤務は皆無であって原告が過重労働の状態にあったとは認められないし、前記1(3)イのとおり、同月以降も、同年3月28日より前においては、原告の有給休暇が顕著に増加していたわけではなく、原告が精神疾患により体調不良の状態にあったとも認められない。また、前記1(4)キのとおり、原告は、同月24日には、職場の送別会に出席し、三次会まで参加してカラオケを歌うなどしている。こうした事実に照らせば、原告が、原告担当業務を正常に遂行できないほど重篤な精神疾患に罹患していたとは認められない。

エ  上記アないしウの事情に鑑みれば、本件不適切事務処理は、原告の精神疾患によるものとは認められないから、原告の上記主張は採用することができない。

(2)  以上の次第であるから、本件不適切事務処理は、本件規程上の「業務の不適当な処理」として懲戒事由に当たる上、少なくとも地方公務員法29条1項2号にいう「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」に当たることは明らかである。

4  争点(2)(本件処分における裁量権逸脱、濫用の有無)について

(1)  公務員に対する懲戒処分について、懲戒権者は、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、当該公務員の上記行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等、諸般の事情を考慮して、懲戒処分をすべきかどうか、また、懲戒処分をする場合にいかなる処分を選択すべきかを決定する裁量権を有しており、当該処分は、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したと認められる場合に限り、違法となるものと解するのが相当である(最高裁昭和52年12月20日第三小法廷判決・民集31巻7号1101頁、最高裁平成2年1月18日第一小法廷判決・民集44巻1号1頁参照)。

(2)ア  これを本件についてみると、まず、本件無断欠勤に関しては、前記前提事実(4)のとおり、その欠勤日数が合計23日にわたっており、通常1か月に勤務すべき日数を超える長期間に及ぶものである。その上、前記1(6)のとおり、無断欠勤当時、原告担当業務は繁忙期にあったにもかかわらず、原告の突然の無断欠勤により、被告職員は、原告の捜索を余儀なくされたほか、原告担当事務を分担して処理せざるを得なくなった。これらの点を考慮すると、本件無断欠勤が被告の業務に与えた影響は極めて大きいといわざるを得ない。また、前記2のとおり、原告には、解離性遁走という精神疾患は認められないのであるから、本件無断欠勤は原告の自由意思に基づくものと認められ、特段の酌むべき動機に基づくものともうかがわれない。さらに、前記1(1)及び(5)のとおり、原告は、本件無断欠勤中、被告に対して何ら連絡をしなかったこと、原告は、過去にも無断欠勤を理由とする減給処分を受けていたにもかかわらず、再び同様の無断欠勤を行ったことからすれば、本件無断欠勤は極めて悪質というべきである。

イ  また、本件不適切事務処理についてみると、前記1(2)のとおり、これにより、公営住宅等の複数の入居者ないし退去者が家賃の納付や敷金の精算等の手続を円滑に進めることができなくなるなどの支障が現に生じているのであって、住民等の被告に対する信頼が損なわれたといわざるを得ない。前記1(2)及び(4)カのとおり、本件不適切事務処理は、約1年間にわたる長期間の事務懈怠である上、原告は、平成23年1月には事務処理の遅滞について指導及び注意を受けたにもかかわらず、その後も事務の遅滞を招き、そのことについて上司に相談や報告もなかったというのであるから、原告の責任を軽くみることはできない。

ウ  そして、被告は、本件規程に基づき、本件無断欠勤については、「服務、業務処理関係」の処分事由のうち特に情状の重い場合として停職処分が相当であると判断し、本件不適切事務処理については、「服務、業務処理関係」の処分事由のうち戒告又は減給が相当であると判断した上(本件規程2条2項、別表、附表1)、両者の併合処分(本件規程2条5項、8項2号)により免職処分が相当であると判断したと主張している。上記ア及びイの事情からすれば、これらの各懲戒事由における量定や併合処分が、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したとは認められないから、本件処分は、社会観念上著しく妥当を欠くとはいえず、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとは認められない。

エ  なお、原告は、本件無断欠勤及び本件不適切事務処理は被告が原告の精神疾患を認識していながら適切な管理監督を行わなかったことに起因するから、本件処分が不当に重い処分であるとも主張する。

しかしながら、被告における業務が過重であったため原告の精神疾患が生じたとは認められないこと、本件無断欠勤及び本件不適切事務処理が原告の精神疾患に起因するものでないことは、これまでに述べたとおりである。加えて、前記1(4)ウないしカ、ク及び(6)アのとおり、被告は、原告の体調不良を理由とする欠勤を認め、他の被告職員が原告の担当業務の一部を原告に代わって処理していたことが認められるのであって、被告の管理監督が不十分であったということはできない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。

5  争点(3)(本件処分の手続の違法性の有無)について

(1)  原告は、本件処分は原告に対する事前の告知聴聞手続等を欠いていたから、本件処分には手続上の違法があるなどと主張する。

(2)  しかしながら、地方公務員法3条1項所定の地方公務員に対する懲戒処分に際しては、聴聞又は弁明の機会の付与は法律上要求されていないから(行政手続法3条1項9号参照)、原告が本件処分を受けるに際して事前の聴聞又は弁明の機会を与えられなかったとしても、それをもって本件処分に違法があるとはいうことはできない。

(3)  のみならず、被告は、原告に対し、原告の妻ないし母を通じて複数回にわたって面会を申し入れ、さらに、事情聴取を行う旨の通知書を送付したにもかかわらず、原告は、具体的な弁明を何らしなかったものである。当時、原告は、D医師から不安抑うつ状態との病名で入院加療を要するとの診断を受けていたものの、平成23年6月2日には札幌市まで赴いて弁護士に懲戒処分についての相談をしているのであるから、原告が精神疾患により弁明が困難な状態にあったと認めることはできない(なお、原告は、被告側との面会を拒絶していたのはD医師の指示によるものであると主張し、D意見書にもこれに沿う記述があるが(甲10〔3〕)、D意見書の信用性に疑問を差し挟む余地があることは前記2(1)カのとおりであるし、仮に原告が被告側との面会に耐えられない状態にあったとしても、書面による弁明すら困難であったとは認められない。)。

そして、本件処分後、原告には、地方公務員法の規定に従い、公平委員会に対し不服申立てをする機会が与えられている。

(4)  そうすると、原告に対する事前の告知聴聞等の手続がなかったとしても、本件処分が違法ではないことは明らかである。

したがって、原告の上記主張は採用することができない。

第4結論

以上によれば、a町長の原告に対する本件処分は適法であって、本件処分が違法であるとの原告の主張は採用することができない。

したがって、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 武藤貴明 裁判官 真鍋浩之 檀上信介)

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