旭川地方裁判所 昭和32年(わ)324号 判決 1958年3月12日
被告人 誠こと 今井周
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金二千円に処する。
被告人において右罰金を完納することができないときは金二百円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。
未決勾留日数中八十日を右本刑に算入する。
訴訟費用は全部被告人の負担とする。
理由
(犯罪事実)
被告人は
第一 昭和三二年九月八日午後五時頃、旭川市七条通り五丁目千葉清次方で、田中康史より同人が窃取した背広上下一着及び背広上衣一枚の入質方依頼を受け、それが賍物であることを知りながら、同日午後七時頃、同市六条通り七丁目左六号質店塚本勉方で、同人に金三千五百円で入質する周旋をして、賍物牙保をなし
第二 竹野某外一名と共謀の上、同月二十日頃の午後十時三十分頃、同市五条通り六丁目旭川劇場附近で、正木光夫(当十七年)に対し、「上衣を貸せ、貸さなければ街を歩けないようにしてやる。」と申向けて脅迫し、同人を畏怖せしめ、因つてその場で同人から、黒色背広上衣一枚の交付を受けて、これを喝取し
第三 同年十二月二十二日午後八時頃、同市三条七丁目右三号ダンス喫茶店「白馬車」方店内の奥ボツクスで相席となつた小河原成子(当十四年)に対し、「今晩つき合つてくれ。」と申向け、同女が逃げ帰ろうとするや、同女を掴んで離さず、又は自ら監視して、同日午後九時三十分過頃まで同女の脱出を不能ならしめ、以つて不法に同女を監禁し
第四 その頃、右同所で、些細なことに憤慨し、鈴木寿美子(当十七年)の髪の毛を一握り掴んで引張り、以つて暴行を加えたものである。
(証拠の標目)(略)
(前科)(略)
(被告人の主張に対する判断)
被告人は当公判廷で、判示第三及び第四の犯行につき、当時飲酒酩酊のため不知であると供述しているところ、右は心神喪失若しくは心神耗弱の主張を含むものと認められるので判断するに、判示第三及び第四に対する前掲各証拠を綜合すれば、右犯行当時、被告人は多少飲酒酩酊していた事実が認められるけれども、心神喪失若しくは心神耗弱の状態にあつたものとは到底認められないから、被告人の主張は採用しない。
(裁判官 太田実)