大判例

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旭川地方裁判所 昭和39年(ワ)326号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕次に、原告は、被告会社は商法二六二条に基づいて前記売買契約につき責任があると主張する。商法二六二条が適用されるためには、取締役が会社を代表すべきものと認むべき名称を僣称しただけでは足りず、会社がその名称の使用を明示もしくは黙示に許諾したことが必要であり、他方この要件が充足されるならば、右規定は、右名称を特に明示して行為した場合のみならず、これを暗黙のうちに示しているものと認むべき状況において行為した場合にも適用されるものと解すべきである。これを本件についてみると、前掲甲第一号証、被告名義の部分を除いて成立に争いのない甲第二号証、証人山崎一二、同山崎仁の各証言、原告本人尋問の結果、被告会社代表者尋問の結果を合わせると、被告会社は、山崎良作、その長男山崎一二、鈴木シゲタダの三名を取締役とし、山崎良作を代表取締役社長とし、鈴木取締役が非常勤であるためその経営にはもつぱら山崎親子が当たり、従業員としては山崎良作の次男仁ほか若干名を有し、自動車修理業を主たる目的とする小規模のいわゆる同族会社であること、被告会社は顧客から頼まれて中古車の販売をすることもあること、山崎一二は、六、七年前から被告会社の取締役であるところ、代表権をもたず会社から正式に許されていたわけでもないが、日ごろ専務の名称を用い、従業員や顧客からも専務と呼ばれていたこと、被告会社の代表取締役である山崎良作は右事実を知りながらこれを黙認していたこと、原告は、昭和三七年ごろから山崎一二を被告会社の専務と信じ同人を通じて、被告会社と自動車修理の取引をしてきたほか、昭和三八年二月には前記売買の際に下取車として提供した日野コンテツサー一台を買い受けたこと、右自動車もまた前記売買車と同様に第三者すなわち小林某の所有名義になつていたが、原告としては被告会社によつて名義変更をしてもらえるつもりで代金を支払い引渡を受けて使用していたところ、山崎一二から別な車に買い変えることを勧められたので前記売買契約を結んだものであること、山崎一二は、前記売買の代金領収書として、被告会社名が記入され同人の署名押印のある領収書(甲第一号証)を原告に交付したこと、また同人は、前記売買の条件として原告から要求された部品取付および修理の事項を被告会社名の印刷された被告会社の用紙に記載し、かつ、被告会社名および代表取締役名のゴム印ならびに被告会社印を押し、さらに自己の署名押印をした書面(甲第二号証)を作成し、右領収書と共に原告に交付したこと、その後数日して右部品取付および修理は被告会社によつて行なわれ、売買自動車は原告に引き渡されたこと、したがつて、山崎一二は、原告に交付した右書面に専務取締役の名称を記入したり特にその旨明示したりしてはいないけれども、暗黙裡に個人としてではなく被告会社の専務取締役として行動し原告と前記売買契約を締結したものであること、そして原告は本訴提起の少し前までそのように信じ被告会社と取引したことを少しも疑わなかつたこと、を認定することができ、証人山崎一二、同山崎仁の各証言、被告会社代表者尋問の結果のうち右認定に反する各部分はいずれも信用し難く、他に右認定に反する証拠はない。したがつて、被告会社は商法二六二条により前記売買契約について責任がある。(山木寛)

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